「看護は究極のサービス業」――信頼関係を土台に、その人らしい人生を支える訪問看護

your.c medical株式会社 代表取締役 松山 耀氏

your.c medical株式会社は、訪問看護ステーションを運営し、医療依存度の高い方から介護保険を利用する方まで、幅広い利用者の在宅生活を支えています。代表の松山耀氏が大切にしているのは、医療の知識や技術だけではなく、一人ひとりとの信頼関係を築くこと。「看護は究極のサービス業」という考えのもと、その人が何を大切にし、どのように生きたいのかまで見つめた看護を追求しています。本記事では松山氏に、訪問看護への思いや独立の背景、組織づくりで大切にしていること、今後の展望について伺いました。

地域に必要とされる存在へ――専門特化しない訪問看護

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では訪問看護ステーションを運営しています。医療度の高い方から介護保険を利用されている方まで、幅広く対応していることが特徴です。 

病院を退院した後も医療的な支援が必要な方はいます。そうした方のご自宅を訪問し、医師の指示のもとで点滴をしたり、薬の内容を確認したりしながら、安心して生活できるよう支えるのが私たちの仕事です。なかには最期まで自宅で過ごしたいという方もいらっしゃいます。

専門分野に特化していないことも、私たちらしさの一つです。精神、小児、重症心身障害などに特化した訪問看護ステーションもありますが、私たちが目指しているのは「地域にどれだけ根差すことができるか」。専門に任せたほうがいい場合はお願いしますが、「この方は受けられません」と簡単に線を引かず、必要とされればできる限り応えていきたい。それが地域で私たちが果たす役割だと思っています。 

そして、看護は「究極のサービス業」だと捉えています。疾患だけを見るのではなく、その人の性格や家族との関係、これまでの生き方、何を大切にしているのかまで含めて向き合う。最後に「ここにお願いして良かった」と思っていただける関わりを目指しています。

「自分にもできることがある」――地域の課題を知り、独立へ

――独立されたきっかけを教えてください。

もともと看護師として働き始めた頃から、独立したいという気持ちはありました。病院自体が嫌だったわけではありません。ただ、同じ場所で同じ仕事を続けていくよりも、ほかのことも勉強したいという気持ちが強かったんです。

その後、訪問看護ステーションの立て直しに関わる話をいただき、まずは勉強しようと訪問看護の世界に入りました。周囲の力にも恵まれ、そこで4〜5年ほど経験を積みました。その間には個人でいろいろな事業にも挑戦しました。

転機になったのは、自宅に近い地域に訪問看護ステーションがなく、退院したくても受け入れ先がない方がいると知ったことです。調べてみると、確かに支援が必要な状況でした。「僕でも何かお手伝いできることがあるんじゃないか」と考えたことが、独立につながっています。

――看護師を目指したのは、もともと医療への強い思いがあったのでしょうか。

実は、最初から看護師を目指していたわけではありません。高校時代はやりたいことが決まっておらず、たまたま看護学校への推薦枠が空き、話が回ってきたのがきっかけです。

偶然に近い選択でしたが、今振り返れば「選んで良かった」と言える仕事です。結果として、自分に合った道だったのかなと思います。 

信頼関係があるからこそ、医療を届けられる

――看護で最も大切にしていることは何でしょうか。

私たちが何より大切にしているのは、利用者様との信頼関係です。病院では治療があり、その上に信頼関係があるというイメージですが、在宅では反対だと捉えています。まず信頼してもらえなければ、必要な医療につなげることさえ難しいからです。

どれほど知識や技術があっても、相手との関係を築けなければ十分に生かせません。その方がどんな人生を送りたいのかを知り、私たちが医療者として実現したいこととの重なりを探していきます。 

例えば、生活習慣を変えたほうがいい方に、ただ「変えてください」と伝えるだけでは届かないことがあります。一方で、「この人が言うなら少し変えてみよう」と受け止めてもらえる関係を築ければ、その方らしさを大切にしながら行動の変化につなげられる。そこに私たちの存在意義があると思っています。

訪問看護では、利用者様と10年ほどお付き合いすることもあれば、最期の一息まで関わらせていただく場合もあります。職種という枠を超えて、人と人として向き合う仕事です。一人ひとりのスタッフが良い看護をすれば、そこには一つひとつの物語が生まれます。

採用時のミスマッチを減らし、同じ思いを持つ仲間を増やす

――組織づくりでは、どのようなことを大切にしていますか。

訪問看護は人がいて初めて成り立つ仕事なので、採用と教育は非常に重要です。そのなかでも採用では、入社してからのミスマッチをできるだけ減らすことを意識しています。

面談や面接の前に、公式LINEから動画を見てもらい、会社について必要な情報を事前に伝えています。面接の段階では会社説明を繰り返すのではなく、その人自身を見ることに時間を使える状態にしているんです。

私たちが看護にこだわりを持って仕事をしていることも、最初から伝えています。条件だけではなく、会社の考え方を理解したうえで仲間になってもらいたい。採用人数を増やすことだけを目的にはしていません。 

経営で譲れないのも、利用者様を大切にできるかどうかです。「一つの訪問、一つの挨拶、一つの会議を100点、120点で返すこと」を大切にしています。 

訪問看護から卒業できる状態になった方を、きちんと卒業につなげることも同じです。経営だけを見れば利用を続けてもらう選択肢もありますが、私たちの目的はそこではありません。利用者様にとって何が最善なのかを判断し、誠実に向き合う。その姿勢だけは、組織が大きくなっても変えたくありません。

「この仕事に出会えて人生が変わった」と思える組織へ

――今後、どのような会社を目指していきたいですか。

まずは、利用者様に「この訪問看護ステーションにお願いして本当に良かった」と思っていただける看護を続けていきたいです。それが人と人とのつながりになり、良い関わりがさらに広がっていくような組織にしていきたいですね。

もちろん、私たちのやり方だけが絶対に正しいとは思っていません。「これで合っているのかな」と問い続けながら、自分たちが大切にしてきた看護を磨き、それを少しずつ広げていくつもりです。

僕自身、この仕事に出会ったことで人生が変わりました。だからこそ、スタッフにも「この仕事に出会えて良かった」「ここで働いたことで人生が変わった」と思ってもらえたらうれしいです。そんな仲間が増え、その結果として会社の規模が大きくなるのであれば、成長していくことにためらいはありません。

私たちの看護によって助かる人や、「ありがとう」と言ってくださる方が増えていく。その積み重ねの先に会社の成長があるのが理想です。

これからも一つひとつの出会いを大切にしながら、利用者様と真摯に向き合い、私たちらしい看護を追求していきたいです。

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