株式会社髙橋店舗経営コンサルティング 代表取締役 髙橋 靖信氏
店舗ビジネスを応援する株式会社髙橋店舗経営コンサルティング。代表の髙橋靖信氏は、7社に在籍して習得したノウハウを体系化し、独自の視点で店舗課題に取り組んでいます。
“楽しく、真剣に、成果を出す”をモットーに事業を展開し、クライアントとの契約終了後も幹部との親交を大切にしてきました。
本記事では、“単に儲かる店づくり”ではなく、“健全に成長する店づくり”を重視する経営観、現場に寄り添いながら成果に導く伴走スタイル、そして今後を見据える未来像について伺いました。
目次
目指すは“会社の健康寿命を延ばす”こと!
――現在の事業内容と特徴を教えてください。
小売業・飲食業・サービス業のリアル店舗に特化し、店舗運営(経営の仕組みづくり)・人材育成(経営のヒトづくり)・ブランディング(経営の理念浸透)の3つの領域をワンストップでご支援しています。
会社は生きものですので、調子の良い時もあれば、思うようにいかない時期もあります。そのなかで会社が成長していくためには、経営の健全性が欠かせません。そこで弊社では上記の3つの領域のバランスを整えることで、“会社の健康寿命を延ばす”支援を行っています。
経営者からのご依頼は、最初はいずれか1つの課題から始まることがほとんどです。しかし現状を把握してみると、多くの場合3つの領域すべてに改善余地が見えてきます。そのため、優先順位をつけながら3つのバランスを整えています。
6度の転職と56歳の独立―― 挑戦の中で見えてきたこと
――これまでのキャリアで大切にされてきたことは何ですか?
私は37歳で初めて転職し、その後いくつかの転職を経て58歳で独立しました。もちろん順調なことばかりではなく失敗も経験しましたが、その過程で一つだけ揺るがない確信を持つようになりました。
それは会社が大切にしている“らしさ”や“カルチャー”に合った課題解決策を見つけることが何より重要だということです。
A社で成功した方法が、同じようにB社で通用するとは限りません。転職によって多様な業種のマネジメントを経験し、独立後は異なる業界を支援する中で、その事実を改めて強く感じました。
仕組みづくりであれ、ヒトのマネジメントであれ、その会社に合ったやり方を見いださなければ良い結果は生まれません。これは私が長年の経験を通じて得た、変わらない結論です。
現場に入り、同じ目線で考える──“距離の近い”伴走スタイル
――スタッフとのコミュニケーションで意識していることはありますか?
私はコンサルタントですが、現場では“第三者”としてではなく、あくまで“チームメンバー”として関わるようにしています。まずは現場に入り、同じ景色を見ながら改善策を提案します。
「店を良くしたい気持ちは同じ」「課題の解決策を一緒に考える」というスタンスで話すと、幹部も社員・アルバイトも自然と心を開いてくれます。
数字だけを追いかけたアドバイスには限界があり、現場が動きやすい仕組みづくりと、主体的に動きたくなる“スイッチ”を見つけられるかどうかが、魅力ある店づくりの成否を分けると考えています。
店舗ビジネスへのお役立ち精神を忘れずに
――今後の展望について教えてください。
弊社は小さな会社ではありますが、これまで商店街の個店から上場企業まで幅広いクライアントをご支援してきました。これからも、クライアント様とその先にいるお客様の笑顔につながるのであれば、どんな形であっても力になれることが何よりの喜びです。
また、一度はコロナで断念せざるを得なかったアジアの展開にも、改めて挑戦したいと思っています。現在少しずつ布石を打ち始めており、過去に経験した2度の海外赴任で得た知見を活かしながら、現地企業の成長に貢献できる機会をつくれたらとてもハッピーです。
気分転換の時間も大事――自分が健康でないと良い仕事もできない
――リフレッシュ方法や健康維持のために意識していることはありますか?
私にとって一番の健康維持法はウォーキングです。出張は意外と歩数が少なくなりますし、資料作成の時間が増えると自然と運動不足になります。そのため毎日の目標歩数を決めて、遠回りをしたり階段を選んだりと、意識的に歩く機会を増やすようにしています。
“会社の健康寿命を延ばす”人間が健康でなければ、説得力がありませんからね。
――仕事以外で意識している習慣や学ぶ時間はありますか?
もう一つ大切にしていることは、デジタルとアナログ体験のバランスを保つことです。趣味と実益を兼ねていますが、デジタル面では“毎日AIに触れる”ことを習慣にしています。情報検索、アイデア出し、クリエイティブ制作などに活用し、時代の変化に取り残されないよう意識しています。
アナログとしては、街の駅ビルやショッピングモールなどを、最上階から順に下りながらすべての店を観察する、ということも行っています。意図しなかった気づきが得られることも多く、人の流れや現場の空気感は、実際に足を運ばなければなかなか掴めないものです。
共存共栄の戦略が日本を元気にする
――最後に、これから経営に挑戦しようとしている読者の方々へメッセージをお願いします。
私はこれからの挑戦者へ語れるほどの者ではありませんが、自分や自社が何のために事業を行うのかという理念や使命だけは、決して見失ってはいけないと思っています。
また、世の中では“勝ち組として生き残る”という言葉を耳にすることがありますが、私は自社だけが生き残るのではなく、「共存共栄」こそが本来目指すべき姿だと考えています。お互いが切磋琢磨するからこそ、それぞれが異なる強みを磨こうとしますし、その結果として顧客にとっての選択肢が増え、皆が笑顔になれる未来につながると信じています。
正解が見えにくい時代とも言われますが、見えないのであれば各社が自分たちの正解を創り出せば良い。そして弊社も、微力ながらその一端を担い続けていければと考えています。

