誰もが自身の価値を見出せる社会へ――児童養護施設出身の代表が挑む、キャリア教育の新しいかたち

一般社団法人いまからつくる 代表理事 林 めるり 氏

児童養護施設で育った自身の経験をもとに、子どもたちのキャリア教育を支援する「一般社団法人いまからつくる」。

同法人は、進路選択を迎える子どもたちに多様な大人と出会う機会を届け、未来を描く力を育むプログラム「大人博物館」を展開しています。

今回は代表理事・林めるりさんに、設立の背景や組織づくり、そして今後の展望について伺いました。

「多様な大人と出会える博物館」を全国の児童養護施設へ

――まず、活動内容を教えてください。

一般社団法人いまからつくるは、児童養護施設で暮らす子どもたちを中心にキャリア教育を支援する非営利団体です。

私たちの主軸プログラム「大人博物館」は、小学高学年から高校生を対象に、多様な働き方や価値観を持つ大人と出会う場をつくる取り組みです。

まるで“多様な大人が展示される博物館”のように構成し、子どもたちがリアルな言葉を通して将来を考えるきっかけを届けています。

児童養護施設で暮らす子どもたちは、社会との接点が限られており、大人の姿や職業観がどうしても偏りがちです。

そのため「大人博物館」では、会社員、料理人、税理士、経営者、フリーターなど、さまざまな職業の大人に登場してもらっています。

中には、挫折を経験した人や一度無職を経験した人もいます。

子どもたちには「どんな道を選んでもいい」「選択肢はひとつじゃない」と感じてほしい。

そのため、展示する大人の組み合わせも毎回丁寧に調整しています。

自身の原体験が活動の原点に

――設立のきっかけを教えてください。

私は4歳から18歳まで、児童養護施設で育ちました。

衣食住の安全は守られていましたが、社会に出るための情報や“働く大人”との出会いが少なく、将来を思い描くのは難しい環境でした。

18歳で施設を出るとき、最初に考えたのは「どうすればひとりで生きていけるか」。

その思いから、寮付きの職場を選びました。けれど、働き続けるうちに劣悪な労働環境に苦しみ、辞めたくても住む場所と仕事を同時に失う不安から動けなくなりました。

退職して東京に戻ったとき、自分の視野がいかに狭かったかに気づきました。

「知らない仕事や働き方は、世の中にいくらでもある」。

その気づきをくれたのは、視野を広げてくれる大人との出会いでした。

同じように進路に悩む子どもたちに“出会いの機会”を届けたい――。

そんな想いから2024年に活動をスタートし、同年12月に法人化しました。

多くの人と力を合わせながら

――現在の組織体制を教えてください。

現在は、私を含め理事3名、業務委託1名、プロボノ2名の計6名が中心となって運営しています。

活動の広がりとともに、ボランティアや協力者も増えてきました。

今後は地域ごとに拠点を設け、より多くの施設で「大人博物館」を開催できる体制を目指しています。

全国610施設へ広げるために

――今後の展望と課題について教えてください。

現在は知人ネットワークを中心に活動していますが、全国には約610の児童養護施設があります。

そこへ広げていくには、人材の拡充と、活動の理念を共有できる仕組みづくりが欠かせません。

今後は、プログラムのマニュアル化・言語化を進め、誰でも「いまからつくる」の理念をもとに活動できるよう整備していく予定です。

また、将来的には、かつて施設で育った子どもたちが大人になり、展示者として戻ってくるような循環をつくりたいと考えています。

未来を形づくる “出会い” を社会に

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

私たちのミッションは「誰もが自身の価値を見出せる社会をつくる」ことです。

子どもたちはもちろん、大人になってからも、自分の可能性に気づく瞬間は誰にでも訪れます。

そのきっかけは、たったひとつの出会いや言葉かもしれません。

私たちの活動は、その“きっかけ”を社会全体で共有していく試みです。

ぜひ、未来をともにつくる仲間になっていただけたら嬉しいです。

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