AI時代だからこそ、人の温度を。伴走型Web制作で企業の強みを形にする

戦略的ウェブ制作工房 エルタジェール 代表 宮崎 真一氏

宮崎氏は、新聞記者、外資系の航空企業での勤務を経て、長年にわたり副業としてライティングやWeb制作に関わってきました。2021年に独立し、現在はWeb制作、Web解析、ブランディングまでを一貫して支援しています。AIの進化が加速するなか、人が関わる価値をどこに見いだしているのか。その歩みと仕事への考えを伺いました。

「つくる」だけでは終わらない。成果につながるサイトを目指す

――現在の事業内容について教えてください。

ホームページ制作を中心に、WordPressサイトの構築、Web解析、ブランディングまで対応しています。中小企業では、人手や予算の問題からホームページまで十分に手が回らないケースも少なくありません。そうした企業に対して、サイト制作だけでなく、改善に向けたアドバイスや実務面での支援も行っているのが特徴です。

――サイト制作で大切にしていることは何ですか。

以前は、きれいなサイトや目を引くアニメーションのあるサイトをつくることに満足していた時期もありました。しかし、あるお客様から「とてもいいサイトなんだけど、問い合わせが来ないんだよね」と言われたことが、大きな転機です。

それ以来、サイトは見た目だけではなく、最終的にセールスへ貢献するものでなければならないと考えています。名刺代わりで終わるのではなく、24時間働く営業マンのように企業の魅力を伝え、問い合わせにつなげます。その役割を果たせるサイトをつくることが、現在の仕事の軸になりました。

新聞記者から航空業界へ。積み重ねた経験が独立の土台に

――これまでのキャリアについて教えてください。

社会人としてのスタートは新聞記者です。英語が好きだったことから「The Japan Times」に入り、記事執筆や本の編集に携わりました。その後は外資系の航空企業に勤務し、本業を続けながら、副業としてライティングの仕事も続けてきました。

2000年前後からインターネットが普及し始めたのを機に、私自身もネット上で文章を書くようになったのです。その延長でホームページ制作にも興味を持ち、少しずつ仕事として形になっていきました。

――独立を決めたきっかけは何だったのでしょうか。

2021年、パンデミックの時期に開業届を出しました。当時は55歳で、60歳が見えてくるなか、この先をどうするのかを考えるようになった時期です。

航空業界も大きな影響を受け、飛行機が来なければ仕事そのものが動かない状況が長く続きました。それが背中を押すきっかけとなり、それまで培ってきたライティングやホームページ制作の経験を活かして、本業として取り組むことを決めたという経緯があります。

――仕事や経営の判断で大切にしている価値観は何ですか。

「対等であること」と「誠実であること」です。お客様とは、発注する側と受ける側という関係だけではなく、対等な立場で仕事をしたいと考えています。

1人で仕事をしているため、同時に抱える案件数にも上限を設けています。件数を増やしすぎれば、各案件への対応がおざなりになったり、判断に余裕がなくなったりするからです。自分が責任を持って向き合える範囲を守ることも、誠実さの1つだと思っています。

仕事の「幹」を共有し、専門家の力を最大限に活かす

――外部のデザイナーや技術者とは、どのように仕事を進めていますか。

お客様へのインタビューや方向性の整理、サイト全体の構成といった「幹」にあたる部分は、私が担当します。デザインやWordPressの構築などは、それぞれの分野のプロにお願いする形です。

デザインにもさまざまな方向性があります。士業のようにしっかりした印象を求める場合もあれば、もっと柔らかな雰囲気が適している場合もあるものです。そのため、お願いする相手も案件や業界に応じて変えることを意識しています。

――コミュニケーションで意識していることはありますか。

オンラインでも定期的に話す機会を設けています。また、仕事の話に入る前には、場を温める会話を欠かしません。「最近何をしているの」「映画を見た?」といった、仕事とは直接関係のない話をすることもあります。

オンラインでは、対面に比べて人の体温が伝わりにくいものです。そのため、業務上の情報だけをやり取りするのではなく、人となりが伝わるコミュニケーションを意識しています。

AIを使う時代だからこそ、「人がやる意味」を考える

――今後、力を入れていきたいことを教えてください。

Web解析やブランドマネージャーとしての知識を活かし、アドバイスする仕事にも力を入れていきたいと考えています。

これまでもWordPressについて登壇したり、知識を伝えたりする活動をしてきました。これからは、サイトをどのように改善すれば問い合わせにつながるのか、企業のブランディングをどのように組み立てていくのかといったことも伝えていきたいです。

――AIの進化について、どのように考えていますか。

現在は、AIにサイトをつくらせたり、コードを書かせたりすることも現実になっています。AIを使わないこと自体が不自然になりつつあるため、大切なのは「使うか、使わないか」ではなく「どう使うか」であると思っています。

お客様から情報を聞き取り、テンプレートに当てはめて完成させるだけでは、私が考える誠実な仕事にはなりません。これまで続けてきたインタビューや伴走型のサイトづくりに、AIにも手伝ってもらう形を考えています。現在、そのスタンスを模索しているところです。

「ギブ10、テイク1」の姿勢と、自分らしい働き方

――仕事をする上で、譲れない考えはありますか。

よく「ギブ・アンド・テイク」と言いますが、私のなかでは「ギブ10、テイク1」と考えています。誰かを紹介したり、仕事をお願いしたり、自分にできることをまず行います。その結果として、自分に1つ戻ってくれば、それでいいという考えです。

勤務していた頃から、地域活動や災害時のボランティアなど、損得とは関係なくできることを大切にしてきました。テイクを得るためにギブするのではなく、できることがあるからギブします。その姿勢は、仕事でも持ち続けたいです。

――日々のリフレッシュ方法を教えてください。

日曜日は必ず休み、家族や友人とランチに行ったり、街を歩いたりします。独立したばかりの頃は仕事に必死でしたが、気づくと世のなかのことがわからなくなっているように感じました。それ以来、外に出てさまざまな刺激を受ける時間も大切にしています。

また、毎日ジムに行き、1時間ほど筋力トレーニングをしています。朝は4時に起き、夜は9時頃に寝る生活です。仕事は午後2時頃までにして、それ以降は勉強や情報収集、トレーニングなど、自分自身のための時間に充てています。

独立したからには、勤務時間に縛られない働き方をしたいという思いがあります。AIをはじめとした新しい知識を取り入れながら、人だからこそ生み出せる価値を考え続け、そのための学びと時間をこれからも大切にしていきたいです。

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