世界とのつながりを事業の力に――海外の想いを形にするレストラン経営と挑戦
8000Vintages株式会社 代表取締役 真下 博志氏
8000Vintages株式会社は、コーカサス地方にあるジョージアを中心に、海外とのつながりを活かしたさまざまな事業展開を行う企業です。この8000Vintages株式会社の中核企業は、エヌエスセミコン株式会社にて、近年では、日本国内でアフリカ料理(ALODO KIZUNA Enterprises株式会社)、ウクライナ料理(DOMIVKA株式会社)のレストランを展開し、海外出身者の挑戦や文化を日本で届ける取り組みにも力を入れています。本記事では代表取締役の真下博志氏に、レストラン事業を始めた経緯や、海外との関わりを大切にする経営姿勢、今後の展望について伺いました。
海外とのつながりから生まれた3つのレストラン事業
――現在取り組まれているレストラン事業について教えてください。
私の本業は、半導体をの開発・製造・販売を手掛ける「エヌエスセミコン」の経営です。その事業を軸に、現在はさまざまな分野へ展開しています。
その一つがレストラン事業です。一般消費者の方々と直接関わる事業にも挑戦したいという想いから、約1年前にスタートしました。
現在は、日本国内で3店舗を運営しています。2025年2月に南青山でアフリカ料理店「アGolden Grand Grill Aoyama」、同年9月に神楽坂でジョージア料理店「アジカ」、2026年2月には清澄白河でウクライナ料理店「ドミウカ」をオープンしました。
ジョージア料理の「アジカ」は、多くのお客様にご利用 いただき、現在は予約が取りづらい状況になっています。また、ウクライナ料理の「ドミウカ」は、ウクライナ出身の力士・安青錦さんとのご縁から始まりました。「故郷の料理を身近に食べたい」という想いを伺い、その声を形にする形で開業しました。
――3つのレストランに共通する特徴はありますか。
3店舗に共通しているのは、海外出身の方々と一緒に事業をつくっていることです。
私はこれまで海外とのビジネスを多く経験してきました。その経験を生かし、海外のパートナーと一緒に会社をつくり、相手側にも株式を多く持っていただくという形を取っています。
レストラン事業でも同じ考え方を大切にしており、各国の方々に株式を持っていただき、自分自身の会社という意識で運営していただいています。
日本で事業に挑戦したいという想いを持つ海外の方は多くいらっしゃいますが、ビザの取得など、 外国人の方が日本で会社を経営するにはさまざまなハードルがあります。そうした中で、私が代表を務めることで事業を立ち上げやすい環境をつくり、それぞれの国の文化や魅力を日本で発信するお手伝いが できればと考えています。
海外との出会いが広げた事業展開
――レストラン以外にも海外事業を展開されていますが、どのような取り組みをされていますか。
レストラン事業以外では、エヌエスセミコンで得た収益をもとに、さまざまな企業への投資も行っています。特にこの10年ほどはアフリカに注力しており、西アフリカでの事業展開を進めています。
セネガルでは、日本に住んでいたセネガル人ご夫婦とパートナーを組み、KOBARAX(コバラックス)という会社を4年前に設立しました。現在は、ソーラーパネルや医療機器の現地組み立てに加え、環境問題の改善につながる工場事業にも取り組んでいます 。
アフリカは今後さらに成長が期待される地域だと考えており、中でもセネガルは事業環境が整っていると感じています。現地のパートナーと協力しながら、地域に根差した事業を展開していきたいと考えています。 また、トーゴ、コートジボワール、ガーナ、カメルーン、アンゴラ、モーリシャスにも進出の準備をしております。
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
もともと経営者になろうと考えていたわけではありません。ビジネスの世界には42年間携わっていますが、それまではサラリーマンとして働き、転職も経験してきました。
転機となったのは、2001年から2008年まで勤務していた会社が民事再生を申請したことです。当時、私は役員を務めており、自分自身の今後を考えなければならない状況になりました。
そこで、それまで携わって いた半導体事業を引き継ぐ形で、エヌエスセミコンを立ち上げました。自ら望んで経営者になったというより、事業を続けるために選んだ道でしたが、振り返ると、その決断は良かったと感じています。
自分の目で確かめることを大切にした経営判断
――経営判断をする際に大切にしている価値観を教えてください。
海外のパートナーや事業を判断する際には、必ず自分の目で見ることを大切にしています。
現在はオンラインで打ち合わせを行う機会も増えていますが、最終的な判断の場では、現地へ足を運び、直接会って話をすることを意識しています。
投資をする場合でも、新しい事業を始める場合でも、実際に現地を見ることで初めて理解できることがありますよね。オンライン上のやり取りだけでは分からない部分もあるため、最後は自分の目と足で確かめた上で判断することが、自分の経営における大切な基準です。
――組織運営ではどのような点を大切にされていますか。
現在、レストラン事業では3店舗合わせて約35名のスタッフがいます。契約社員やパートの方も含めた人数です。
私が海外の方との取引やマネジメントを多く経験してきたことは、現在の事業運営にも活きています。
日本人同士の感覚だけでは、海外の方とのビジネスは難しい部分もあります。これまで42年間のビジネス経験の中で、多くの時間を海外の方とのやり取りに費やしてきたことが、自分の強みです。
世界とのつながりを生かしたさらなる挑戦
――今後の展望について教えてください。
まずは、ジョージア料理店とウクライナ料理店を早い段階で2店舗目まで展開したいと考えています。それぞれの国の食文化を広め、日本との交流の活性化につなげたいと思っています。。
また、これまで築いてきた海外とのネットワークを生かし、新たな国との事業にも挑戦していきたいと考えています。
私が大切にしたいのは、海外の方が日本で挑戦したいという想いを形にすることです。日本で事業を始めるにはさまざまなハードルがありますが、その一歩を後押しし、一緒に事業を育てていける存在でありたいと考えています。
時差を活用した休息でリフレッシュ
――休日やリフレッシュ方法について教えてください。
定期的に休暇を取ることはなかなか難しいですが、海外との時差があるため、不定期に休息を取る時間をつくっています。
リフレッシュ方法は、スポーツジムに行ったり、映画鑑賞したりすることです。仕事とは違う時間を過ごすことで気持ちを切り替え、次の仕事への活力につなげています。
これからも海外のパートナーと共に歩みながら、それぞれの国や地域の良さを生かした事業づくりに取り組んでいきたいです。