OBが後輩を支える学習塾――「生徒ファースト」と先輩後輩の関係性を強みに展開する魁皇塾

合同会社魁皇塾 代表 大岡 海斗氏 茅根 圭吾氏

魁皇塾は、母校のOBが後輩を指導することを特徴とする学習塾です。共同代表を務める大岡氏と茅根氏は高校時代からの同級生で、大学3年生ごろに事業を始め、家庭教師の派遣やスポーツ事業との提携などを経験してきました。その後、自分たちの強みを活かせる事業として学習塾に注力し、2025年4月には名古屋で教室を開き、現在は東京でも取り組みを進めています。

OBが後輩を指導する、学習塾と進学塾の間を埋める仕組み

――現在の魁皇塾の特徴について教えてください。

大岡氏:大きな特徴は、母校のOBが後輩を指導していることです。教室にいる講師も基本的にOBで、卒業した先輩に声をかけたり、帰省するタイミングで来てもらったりしています。

一般的な先生と生徒というよりは、先輩と後輩に近い距離感で接することができます。勉強のことだけじゃなくて、学校生活や受験について、自分たちの経験をもとに話せる点も強みです。

――なぜ現在の形に行き着いたのでしょうか。

大岡氏:私たちは家庭教師の派遣やスポーツとの提携など、さまざまなことに挑戦してきました。そのなかで自分たちの強みを改めて考えたら、母校で学んだ経験そのものを活かせるんじゃないかと気づいたんです。

また、中高一貫校の生徒が6年間ずっと進学塾に通う必要があるわけではありません。とはいえ、日々の学習を支えながら、その先の受験にもつながる場所は必要だと考えています。そこで、学習塾と進学塾の間にあるような存在をつくろうと考えたんです。

名古屋では、そこまで勧誘を行っていません。でも、当初の事業計画と比べると、およそ1.5倍のスピードで進んでいると思っています。生徒ががんばって結果を出してくれたおかげで、今の評判につながりました。

大学時代に始まった挑戦と、自らの経験を後輩へ還元する思い

――お2人で事業を始めたきっかけを教えてください。

大岡氏:私たちは高校時代からの同級生で、私はサッカー部、茅根はアメフト部でした。その後、大学も東京で一緒になり、「2人で何か仕事ができたら」と話すようになったんです。

大学3年生ごろに事業を始めましたが、最初はほとんどノープランでした。私は教育学部で学び、教員免許を取得したほか、学習塾で働いた経験があります。

茅根のほうはお金の面に強いということもあって、それぞれの得意分野を補い合いながら、事業を進めてきた形です。

――教育に携わる上で、原点になっている経験は何ですか。

大岡氏:学生時代、決して成績が良かったわけではありません。実は、私たち2人とも浪人を経験しました。そのなかで、大学受験の際に先輩からもらったアドバイスが、とても役に立ったんです。

教育実習に行ったときにも、自分が先輩から受け取ったものを後輩へ還元できたらと感じました。勉強で苦労した経験があるからこそ、「もう少し早く勉強しておけばよかった」といったことも、自分の実体験として伝えられます。そんな経験が、今の指導のベースになっています。

「生徒ファースト」と「OB」という2つの軸でつくる組織

――経営や教室運営で大切にしていることを教えてください。

大岡氏:「生徒ファースト」をいちばん大切にしています。塾を運営する以上、料金はいただきますが、その金額以上の価値を提供したいんです。

成績だけではなく、モチベーションや内面的な部分にも関わり、生徒の人生を後押しできる存在でありたいです。そのため、講師には、生徒のために必要であれば授業を延長して構わないと伝えています。もちろん、その分はきちんとお支払いして、生徒を第一に考えてもらっています。

――組織運営で守っていることは何ですか。

茅根氏:「OBが後輩を見る」という最初に決めたコンセプトを崩さないことです。立ち上げ当初は講師が足りない時期もあり、この方針について2人で意見が分かれたこともありました。

大岡は生徒ファーストの立場から、生徒を待たせるのであればコンセプトを変えてもいいのではないか、という考えでした。ただ、私は、最初に決めた軸を守りたいと考えていたんです。結果的には、その都度助けてくれる人に恵まれ、コンセプトを変えずに続けられています。

――講師を採用する際に重視していることは何ですか。

大岡氏:学歴だけでは判断せず、人に教える力や生徒との関係性を見ることですね。学歴が高いことと、人に教える力があることは必ずしも同じではないんです。

重視しているのは、いわば人間力です。生徒から愛され、しっかり寄り添える先生かどうかを見ています。また、うちの塾にはちょっと運動部っぽい雰囲気もあるので、部活動を経験してきた人は馴染みやすいと思います。

ドライブや釣り、日常のなかにある2人らしいリフレッシュ

――仕事を離れたときは、どのようにリフレッシュしていますか。

大岡氏:私たちは2人ともドライブが好きなんです。事業を始めて1年目か2年目ごろには、車で釣りに出かけ、釣りをしながら仕事について話して半日を過ごす、みたいなこともよくありました。とはいっても、実際にはほとんど釣れず(笑)。釣り竿を出しながら話をしている時間のほうが長かったです。

また、筋トレも続けています。趣味半分、本気半分という感じですね。あとは、亀を7匹飼っており、ペットと触れ合う時間もリフレッシュになっています。

私たちは現在、シェアハウスみたいな形で一緒に住んでいるので、会おうと思えばすぐに話せる距離にいます。経営方針について意見がぶつかることはありますが、お金を理由に仲が悪くなったことはないです。しかも、たまたま誕生日まで同じなんです。そんな関係性のまま、長い付き合いのなかで事業を続けてきました。

指導の再現性を高め、学校や地域を越えて広げていく

――事業を広げる上で、現在感じている課題は何ですか。

茅根氏:今の課題は、人が増えても同じ水準で指導できる仕組みをつくることですね。今は私たちが教室にいるので、「こうしよう」と伝えながら雰囲気をつくることができます。でも、拠点が増えていくと、全部の教室に私たちがいるわけにはいきません。

講師はそれぞれ、自分が通っていた塾のやり方を参考にすることが多いんです。なので、どうしても教え方や授業の進め方に少しずつ違いが出てきています。今はそこをどう揃えていくかが課題ですね。

――今後どのような展開を考えていますか。

茅根氏:男子校ならではの独特な雰囲気って、学校の中だけじゃなくて、塾でもつくれるんじゃないかと思っています。なので、男子に特化した塾という形も広げていきたいですね。

また、「OBが後輩を見る」という仕組みは母校以外の学校にも応用できると考えています。このコンセプトに興味を持ち、「一緒にやってみたい」という方がいれば、声をかけてもらいたいです。

私たちが詳しくない地域へ広げる際には、地元をよく知る方と取り組めれば心強いですね。塾だけに限らず、スポーツをはじめとしたさまざまな形で、新しい挑戦につなげていきたいです。

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