「誰のための仕事か」を問い続ける――株式会社UNIUVERが目指す“家族代行”のインフラ化

株式会社UNIUVER 代表取締役 佐々木 文矢氏

株式会社UNIUVERは、高齢者や障害者の生活支援、身元保証・身元引き受け、老人ホームや高齢者住宅への入居支援、終活などを幅広く手掛けています。佐々木文矢氏が表現する事業の立ち位置は、「家族代行」。困りごとが起きた際の最初の相談窓口となり、必要な手続きや専門家との連携まで支えています。1500件以上の事例に携わってきた経験をもとに、将来はこの仕組みを社会のインフラのような存在にしたいと考えています。今回は佐々木氏に、事業を始めた背景や独自のビジネスモデル、今後の展望について伺いました。

「家族代行」として、暮らしの困りごとを支える

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

現在は、高齢者や障害者の方への生活支援を中心に、身元保証や身元引き受け、老人ホーム・高齢者住宅への入居支援、終活のサポートなどを行っています。

僕たちの役割を分かりやすく表現するなら、「家族代行」に近いと思っています。ご家族が近くにいない、あるいは頼れる方がいないときに、ご家族に近い立場で必要な対応をしていく仕事です。

介護や入院などの問題が起きたとき、多くの方は「どこに何を相談すればいいのか分からない」という状態になります。そこで、今後起こり得ることを予測しながら、「次はこの準備をしましょう」「この手続きをしておきましょう」と道案内をしています。必要であれば、より専門的な知識を持つ方を紹介することもあります。

――料金を比較的抑えている理由は何でしょうか。

身元保証では高額な費用が必要になるケースもありますが、当社では登録料を最も低い場合で4万4000円からとし、毎月の会費も安い場合は1500円程度から設定しています。所得や年金などの経済状況に応じて、段階的に金額を決めています。

一律料金では、余裕のある人にとっては問題なくても、経済的に厳しい人には大きな負担になります。だから、その方の経済状況に合わせられる仕組みにしています。

また、常に誰かを待機させる体制にはしていません。例えば病院への駆け付けも、「すぐに行けないことはあっても、行かないとは言わない」という考え方です。他の対応をしながら、必要な際にはバックアップメンバーも含めて対応する。この運営方法だからこそ、費用を抑えられている部分があります。

1500件以上の経験から生まれた「なんとかする」力

――幅広い相談に対応できる強みはどこにありますか。

一言で言えば、「なんとかする」という精神です。相談を受けたら、どうすれば解決できるのかを考え、段取りを組み、関係各所と連携していきます。

これまで1500件以上の事例に携わってきました。ネットで調べた知識だけではなく、「実際にこういうことがありました」と具体的な経験からお話しできることは強みだと思います。

また、施設側とも事前に「どこまで対応するのか」をきちんと共有します。こうしたサービスは、お互いの認識がずれると「そこまでやってくれると思っていた」ということが起こりやすいからです。できること、できないことを説明しておくことも大切にしています。

――現在のお客様はどのように増えているのでしょうか。

ほとんどが口コミや紹介です。こちらから「使ってください」とクロージングするというより、「お願いできますか」と相談をいただくことが多いですね。

利用者にとっての「ベスト」を求めて起業へ

――起業されたきっかけを教えてください。

以前は会社員として、2年半ほど老人ホームの紹介事業に携わっていました。老人ホームを紹介し、入居が決まれば施設から紹介料をいただく仕事です。

その中で感じたのが、紹介料が高い施設と、利用者にとって本当に良い施設は必ずしも同じではないということでした。企業として利益を求めること自体が悪いとは思っていません。ただ、「この人にとって本当にここがベストなのか」と考えると、違和感を覚えることがありました。

実際、どうしてもその施設が最善だと思ったときには、紹介料をもらわずに入居を進めたこともあります。ただ、会社員としてすべてをその考え方で進めることはできません。

老人ホーム紹介業そのものは必要だと思っていましたが、当時の会社が求めるやり方では、自分が救いたい人を救えないと感じたこともあり、一度業界を離れました。その後、個人事業として老人ホーム紹介を再び始め、生活支援や身元保証にも事業を広げました。2023年8月に法人化し、株式会社UNIUVERとして事業を展開しています。

――仕事をする上で大切にしている考え方は何ですか。

「結局、これは誰のためにやっているのか」を考えることです。

相談に来ている人は、何かに困っているから来ています。だったら、まずはその人が困っていることを解決することを考えるべきです。最初からこちらの利益を乗せて考えてしまうと、本来できるはずのことを省いたり、逆に必要のないことを提案したりする可能性があります。

ボランティアでは事業として続きません。一方で、必要とされることをしながら、きちんとビジネスとして成立させる。その両方を実現することが大切だと思っています。

目指すのは、誰もが使える「生活のインフラ」

――今後、事業をどのように広げていきたいですか。

将来的には、FCのような形も含め、このビジネスモデルを別の地域に広げていきたいと考えています。

この仕事で必要なのは、資格以上に人間力や調整力だと思っています。家族、病院、施設、ケアマネージャーなど、さまざまな人の間に入りながら、「この先何が起こるか」を想像して調整していく力が必要です。

特に一緒に取り組みたいのは、「これは誰のための仕事なのか」を考えられる人です。老人ホーム紹介や不動産など、既存事業との掛け合わせでも可能性はあると思っています。すでに一定の事業モデルはできているので、これからはどう広げていくかという段階です。

――新しい取り組みも進めているのでしょうか。

現在は、AIを使ったシステムづくりについて、開発ができる方と話を進めています。福祉業界はまだ紙を使う場面も多いため、単純にDXを進めるというより、現場の人が管理しやすく、情報を見やすく、共有しやすくなるシステムをつくりたいと考えています。

会員が100人から500人、1000人と増えれば、当然対応する方法も変わります。そこを仕組みやシステムによって効率化していきたい。同時に、そのシステム自体を福祉事業者向けに提供できれば面白いと思っています。

長期的には、身元保障や生活支援が社会のインフラのように使われる状態を目指しています。高額なサービスではインフラにはなれません。誰もが利用できて、「身元保証で困ったときに最初に思い出す会社として存在できるように」もっとも身近で寄り添う身元保証会社として存在したい。

北海道の札幌で、ちょっと面白いことをやっている人がいる。まずはそんなふうに知ってもらえたらいいですね。ビジネスモデルだけではなく、「どんな人間が、どんな思いでやっているのか」が伝わることで、「一緒に何かやってみたい」と思ってくれる方が増えたらうれしいです。

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