株式会社プラスパ 代表取締役 荻原順子氏
マインドフルネスという言葉が一般化するずっと以前から、独自のアプローチで心と体の回復を支えてきた株式会社プラスパ。創業者・荻原順子氏は、36年もの間、一人ひとりの人生に寄り添い続け、現在もなお、国内外問わず多くの人を導き続けている。今回のインタビューでは、創業の背景、組織への想い、そして未来への展望まで、その哲学の根源を伺った。
プラスパの理念と事業の現状
――現在展開されている事業と、その特徴について教えてください。
マインドフルネスという言葉が広まる前から、独自のプラス思考を核にしたメソッドを続けています。まずは心と体が疲れ切った方が受けられるよう、独自の「プラスパタッチ」によるリラクゼーションセラピーで体を緩め、次にストレッチや呼吸法、メディテーションへと進みます。
2年制のマインドフルネスアカデミーもあり、ゆっくりと確実に自分を整えていくことを目的にしています。短期で結果を求めるものではなく、人生の軸から変わっていく本質的なプログラムです。在校生は医師、看護師、会社経営者、設計士、主婦など多様で、皆さんがそれぞれの場で「自分らしく輝く力」を発揮してくださっています。また花嫁修行や定年後の有意義な過ごし方を目的とされている方も多数いらっしゃいます。
――理念やビジョンで最も大切にしていることは何でしょうか。
何より「人」です。スタッフ一人ひとりが才能を発揮できる環境をつくり、お客様が安心して心を委ねられる場所「サードプレイス」であること。スタッフ自身がマインドフルネスを実践し、日々明るく働けること。それが会社の力にも、社会の力にもなると信じています。
荻原氏の歩みと大切にしている価値観
――経営者になられたきっかけを改めて教えてください。
父を亡くしたことが大きな原点です。精神的に不安定になったとき、母の強さと優しさに支えられました。
その後、自身の婦人科系の手術をきっかけに精神のバランスを崩し、あらゆる手を尽くしても回復できない日々が続きました。そんな中、「頼るのではなく、自分を立て直すのは自分しかいない」と気づいた瞬間、道が開けました。呼吸法や体操を自分なりに工夫し、心も体も回復していった経験が、今の活動のすべての源です。
――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。
「謙虚」「純粋」「素直」です。この3つがあれば、どんな局面も乗り越えられます。また、必ず自分の目で見て、自分で感じて判断することも大切にしています。
カウンセリングでも、相手の経験や価値観を丁寧に受け取らないと、真の意味で寄り添うことはできません。だからこそ、どの方とも一対一で真剣に向き合っています。
組織運営とスタッフとの関係性
――スタッフの主体性を引き出すために心がけていることはありますか。
スタッフは「社員」ではなく、私にとっては「大切な子供のような存在」です。日頃から表情や声のトーン、ちょっとした変化にも気づくようにしています。必要なときは注意し、良いところはしっかり褒め、絶対の信頼関係を築いていくことが大切だと思っています。
――社内コミュニケーションで大切にしていることは?
とにかく皆が温かくつながっていることです。クリスマスパーティーやお花見、季節ごとの行事を続けており、スタッフの家族も含めて集まります。アカデミーの上級クラスでは、私が独自の体操やメディテーションを教え、その発表会も恒例行事です。
この“一体感”が、プラスパらしい温度をつくっています。
未来への展望と挑戦
――今後の展望を教えてください。
マインドフルネスがもっと正しく、そして身近に広まるように、企業や教育機関への導入を進めていきたいと思っています。
特に「女性を強く優しく育てること」に力を入れたいです。女性が変われば家庭が変わり、社会が変わる。これは長年多くの方を見てきたなかで確信していることです。
また、アカデミーへの入り口をもっとわかりやすくして、多くの人が安心して楽しく学べるように整えていきたいと考えています。
個人的な価値観・日常の過ごし方
――尊敬される方を挙げるとしたら?
母ですね。若い頃から、母の優しさ、強さ、品位のある佇まいに心から憧れてきました。歳を重ねるほど、その偉大さを実感しています。
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
主人や子供達がとても良き理解者で、皆で食事に行ったり、旅行を楽しむことが気分転換になっています。また、動物が大好きなので、動物と触れ合う時間は何よりの癒しです。主人も同じように感じてくれるようになり、今では猫ともよくお話しています。

