技術者に寄り添うIT企業の成長戦略――橋本和敏代表が語る「理想の会社づくり」

株式会社アルナージュ 代表取締役 橋本和敏氏

フリーランスエンジニアとしての経験を起点に、「理想の働き方を実現できる会社を作りたい」という思いから創業した株式会社アルナージュ。現在ではSES事業と受託開発、IT保守サービスを柱に、40名以上が活躍する組織へと成長しています。IT業界の変化が加速する今、橋本代表はどのような思いで会社を運営し、そして未来を描いているのか。創業の原点から組織づくり、今後の展望までを伺いました。

事業の核にある想い――企業の“ITの頼れる存在”を目指して

――まず、御社の事業内容と特徴についてお聞かせください。

当社は1999年に創業し、現在はSES事業と受託開発を中心に展開しています。以前はSESの比率が高かったのですが、リーマンショックや震災、コロナなどの影響を受け、人材一本では会社としてのリスクが大きいと感じ、持ち帰りの案件も強化してきました。現在は売上の3割ほどが受託案件になっています。

私はフリーランス時代、中小企業のお客様が「IT担当がいない」「どこに頼んでいいかわからない」と困っているシーンを多く見てきました。そこで当社では、システム導入とセットで保守サービスも提供し、いわば“パソコンの便利屋さん”としてお客様の窓口になることを大切にしています。高額な専門業者に依頼する必要がなくなり、当社としても安定した関係を続けていける。双方にとってメリットの大きいサービスだと感じています。

起業の原点――働く人が幸せになれる環境を自分でつくる

――橋本さんが経営者を志されたきっかけは何でしょうか。

私が業界に入った当時は、月250~300時間の稼働が当たり前というような環境で、体を壊す人も多く、仕事を選べないという課題もありました。好きな仕事ではあるものの、「これでは長く続けられない」という思いが強く、理想とする働き方ができる会社が当時は存在しなかったんです。それなら自分で作ろう、と。労働者である自分が「こういう会社なら居心地がいい」と思える環境であれば、同じように感じてくれる人もいるはずだと考え、起業を決めました。

創業から25年以上経ちましたが、「社員が理不尽な状況に陥らないようにする」「やりがいを感じられる仕事を提供する」という方針はずっと変わっていません。

社員第一の組織づくり――対面で寄り添うコミュニケーション

――社員の方々とのコミュニケーションで大切にしていることは。

できるだけ対面で会うことを心がけています。IT業界では「困ったことがあれば言ってね」というスタイルが多いのですが、技術者の側からSOSを出すのは意外と難しいものです。ですので定期的にランチをしたり、お茶をしたりしながら、仕事の進捗だけでなく悩みや不安を早めに拾えるようにしています。

おかげさまで定着率は非常に高く、仕事が原因で辞めたという人はほとんどいません。年に1回の社員イベントも出席率が高く、年齢層も20代から60代まで幅広いのですが、雰囲気の良さが当社の強みだと感じています。

次のステージに向けて――採用と育成で組織の未来を形づくる

――今後の展望について教えてください。

IT業界はAIの進化など変化が激しいですが、「要望を聞き、形にしていく」という工程は今後も必要ですし、技術者の価値はむしろ高まると考えています。ですから、これからは採用と育成により力を入れ、5年後・10年後に社員数を今の倍にできるよう成長していきたいです。

銀行やインフラなど社会基盤を支える案件も増えており、実際に稼働するシステムを見ると社員のモチベーションも上がります。「やってよかった」と誇りを持てる仕事を増やし、会社としても人としても成長し続けられる環境をつくりたいと思っています。

長く健やかに働くために――心と体を整える“動く習慣”

――仕事を続けるうえで、橋本さんが大切にしている習慣やリフレッシュ方法はありますか。

そうですね。私の場合は、やはり“体を動かすこと”が一番のリフレッシュになっています。といってもスポーツジムに通うような本格的なものではありません。仕事の合間に少し遠くまで散歩をしてみたり、自転車に乗って街の中をゆっくり巡ったり、登山とまではいかなくても軽いハイキングに出かけたりと、できる範囲で体を動かす時間を意識的に作るようにしています。

IT業界では、仕事中はどうしても長時間座りっぱなしでパソコンに向かうことが多いですよね。調子が良い時はそのまま集中して取り組めるのですが、壁にぶつかったり悩む場面では、頭の中が煮詰まりやすくなります。そんな時こそ、体を動かして気持ちを切り替えることが効果的だと実感しています。

ですので、日頃からできるだけ体を動かし、心身の状態を整えることを大切にしています。それが結果的に、仕事の質を高めることにもつながっていると感じています。

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