日本の品質要求と中国の製造力をつなぐ――CHEMIARXが挑む「技術専門商社」の新しいかたち
株式会社CHEMIARX 代表取締役 折江 賢氏
株式会社CHEMIARXは、日本の法規や品質基準を理解したうえで、中国の製造業が持つ技術やリソースを組み合わせ、高品質なプラント設備を日本のお客様に提供する技術専門商社です。
代表の折江賢氏は、前職で設備導入に携わるなかで、品質を維持しながらコストを抑えることの重要性を実感。海外メーカーを自ら調査し、現地を訪問して品質を確かめる経験を積み重ねてきました。
その経験をもとに独立し、現在は法規対応が必要な設備や特殊材質、高い技術・品質水準が求められる分野を中心に事業を展開するとともに、これまで培ってきたノウハウを次世代へ引き継ぐ技術者の採用にも取り組んでいます。
目次
日本と中国、それぞれの強みを生かした事業展開
――現在の事業内容について教えてください。
正式な分類としては卸売業ですが、当社が目指しているのは「技術専門商社」です。メインとしているのはプラント設備で、日本の法規関係、労働安全衛生法や高圧ガス保安法などに対応する圧力容器などを扱っています。
日本の法規や要求事項を理解し、日本の品質保証体制を確保したうえで、中国の製造業が持つ技術やリソースを活用する。そうして品質の高いものを日本のお客様に提案、提供するというビジネスを、創業当初から続けています。
――御社ならではの強みはどのような点でしょうか。
当社の強みは、中国メーカーを活用すること自体ではなく、日本のお客様が求める法規や品質要求を理解したうえで、適切な中国メーカーを見極め、その製造力を日本のお客様につなげられることだと考えています。
中国には数多くのメーカーがありますが、実際に自分たちで調査し、技術力や品質を確認していけば、日本の要求に十分応えられるメーカーがあります。
一方、日本のお客様が求める法規や品質については、こちらでしっかり理解しておかなければなりません。
日本のお客様が求める品質と、中国メーカーが持つ技術・製造力。その両方を理解して橋渡しをすることが、CHEMIARXの役割です。
「品質を保ちながらコストを下げる」経験が独立の原点
――経営の道に進まれたきっかけや、創業までの経緯を教えてください。
前職では設備導入に関わる仕事をしていました。当時から、良いものをつくることだけでなく、コストを抑えることも大きな課題でした。そこで、調達先という切り口を変えてみてはどうかと考え、海外メーカーを調査するようになったのが始まりです。
最初はプラント設備ではなく、プリント基板をつくる設備でした。当時この分野では台湾が進んでいたため、台湾のメーカーを調査して導入したところ、品質は日本に負けず、コストも抑えられることを実感しました。その後、プラント設備の導入にも携わり、中国のメーカーについても自ら調査するようになりました。
――独立を決意されたのはなぜでしょうか。
前職ではリサイクルプロジェクトにも関わっていました。廃棄物から有価物を回収するところまではうまくいったのですが、回収したものを有効活用するところが難しく、最終的に会社としてプロジェクトをやめることになりました。
そこで、それまでの経験から「中国からプラント設備を輸入し、日本のお客様に提供する仕事は、必要としているお客様が必ずいる」と考えました。会社の仲間からも独立を勧めてもらったことが後押しとなり、独立を決意しました。
信念を持って市場と向き合い、困難を乗り越える
――経営判断の軸になっている価値観や信条を教えてください。
一つは、自分が選んだ分野は必ず間違っていないという信念です。創業後、1号機を納入した直後にコロナ禍となりました。本来の仕事がほとんど止まってしまった時期もあり、判断が難しい状況でした。
ただ、コロナ前にお客様を訪問して市場調査をした際、日本のプラント設備業界では人手不足が進み、国内だけでは対応しきれなくなるという話を多くのお客様から聞いていました。海外調達が必要になるなかで、中国が選択肢になるという共通認識もありました。その経験が、自分の判断は間違っていないという信念につながりました。
