教育コンテンツの常識を問い直す――生成AIで価値を描く、千葉佑介の経営観

エデュニア株式会社 代表取締役 千葉 佑介氏

生成AIのビジネス活用や事業企画に携わりながら、生成AIを用いた教育コンテンツ開発支援と、教育事業立ち上げの伴走支援を行うエデュニア株式会社。教育コンテンツ制作にかかるコストや品質の課題に向き合い、次の時代を見据えたAIエージェント開発にも取り組んでいます。本記事では、教育工学の知見を軸に「誰の役に立つか」を重視する代表取締役の千葉佑介氏に、その歩みと展望を伺いました。

生成AIで教材制作と立ち上げを伴走する

――現在の事業内容について教えてください。

当社は、生成AIを用いた教育コンテンツの開発支援をしています。「生成AIを使って、簡単に良いコンテンツを作れる」状態を、現場で再現できるようにする仕事です。あわせて教育事業を立ち上げたい方にコンサルタントとして入り、立ち上げまで伴走支援も行っています。

また、別軸でAIスクールを運営する企業のBtoC・BtoB双方の責任者を担い、博士後期課程でDXやVR、AIなどの研究も続けています。

実務と研究の両輪で、学びのアップデートに向き合っています。

教育コンテンツの「高コスト」に違和感があった

――起業のきっかけは何だったのでしょうか。

社名のエデュニアは「EducationをNear(近くに)」という意味です。私は、長く教育に関わる仕事をしてきました。その中で、良い教育が必ずしも誰にでも届くわけではない、という課題意識がありました。

加えて、教育コンテンツ制作は高コストです。以前eラーニング制作に携わった際、1時間のコンテンツに100万円程度かかるのが当たり前でした。「1時間学ぶのに、なぜそこまで必要なのか」。その違和感から、SaaSや生成AIで同等品質をもっと手頃にできないかと考え、今年1〜3月頃に実験を重ねました。

2024年の12月に仕事が一段落し、年末年始の10日間で1日12時間徹底的に試したところ、その経験と成果物を元に百万円を超える受注を頂戴しました。手応えを得て、会社を立ち上げたのがエデュニアです。

判断軸は「誰の役に立つか」

――経営判断の軸にしている価値観を教えてください。

私の価値観は「誰かの役に立つサービスでなければ意味がない」ということです。大企業で多くの人が歯車のように働く姿も見てきたからこそ、誰のどんな仕事が楽になるのか、職種やユースケースを明確にしたいと思っています。

教育の世界は、誰もが受けた経験がある分「こうした方がいい」と言われやすい領域でもあります。私は大学院で教育工学(インストラクショナルデザイン)を学び、受講生のやる気を引き出す設計手法を含め、根拠に基づく作り方を大切にしてきました。だからこそ自分が意思決定できる立場で、正しい作り方を貫きたいと考え、経営の道に進みました。

小さく始め、強いチームをつくる

――組織づくりやコミュニケーションで工夫していることはありますか?

当社は固定費を抑え、売上に合わせて段階的に増員する方針です。立ち上げは3月で、従業員は私を含め2名。基本は業務委託を中心にし、必要に応じて正社員を増やしていきます。

コミュニケーションはSlackでのテキストを徹底し、「読んでわからないことを書かない」を共通ルールにしています。定例会で認識合わせを行い、加えて定期的に飲み会も実施します。遠隔だけだと誤解が生まれる場面もあるため、対面での関係づくりも大事にしています。

採用では、スキルがある人にはのびのびやってもらい、足りない場合は「素直に伸びていく」姿勢を重視します。方向性だけは揃え、あとは定例会でズレを確認しながら進めています。

教材制作AIエージェントを次の標準に

――今後の展望と、取り組みたい挑戦を教えてください。

生成AIはいずれ、パソコンやスマホのように当たり前になります。だからこそ、一過性の流行で終わらせず、時代の流れに合うサービスを提供し続けたいと考えています。

いま注力しているのが、教材を作るためのAIエージェントです。パワーポイントのスライドとノートを生成し、音声生成でナレーションを作り、動画化する。さらに字幕やリップシンクなども含め、教材制作を一気通貫で効率化したいと思っています。プロトタイプは今月末に完成予定で、来年早いうちの発売を目指しています。

学びを楽しみ、遊びからも伝える

――お休みの日はどのように過ごされていますか。

最近は、家族で動物園に行ってパンダを見ました。家族で過ごす時間を大切にしています。

それと、AIで動画を作るのは趣味でもあります。家族の写真をベースに、CM風の動画を作ってみたり、ちょっとふざけた動画を作ってみたり。実は今週金曜日に小学校でAIの講演をする予定があり、そういう場で見せると子どもたちが一気に興味を持ってくれるんです。

テクノロジーを「すごい」で終わらせず、学びに接続する――仕事でもプライベートでも変わらない姿勢でこれからも挑戦を続けていきたいです。

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