SMASH国際監査法人・SMASH国際アドバイザリー合同会社 代表パートナー 森 大輔氏
「会社は成長を止めれば終わってしまう。これは宿命です」。
穏やかな口調の奥に強い信念を秘めるのは、公認会計士として監査法人を率いる森氏です。
PwCでの海外駐在を経験したのち独立し、現在は国際業務を多く手掛けるSMASH国際GROUPを構成する監査法人とアドバイザリー会社の代表社員を務める。また、6法人を統括するSMASH GROUPのグループ代表としての顔を持つ。SMASH国際GROUPで掲げるビジョンは「グローバル社会に信頼と安心を届ける」こと。
今回のインタビューでは、森氏の経営哲学や事業へのこだわり、そして未来に向けた展望について語っていただきました。
海外案件に強みを持つ独自の立ち位置
━━ 現在の事業内容と特徴を教えてください。
SMASH国際GROUPは東京を中心に展開しており、会計監査、米国の証券市場であるNasdaqを含む上場支援、内部監査、会計・決算支援、ガバナンスやリスク管理、内部統制の構築支援、M&Aに関連するデューデリジェンス業務、そして海外進出支援を展開しています。日本国内の上場会社を含む企業だけでなく、外資系企業も多くクライアントに持っています。特に強みとしているのはクロスボーダー案件です。大手監査法人(通称”ビッグ4”)以外でグローバル案件に対応できる数少ない存在であることが大きな特徴です。創業3年目とまだスタートアップに近い状態ですが、現在急成長を遂げてきています。
また、SMASH GROUPは愛知を中心に100名を超える従業員を抱えている一大組織です。グループ経営の統括を行うホールディングス会社、税務業務を行う税理士法人、その他、コンサルティング会社、行政書士法人、不動産会社並びに社会保険労務士法人の6法人から構成されています。創業は48年目に入るところですが、年齢層も上は87歳、下は22歳と様々な人が働いていることが特徴です。相続関係に強く、年間で300件以上の相続税申告を提出しています。
━━ 企業理念やビジョンを教えてください。
SMASH国際GROUPでは「グローバル社会に信頼と安心を届ける」ことをビジョンとし、益々重要性が高まるグローバルビジネス社会に果敢に挑戦する企業を支援しています。クロスボーダーでビジネスを行う場合、どうしても地理的距離が障害となり、海外にある子会社や国内にある外資系企業への管理が行き届かず、期待した結果にならないことが少なくありません。SMASH国際GROUPがしっかりとクライアント様の中に入って、グローバル社会に信頼と安心を提供する、経営者が安心して海外進出できるようになることが使命であると考えています。
また、SMASH GROUPにおけるビジョンは「ご縁あるところすべてに特別な毎日を届ける」です。顧客だけでなく従業員や取引先も含め、SMASH GROUPと関わるすべての人に特別な毎日を提供することを目指しています。そのために「日本一働きやすい会社」と「業界内でのブランド力ナンバーワン」を2028年の創業50周年に向けた目標としています。
PwCを飛び出し、自らの理想を追うまで
━━ 経営者を志したきっかけは何でしょうか。
PwC(PricewaterhouseCoopers/プライスウォーターハウスクーパース)で約15年間、監査やガバナンス業務に携わり、世界の経済大国であるアメリカや会計業界の聖地でもあるイギリスにて、世界中から集まるグローバルエリート達と切磋琢磨するといった駐在経験も積みました。しかし、次第に「すべてを自分で責任を持ち、事業を夢にした仕事を自ら創りたい」と思うようになり独立を決意しました。PwCは今でも大好きな組織であり、生まれ変わってもPwCに入りたいと思えるブランドですが、一方で、自分が作った組織の中でしか事業を夢にして、熱い気持ちで仕事に向き合え得ない、と思うようになりました。
━━ 経営で大切にしている価値観は何ですか。
「スピード感」と「従業員の幸福」を重視しています。東京では積極的に事業を推進し、愛知では社員がついてこられるようにペースを調整しています。従業員が幸せでなければお客様に良いサービスを提供できないと考えています。そして何よりも誠実であること、を大切にしています。一つ一つの誠実性が信頼を生み、それが更に大きな信頼へと繋がり、お互いのご縁を大切にしていくことが経営に大切であると考えています。これはクライアントに対してではなく、社内に対しても同様に考えるところです。
主体性を育むボトムアップ型経営
━━ 社員の主体性を引き出す工夫はありますか。
特に愛知で展開する事業では、事業計画や予算は基本的に現場からのボトムアップで行います。若手社員にも裁量を与え、入社1年目からイベント企画や予算管理に挑戦させています。成功や失敗を自分事として感じてもらい、小さな成功体験を積むことで、一人ひとりが「小さな会社の経営者」としての意識を持つようになります。この小さな会社の経営体験がクライアントが抱える悩みや課題に気付くきっかけになると考えています。
━━ 社員に求める資質は何でしょうか。
やる気と主体性です。特に採用では私自身がここ1年余り関わるようになり、自らSMASH GROUPとSMASH国際GROUPの方向性や私自身への事業への夢を語り、それに共感できる、熱意のある人材を求めています。文化面では、愛知では地域貢献や雇用創出を重視し、東京ではグローバル展開を意識した積極的な風土を育てています。
成長を止めない挑戦と未来への展望
━━ 今後の事業展開を教えてください。
基本方針は「持続的な成長」です。愛知では年間10~20%、東京では毎年1.5倍の成長を目指しています。既存事業の拡大に加え、シナジーを生む新規事業も検討していますが、急激な拡大ではなく堅実な成長を大切にしています。
━━ 3年後のビジョンは?
2028年の創業50周年に向けて「日本一働きやすい会社」と「ブランド力の確立」を掲げています。従業員が自分らしく働ける環境を整え、人数拡大よりも質の高い人材育成を重視します。
24時間365日、経営にすべてを懸ける理由
━━ 経営において大切にしている姿勢は?
「仕事への覚悟」です。社長にプライベートは不要と考え、365日24時間仕事に向き合っています。趣味やリフレッシュも不要で、仕事そのものが最大の喜びです。
━━ 尊敬する人物はいますか。
特定の人物を崇拝することはありません。参考になる考えは学びますが、常に直感と試行錯誤を重ね、自分自身の経営スタイルを築いてきました。
━━ 読者へのメッセージをお願いします。
経営は平坦な道ではありませんが、大きな学びと喜びがあります。大切なのは成功を真似るのではなく「自分ならどうするか」を考えることです。人との繋がりを大切にし、情熱を持って挑戦を続ければ、新しい価値を必ず生み出せると信じています。