――現在の事業環境については、どのように捉えていますか。
円安の影響は非常に大きいです。ただ、それ以上に日本国内のこの分野では人手不足が進んでいるため、現状では海外調達のメリットがまだ大きいと感じています。
コロナ禍の後半からは、直接現地へ行かずにウェブ検査などを取り入れながら少しずつ仕事を進め、コロナが明けてからは事業も順調になってきました。
少人数だからこそ大切にする「平等に話し合える」組織
――社内のコミュニケーションで大事にしていることは何でしょうか。
業務委託を含めて4名ほどの少人数ですので、平等に話し合えることが一番重要だと考えています。
一方で、今後の重要なテーマの一つが技術者の採用です。中国メーカーの目利きや交渉、日本と中国の間でのやり取りなど、これまで培ってきたノウハウを次世代へ引き継いでいきたいと考えています。
――採用では、どのような人と一緒に働きたいですか。
当社は単純に技術だけがあればいい仕事ではありません。日本のお客様、中国のメーカー、さらに日本の公的機関など、さまざまな立場の方と接しながら仕事を進めていく必要があります。
そのため、一番重視しているのは人柄です。順番をつけるなら、「人柄が1番、技術が2番、営業スキルが3番」だと考えています。
技術的な知識はもちろん大切ですが、それ以上に相手の立場を理解し、きちんとコミュニケーションを取りながら、一緒に問題を解決していける方と働きたいと思っています。
得意分野に集中し、日本のお客様への貢献を高める
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
お客様からは、規模を拡大してほしいという要望もあります。
ただ、単純に事業の範囲を広げるのではなく、CHEMIARXだからこそ価値を出せる分野に集中していくことが重要だと考えています。
具体的には、法規対応が必要な設備や特殊材質を使用する設備、さらに技術要求・品質要求の高い案件です。
日本の要求事項を理解し、中国メーカーの技術や製造力を活用するという当社の強みを、こうした難易度の高い分野でさらに磨いていきたいと思っています。
会社の規模を大きくすること自体を目的にするのではなく、CHEMIARXだからこそできる仕事を増やし、日本のお客様により大きく貢献できる会社にしていきたいです。
――現在向き合っている課題について教えてください。
今後の事業を考えるうえで、最も重要なテーマの一つが技術者の採用です。
私自身が培ってきた、中国メーカーの調査や目利き、日本と中国の間でのコミュニケーションや交渉といったノウハウを、今後は次の世代へ引き継いでいく必要があります。
これまでは経験者を中心に採用活動をしてきましたが、今後は経験だけに限定せず、より幅広く人材を探していきたいと考えています。
その一つとして、中国からの留学生なども考えています。中国語という強みを生かしながら技術について学び、将来的に日本と中国の技術・製造をつなぐ人材になっていただければと考えています。
――CHEMIARXで働く面白さは、どのようなところにあると思いますか。
日本のお客様が求める法規や品質要求と、中国メーカーの製造現場、その両方に関わることができる点だと思います。
当社の仕事では、日本のお客様だけ、中国メーカーだけを見るのではなく、その間に立って、さまざまな関係者とコミュニケーションを取りながら仕事を進めていきます。
技術的な知識だけでなく、国や企業文化の違いを越えて人と人をつなぎ、一つの設備を形にしていくところに、この仕事ならではの面白さがあると思っています。
山歩きや読書で気持ちをリフレッシュ
――お休みの日はどのようにリフレッシュされていますか。
近くに山がたくさんあるので、少し山に登ったり、本を読んだりしています。インターネットで小説やドラマを見て過ごすこともあります。
山には短い時間でも登ることができます。仕事から少し離れて気持ちを切り替える時間として、山歩きは自分にとって大切なリフレッシュ方法になっています。こうした時間も大切にしながら、これからも仕事に向き合っていきたいと思っています。