「一人ひとりのらしさ」が輝く社会へ――越境体験と国際交流で地域の未来をつくる 

特定非営利活動法人えひめインターナショナルMeet-up 理事長 谷村 一成氏

特定非営利活動法人えひめインターナショナルMeet-upは、愛媛県内を中心に、地域で暮らす外国人住民と日本人住民の相互理解を目指した活動を行っています。一方、谷村氏は教育分野でも「特定非営利活動法人みんなの進路委員会」を運営し、中高生の越境体験や留学支援にも取り組んでいます。今回は、2つのNPO法人を立ち上げた背景や現在の活動、今後の展望、そして谷村氏が描く社会のあり方について伺いました。

外国人と日本人が、ともに地域で暮らすために

――まず、「えひめインターナショナルMeet-up」の活動内容について教えてください。

愛媛県内を主な活動地域として、新居浜市、今治市、松山市を中心に地域で暮らしている外国人住民と日本人住民の相互理解を目指した活動を行っています。

具体的には、毎月1回程度、食やスポーツを通した交流の機会をつくっています。最初の入り口は、誰でも気軽に参加できる国際交流イベントです。その中で、ゴミや防災など、地域で暮らしていく上で関わる生活課題や地域課題について話したり、学んだりする機会も設けています。

また、外国人住民にとって、職場と家庭以外の「サードプレイス」となることも大きな目的です。地域の中に居場所があることで、外国人と日本人がお互いを知り、安心して暮らせる環境につながっていくと考えています。

――もう一つの「みんなの進路委員会」では、どのような活動をされていますか。

「みんなの進路委員会」は教育事業を行っており、中高生を対象に「越境支援」をしています。子どもたちは家庭や学校という、いわば当たり前の世界の中で生活していますが、そこから地域社会へ飛び出していくのが探究学習であり、さらに国境を越えて外の世界へ飛び出していくのが留学だと考えています。

そうした「越境体験」をすることで、自分自身を客観的に見つめ直したり、新しい視点や価値観に触れたりできますよね。その経験が、自分の進路を考えるきっかけにもなると思っています。

一方で、こうした機会は都市部や経済的に豊かな家庭に偏りがちです。だからこそ、誰もがアクセスできるようにしていきたいという思いで活動しています。

「地域や環境による機会の格差」が原点

――2つのNPO法人を立ち上げたきっかけを教えてください。

私が社会人として最初に働いたのは、東京のベンチャー企業である人材会社でした。そこでは外国人労働者の人材紹介と、海外大学へ進学した日本人学生の就職支援に関わっていました。

外国人労働者については、日本で働くことを希望する方と企業をマッチングしていましたが、最初は喜んで働き始めた方が、気づいたら退職していることがあるんです。待遇など会社側の問題だけではなく、地域の中で孤立してしまったことが理由だと分かってきました。

地方では、外国人が職場に一人だけというケースもあります。会社に親身になってくれる上司や先輩がいても、同世代の友人がいない。都市部であれば大学時代の友人など、職場以外の居場所を持てますが、地方では就職をきっかけに初めてその地域に来る人も多く、会社しか知り合いがいないという状況が起こります。そこから孤立し、地域になじめずに退職してしまうことがある。これを何とかしたいと思ったのが、活動のきっかけです。

地域に「攻めの地域移行」と越境の機会を

――今後、どのような事業展開を考えていますか。

「みんなの進路委員会」では、これまで学校への出張授業を数多く行ってきましたが、単発で会うことには限界もあります。そこで現在は、放課後に子どもたちが自由に探究できる「地域の部活動」を立ち上げました。

部活動の地域移行は、学校単位では人数を確保できない場合に地域で集まるという「守りの地域移行」が中心ですが、私たちは「攻めの地域移行」もできると考えています。学校と部活動が切り離されるからこそ、小学生から高校生まで世代を横断した活動や、企業と連携した取り組みができます。

地域の企業と連携しながら、子どもたち自身が地域の中でプロジェクトを起こしたりすることで、次世代を担う人材を地域で育てていきたいです。現在は四国を中心に、さまざまな地域へ展開しています。

また、留学についても、既存のプログラムに送り出すだけではなく、経済的なギャップなどを越えて、より挑戦しやすい留学プログラムをつくる動きを進めています。

――「えひめインターナショナルMeet-up」についてはいかがでしょうか。

まずは愛媛県内での展開を強めていきたいです。現在、新居浜市では毎月1回、今治市や松山市でも活動を広げています。将来的には毎月、毎週、そして常設の居場所となるような形を目指しています。

その先には、愛媛県内だけではなく、四国4県へ広げていきたいです。外国人住民と日本人住民が互いを理解し、地域の中で一緒に過ごせる場所を、少しずつ増やしていきたいです。

「共創」で社会をより良くする

――活動を進める上で、現在感じている課題はありますか。

教育には、なかなかお金が集まりづらいという課題があります。私たちが出張授業を行っている学校には、島や山間部など交通が不便な地域も多く、経費もかかります。一方で学校側には十分な予算がないため、スポンサーを募るなど、さまざまな方法で資金を集めていますが、まだまだ大きな課題です。

また、探究学習や留学について、「そんなことをして何になるのか」「大人になってからでいいのではないか」という意見をいただくこともあります。なぜ今、その経験が必要なのかを丁寧に伝えていくことも重要です。

外国人住民についても、さまざまな印象を持つ方がいます。私たちは、ただ外国人が増えればいいと考えているわけではありません。すでに地域で暮らしている方々が、地域の住民として日本人とともに居心地よく暮らせるようにする。そのために、対話を重ねながら相互理解を進めていきたいと思っています。

野球を続けることがリフレッシュに

――お休みの日は、どのようにリフレッシュされていますか。

趣味も仕事のようになってしまっていますが、野球は小学3年生の頃からずっと続けています。現在もマスターズ甲子園の選手として試合に出場しているほか、香川県の連盟の運営にも携わっています。

AIの時代だからこそ、一人ひとりの個性や「その人らしさ」が、より大切になっていると思います。私たちの活動を通じて、一人ひとりが自分らしさを発揮し、それぞれの個性がうまく噛み合うことで、新しい価値が生まれる社会をつくっていきたいです。

これからもさまざまな人や団体、企業の皆さんとコラボレーションしながら、少しずつ社会を良くしていければと思っています。

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