戦後から続く75年の革新。窓辺から人々の暮らしをつくり続けるカーテンレールのパイオニア

トーソー株式会社 代表取締役 八重島 真人氏

トーソー株式会社は1949年9月設立、カーテンレール、ブラインド、ロールスクリーンなど「窓まわりのインテリア製品」の開発・製造・販売を手がけ「窓まわりのインテリア=トーソー」として存在感を示してきました。本記事は代表の八重島氏にお話を伺い、現在の取り組みや経営の考え方、今後の展望について伺いました。

日本のインテリアを豊かに。創業精神を受け継ぐ

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

現在の主力商品はカーテンレール、ブラインド等の窓まわり製品です。

当社は1949年、戦後間もない頃に内装工事業から始まった会社です。創業者は西欧文化が急速に普及するなか、今後増えるであろう「カーテンレール」に着目し、断面がC型の「C型カーテンレール」を開発しました。

当時の日本の住宅にはカーテンなどなく、周囲からは反対があったそうですが、「日本のインテリアを豊かにする」との想いから、粘り強く取り組んでいきました。

飛躍のきっかけとなったのは日本住宅公団が立ち上がり、団地が増えていったことです。C型カーテンレールが標準装備となり、団地が増えていくことで当社の商品も売れていきました。

また、今では当たり前となっている厚地とレースの2重吊りを流行らせたのも当社です。

――業界内での強みはどのような点にありますか。

在庫や納期が重要なビジネスですので、カーテンレールについては基本的に午前中のご注文で、その日中に出荷するスピード感で対応しています。

ブラインド類は別注品のため即日出荷とはなりませんが、最短3日で仕上げて出荷します。

カーテンレールの国内シェアはNo. 1で、100億円近く売り上げている企業は世界的にみてもおそらく無いと思います。

揺るがない価値観が導いたトップへの道

――経営者になられた経緯を教えてください。

私に転職経験はありません。1989年に入社してからこの会社でキャリアを積み上げてきました。

ターニングポイントは降格を経験したことです。33歳で課長になりましたが、うまくいかず降格になりました。そこで諦めるのではなく、これを機に資格の勉強を始めました。その経験が人間としての幅を広げ、「大抵のことは何とかなる」と思えるようになりました。

その後営業副本部長、管理本部長等を歴任し、2024年、会社が創立75周年を迎えるタイミングで、代表取締役社長に就任しました。

――仕事をする上で大切にしている価値観は何でしょうか。

倫理観が一番大事だと思っています。

正しいことを正しく、悪いことして金儲けしようと思わない、これが基本です。社員にも「常に正しいことを正しくやる。お父さんお母さん、お子さんに見られても恥ずかしくない仕事をしよう」と、繰り返し伝えています。

そして結果にこだわること、約束したことはきちんと守ることを大切にしています。

自立と協調で強いチームをつくる

――組織運営で意識していることを教えてください。

「スーパーフラットな組織」を目指しています。いわゆるレポートライン(指示命令系統)はしっかりしないと駄目ですが、それ以外の部分はフラットであるべきだと考えています。自由に意見を言い合える場をどれだけ醸成できるかが重要だと思います。当社は役職で呼ぶことを禁止しており、私に対しても「社長」ではなく、「八重島さん」と呼ぶよう社員にはお願いしています。

――社員に求める姿勢はどのようなものですか。

それぞれが自立して役割を連携していく「自立と協調」が大事ですね。これはチームスポーツと一緒だと思います。

当社は比較的おとなしい人材が多いと思います。私たちが扱うカーテンレールは、カーテンがなければ成り立たないものです。だからこそ当社には「一緒にやっていく」という精神が根付いていると思います。

これを当社ではコア・バリュー「WITH_」と表現しています。言い換えれば「調和の精神」であり、これを強みとして活かしていきたいと考えています。

暮らしに新たな価値を。窓まわりの未来を広げる挑戦

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

当社のコアビジネスは「国内・住宅・窓」です。この分野の将来は決して明るいとは言えない状況ですので、事業領域の拡大を進めています。具体的には、「国内・住宅・窓」の反対である「海外・非住宅・窓以外」に取り組むということです。

1つ目の「海外」は、日本より成長率が高く、特に東南アジアは人口も増えています。電動商品への関心や日本品質への評価も高く、アジア圏を中心に販売を拡大したいと思います。


2つ目の「非住宅」は、インバウンド需要に伴いホテル建設は引き続き好調ですし、特に大阪などは今後しばらく発展する可能性があると考えています。こういった需要の取り込みを進めています。

3つ目の「窓以外」では、ハンギングバーやランドリーバーなど住宅の窓以外の売上拡大に取り組んでいます。また住宅以外にも電車や観光バス、建機の窓などへの領域拡大も狙っています。

単なるハードウェアのメーカーとしてだけではなく、人が過ごす空間に携わる企業として、豊かな空間づくりを通じて皆さまの豊かな暮らしに貢献していきたいと思っております。

スポーツの力に魅了。茨城ロボッツがくれるリフレッシュ

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

当社はプロバスケットボールリーグB1の「茨城ロボッツ」のスポンサーです。そのチームの勝敗は経営の次に関心が高いことですね。スポーツの力、頑張っている姿を見ることは素晴らしいなと感じます。

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