住宅・不動産業界のマーケティング支援における「担当者ガチャ」をなくす。外部マーケティング責任者としての挑戦
株式会社Monokrome 代表取締役 小池 智史氏
住宅・不動産業界を中心に中小企業のマーケティングを支援し、クライアントの事業成長を支えている小池氏。経営目標から逆算した戦略設計に始まり、ホームページやLPの制作、広告運用、SNS運用まで、必要な施策を包括的に担っています。自社の成長を優先して顧客を増やすのではなく、まずは目の前のクライアントに成果を出してもらう。その姿勢の背景には、これまでのキャリアで培った経験と、マーケティング業界に対する問題意識があります。
目次
住宅・不動産業界のマーケティングを包括的に支援
――現在の事業内容について教えてください。
当社は、中小企業を対象にマーケティング支援を行っています。主なクライアントは年商数億円規模で、社内に専任のマーケティング担当者を置いていない企業です。外部のマーケティング責任者やプランナーのような立場で、事業全体を見ながら必要な施策を日々考えています。
マーケティング全般を扱っていますが、中心となるのはWeb領域です。ホームページやLPの制作、広告運用、SNS運用などを包括的に支援しています。
――どのような業界のクライアントが多いのでしょうか。
現在は、住宅・不動産業界のクライアントが約8割を占めています。前職で得た知見を活かし、地域の工務店、新築やリフォームを扱う企業、小規模な事業者などを支援しています。
住宅・不動産業界に関する知見に加え、制作、広告、SNSといった複数の領域を横断して見られることも強みです。特定の施策だけではなく、マーケティング全体を見渡しながら設計できる点に、当社の役割があると考えています。
自分の判断で仕事を進めるために選んだ独立
――経営者を目指したきっかけを教えてください。
私は社会人になる前から、漠然と「いつかは個人の力で仕事ができるようになりたい」と考えていました。前職ではWebマーケティングに携わり、組織に成果を残すだけでなく、自分自身にも知識や経験が着実に蓄積されていく環境で働いていました。
仕事を通じて、自分がやりたいことを実現するために必要な力は、ある程度身につけられたと感じています。一方で、仕事量や責任に対して収入が見合っていないと感じることや、会社の経営方針に違和感を覚える場面もありました。そうした経験を重ねるなかで、「それならば自分でやったほうが早い」と考えるようになり、独立を決意しました。
学生時代には部活動でキャプテンを務めるなど、人をまとめる立場になることが多くありました。誰かに決められた道を進むよりも、自分で考え、判断しながら物事を動かしていきたい。そうした性格も、経営の道を選んだ理由の一つだと思います。
――経営において、もっとも大切にしていることは何ですか。
私が大切にしているのは、自分が立てた目標にクライアントを巻き込まないことです。自社が売り上げ10億円や100億円を目指すからといって、体制が整っていない状態で顧客を増やせば、どこかに無理が生じます。
その結果、十分な支援が行き届かないクライアントが生まれてしまいます。もちろん、事業を成長させ、雇用を生み出すことには大きな意義があり、それ自体を否定するつもりはありません。ただ、クライアントや働く人など、犠牲を出してまで、拡大したいとは考えていません。
まずはクライアントに満足していただく。その積み重ねの先に、当社への依頼や受注額の増加がある。この順番を徹底することが、私の経営における基本方針です。
属人性を受け入れ、信頼できるチームをつくる
――現在の組織体制について教えてください。
当社は業務委託のメンバーを中心に仕事をしています。デザイナーやエンジニアなど、それぞれの専門性を持った人とチームを組んでいます。
現在の課題は、私と同じようにマーケティング全体を理解し、クライアントの事業に深く入り込みながら仕事を進められる人材を増やしていくこと。
デザイナーやエンジニアのように担当領域が明確であれば、求めるスキルや役割を定義しやすく、採用や育成の仕組みも比較的つくりやすいです。一方で、経営者と向き合いながら、複数のマーケティング施策を理解し、全体を見てプロジェクトを推進できる人材の再現性は極めて低いと考えています。
そのため、私はこの仕事から属人性を完全に排除することは難しいと結論づけています。だからこそ、仕組みによる均一化だけを追求するのではなく、優秀な人材にその能力に見合った報酬を支払い、同時に「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるよう、自分自身も人として成長し続ける。その積み重ねによって、信頼できる仲間を増やし、チームを広げていく方針です。
――「担当者ガチャ」をなくしたいと考える理由を教えてください。
マーケティング業界は、担当者による力量の差が大きい業界です。契約時にはわからなくても、実際に支援が始まってみると、経験の浅い担当者がつき、十分な教育も行き届いていなかったというケースは少なくありません。
その結果、十分な支援を受けられないまま時間だけが過ぎ、数年後に自社が置かれた状況に気づき、振り出しに戻ってしまう事業主もいます。どれほど経験豊富な経営者であっても、変化の激しいマーケティング領域において、契約前に相手の実力を正確に見極めることは容易ではないからです。
だからこそ、支援する側が品質を高めることはもちろん、発注する側もマーケティングに対する一定の知識を身につけることが必要だと考えています。発注者自身が確かな目を持ち、良い支援者を正しく選べる環境が広がれば、それが結果としてマーケティング業界全体の健全化にもつながっていくと考えています。
クライアントの成果を積み重ね、業界の第一人者へ
――今後、事業をどのように成長させたいと考えていますか。
現時点では、新しい事業への転換や大きな方向転換は考えていません。まずは、現在お付き合いしているクライアントに成果を出してもらい、満足した状態で継続していただくことが最優先です。
3年後の売上について明確な目標を置いているわけではありませんが、現在の3〜5倍ほどになっていれば望ましいと思います。ただし、その数字を達成するために、無理に顧客を増やすつもりはありません。
――将来的には、どのような存在を目指していますか。
現段階では、100人や1,000人を抱える企業にしたい、上場して名前を残したいとは考えていません。AIもさらに発達していくなかで、社員数やオフィスの大きさを目標にする必要はないと思っています。
理想としては、中小企業のマーケティング支援における第一人者と呼ばれる存在になることです。まずはクライアントが成果を出し、その結果として私たちも潤う。そこで得た力で、公私ともに身近な人が経済的に困らない環境をつくったり、新たな挑戦を後押ししたりできる存在でありたいと考えています。
良い商品やサービスが、マーケティングの力によって自然に広がる。その流れを一つひとつの支援を通じて加速させながら、これからも目の前のクライアントに真摯に向き合っていきます。
スポーツで体を動かし、仕事から頭を切り替える
――仕事以外では、どのようにリフレッシュしていますか。
学生時代からスポーツには精力的に取り組んできました。現在も、友人とサッカーやテニスを楽しむことがあります。
特定の選手やクラブチームを追いかけているわけではありませんが、高校サッカーや日本代表戦など、選手たちがそれぞれに背負うものを感じられる試合には、胸が熱くなります。
健康は、仕事のパフォーマンスを左右する大切な要素の一つだと考えています。体を動かすことは、健康を維持するためだけでなく、仕事から離れて頭を切り替える良い機会にもなっています。