アルミの可能性を広げ、誰もが挑戦できる社会へ――加藤軽金属工業が描く「アルミ+α」の未来

加藤軽金属工業株式会社 代表取締役 加藤 大輝氏

加藤軽金属工業株式会社は、アルミ押し出し材の製造・加工・組み立てを中心に事業を展開しています。小ロットや特殊対応、試作、廃番製品の再製作など、他社が対応しにくい領域にも取り組む一方、中小企業やベンチャー企業と連携し、社会実装されていない技術を世の中に届ける取り組みにも力を入れています。今回は、代表取締役の加藤大輝氏に、経営に対する考え方、社員との関係、そして「誰もが挑戦できる社会」に向けた展望について伺いました。

「アルミ+α」で付加価値を生み出す

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社は、アルミ押し出し材の製造と加工、そして組み立てをメインにしています。特に力を入れているのが、他社が対応しにくい小ロットや特殊対応です。試作への対応や、作られなくなってしまった廃番製品の再製作などにも取り組んでいます。

また、短納期にも強みがあります。業界でも早い短納期対応を行っており、現場で遅れが発生した際に、他社の分を当社が1週間ほどでカバーするといった対応も可能です。

――新事業では、どのようなことに取り組んでいますか。

一般的なアルミ製品だけで競争するのではなく、「アルミ+α」で付加価値を出すことを意識しています。現在は、放熱能力を高める放熱塗料や、接合技術、耐熱性を高める技術など、さまざまな技術に取り組んでいます。中小企業やベンチャー企業ともコラボレーションしながら、社会実装を目指しています。

「寄り添い方探し」に込めた経営への思い

――会社の理念やビジョンには、どのような思いが込められていますか。

当社ではミッション・ビジョン・バリューを定めています。ミッションは「寄り添い方探し」です。アルミの押し出しでは金型を使って製品をつくりますが、お客様と一緒に適切な金型を探し、形にしていくことから、この言葉を掲げています。

会社は一社だけでは成り立ちません。だからこそ、周囲の人に対して自分たちがどのように貢献できるのかを、時代や社員、お客様に合わせて探していく。その姿勢を大切にしています。

――経営者になられたきっかけを教えてください。

もともと会社を継ぐつもりはありませんでした。以前はパーソルキャリアで新規事業の立ち上げに近い仕事をしており、中日本エリアで専門家紹介事業の立ち上げなどに携わっていました。その中で、金融機関と連携しながら企業の経営改善や新規事業、製造、営業の改善などにも取り組み、300社以上の企業を支援してきました。

その中で実家の会社が経営不振に陥り、外部から支援することが難しかったため、自分が戻ることになりました。

長期的な「グッド」を見据えた組織づくり

――経営判断をする際に、大切にしている価値観は何でしょうか。

長期的な意味で「ソーシャルグッド」になるかどうかは、大きな判断軸です。目先の改善であっても、それが長期的には悪い結果につながるのであればやりません。短期的なグッドと長期的なグッドの両方を取りにいくことを意識しています。

社員についても同じです。社員が幸せにならなければ、会社は良くなっていきません。短期的にも長期的にも、社員の成長につながる経営をしていきたいと考えています。

――社員が挑戦しやすい環境づくりにも取り組まれているそうですね。

挑戦する人を評価する人事制度をつくっています。また、誰もがプロジェクトオーナーになり、協力者を募って、会社や社会のためになることを社内プロジェクトとして起こせる制度も導入しました。成功したか失敗したかだけではなく、やり切ったことを評価する仕組みです。

初年度は半年間で約200件のプロジェクトが社内で生まれました。会社の規模は100名弱ですが、これだけ多くの挑戦が生まれたことは良かったと思っています。さらに、研修や学習にかかる費用を会社が負担したり、希望者が無償でコーチングを受けられる環境も整えたりしています。人的投資はかなり行っています。

「俺」から「我々」へ変わった組織

――社内のコミュニケーションで大切にしていることは何ですか。

私自身は、経営判断の軸を曲げず、将来を見据えてソーシャルグッドになることを淡々とやることを意識しています。一方で、社員からより良い意見が出てきたら、すぐに取り入れることも大切にしています。

現在は、毎月「社内コミュニケーション改善会議」を行い、相手への信頼を高め、仕事をスムーズに進めるにはどうすればいいかを社員同士で考えています。

――組織が変わるきっかけになったことはありますか。

地道なことの積み重ねだと思います。私自身が何が起きても怒らず、淡々としていることで、「この人には何を言ってもいい」という空気をつくることを意識しました。経営者のスタンス一つで、組織は変わっていくと思っています。

コーチングの効果も大きかったです。以前は自分のことを指す「俺」「私」という言葉が多かった社員が、「営業部は」「製造部は」「この会社は」「我々は」という言葉を使うようになってきました。自分だけではなく、会社やお客様、社会まで含めて考える視点が少しずつ育っています。

技術を社会へ、挑戦を社会の文化へ

――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。

現在は台湾系企業への提案を強めています。特に、アルミなどの放熱能力を高める放熱塗料について、半導体関連やデータセンター関連の企業への提案を進めています。来年、再来年くらいで形にしていきたいと考えています。

また、薄膜接合技術にも取り組んでいます。半導体や電子基板など、電気で動くものが発する熱を抑える技術として、3~4年ほどで社会実装を目指しています。AIが社会基盤になっていく中で、電力不足や熱問題といった課題の改善にもつながるのではないかと考えています。

――その先に描いている目標はありますか。

「アルミベースメント」という、アルミがこれからも残っていける社会基盤をつくることです。その上で「アルミ+α」によって、アルミが社会に役立っていく形を探していきたいと思っています。

そして最終的には、誰もが挑戦できる社会をつくりたいです。自分たち自身が挑戦し、「こんな会社でも挑戦できるんだ」と感じてもらえるような事例をつくる。それによって、他の会社や日本の人たちにも「自分も挑戦できる」と思ってもらえる空気や文化を広げていきたいと考えています。

「今いる場所で全力を尽くす」

――経営の中で、これだけは譲れないという思いはありますか。

誰のためにもならないこと、自分のことだけを考えたことは、会社の中では絶対にしないようにしています。

大切にしている言葉に、「今いる場所で全力を尽くす」という意味の言葉があります。できる限り常に全力で取り組み、「今日もやり切った」と思える状態でいたいんです。

――最後に、仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

最近子どもが生まれたばかりなので、家で育児をすることが今の喜びです。

この会社に入ってから、ほぼ毎日仕事をしてきました。それでも今は、家で子どもと過ごす時間が新しい楽しみになっています。

これからも全力を尽くし誰もが挑戦できる社会を作って行けるよう挑戦を続けて行きます。

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