株式会社ヴェリテワインコンサルティング 代表取締役 伊澤成典氏
日本のワイン市場はいま、転換期を迎えています。
輸入ワインの多様化や国産ワインの品質向上、若い世代の嗜好の変化、そして飲食業界全体の構造転換など、様々な要素が複雑に絡み合いながら、大きなうねりが起きつつあります。
そんな中、この業界を誰よりも深く見つめ、最前線で支え続けてきたプロフェッショナルがいます。株式会社ヴェリテワインコンサルティング代表取締役・伊澤成典さんです。
ワインに携わるすべての業態、たとえばインポーター、酒販店、レストランなど、それぞれ異なる立場の課題に寄り添いながら、業界全体の発展を目指して伴走する、まさに本物の支援者といえる存在です。
業界の“いま”に寄り添う、オーダーメイドの支援
「弊社は、ワインに関わるあらゆる業態の方々へ、コンサルティング、セミナー、プロモーションなど多面的なサービスを提供しています」と伊澤さんは語ります。取り扱うテーマは多岐にわたり、ワインの選定・仕入れ戦略の立案から、店舗設計やサービス導線の見直し、販売促進イベントの企画、さらにはスタッフの教育や接客スキルの向上まで、まさにワインに関するすべてが対象です。
「現場の細部にまで入り込む支援ができるのは、これまでの経験があるからこそです」と伊澤さん。
その言葉の背景には、インポーターや酒販店、広告会社、ワインバーといった業態すべてで実務を積み重ねてきたという、類い稀なキャリアが存在します。
「それぞれの現場には、それぞれの痛みや葛藤があります。私はそれを肌で知っているからこそ、現実に根ざしたアドバイスができるのだと思います」と語ります。
市場全体を底上げするために
伊澤さんの視線は、単なるクライアントごとの成功にとどまりません。日本のワイン市場そのもののポテンシャルを引き出すための活動にも力を注いでいます。
例えば、初心者でも気軽に学べるワイン講座では、専門用語にとらわれず、生活に根づいた視点でワインの魅力を発信。自社開催や講師依頼を含め年間150回以上のワイン講座で講師を務めています。日本のワイン産業全体の未来を見据えた広報・啓発活動にも積極的に取り組んでいます。
「ワインはもっと自由で、もっと楽しいものです。肩肘張らずに気軽に触れてもらうことが、市場の持続的な成長につながると思っています」
そう語る伊澤さんの取り組みは、業界の裾野を広げる力となり、やがて日本のワイン市場そのものを豊かに育てていく原動力となるでしょう。
経験から生まれた覚悟と信頼
伊澤さんがワインと出会ったのは、大学卒業後に訪れたヨーロッパ旅行中のことでした。
「ワインって、土地や気候、人の暮らしや歴史、まさに文化そのものなんです」
その深みに魅了されたことが、人生の転機となりました。
帰国後はワインスクールの講師やワインインポーターでの勤務を経て、独立。ヴェリテワインコンサルティングを設立しました。
「創業当初はなかなか思うようにはいきませんでした。それでも、ワイン業界の最前線にいるという自覚と、そこで得た情報を自分自身の言葉で真摯に伝えていくというスタンスだけは貫いてきました」
そうした積み重ねが信頼を呼び、いまでは全国から相談が寄せられる存在へと成長しました。
日本のワイン文化を“世界基準”に
伊澤さんのビジョンは、ワインが日本人にとって特別な物ではなく、日本ワインや輸入ワインという垣根を越え、将来的にはワインがもっと身近で気軽な物、ワインが文化として根付いた社会。
極端な話をすれば、わざわざワインスクールに通って学ばなくても、ビールや日本酒のように、ワインってなんとなくこんな物かなという事が肌感覚でわかる、そんな時が日本にワイン文化が根付いた瞬間、成熟した日本のワイン文化への第一歩だと語ります。
「日本には世界でも稀に見る、様々な国の料理が気軽に楽しめる食文化と、伝統国から新興国、さらに自国のワインを含め、様々なワインを気軽に楽しめる環境があります。そんな恵まれた食文化と環境を活かさないのは、楽しまないのは、あまりに勿体ないと思います。」と伊澤さん。世界の料理と文化をつなぐ存在として、ワインは日本人の生活に更なる価値をもたらそうとしています。
ワインは人生を豊かにする「入口」
「ワインって、本当に人生を豊かにしてくれる存在なんです。難しく考えなくて大丈夫。まずは気軽に一杯、楽しんでみてください。そして、もっと知りたいと思ったら、いつでも私たちを頼ってください。一緒に日本のワイン文化を育てていきましょう」
最後に、これからワインに関わってみたいと考えている方々に向けて、伊澤さんはこんなメッセージをくれました。
伊澤さんの言葉からは、ただワインを扱うだけではない、「文化を育てる覚悟」と「人に寄り添うまなざし」が伝わってきます。その確かな歩みは、ワイン業界の未来を照らす灯台のような存在になっているのかもしれません。
