行政書士法人みらいへ法務事務所 代表 井戸 淳午氏
椎間板ヘルニアによる長期療養をきっかけに、「人の役に立つ仕事がしたい」と行政書士を志した井戸淳午氏。現在は建設業許可や産業廃棄物処理業、一般貨物自動車運送事業、外国人の在留資格など、多様な相談に応じる行政書士法人みらいへ法務事務所を率いています。専門特化型の事務所が多い中で、「声をかけていただいたお客様には、できるだけ応えたい」と語る井戸氏に、事業の特徴や、外国人材との新たな取り組み、組織づくりへの思いを伺いました。
目次
多様な許認可で地域の事業を支える
――まず、事業内容について教えてください。
当事務所では、行政書士業務の中でも幅広い分野を扱っています。建設業や産業廃棄物処理業の許認可、一般貨物自動車運送事業の許可、会社・法人の設立、農地転用などの土地関係が大きな柱です。
近年特に伸びているのが、外国人の在留資格や帰化申請のサポートです。ほかにも、遺言・相続、離婚協議書の作成、交通事故の損害賠償請求に関する書類作成など、生活に身近な民事法務も多く手がけています。
行政書士の業務は非常に範囲が広く、多くの事務所は分野を絞って専門特化されています。その中で私は、一つに限定せず「建設・産廃・一般貨物・入管・法人設立・民事法務」と複数の柱を持ち、「まずは相談してもらえる窓口」でありたいと考えています。
サービス業として寄り添い、「動く事務所」で信頼を築く
――大切にしている姿勢や価値観について教えてください。
士業であっても「サービス業」であることを忘れてはいけないと思っています。お客様に「事務所まで来てください」とお願いするのではなく、「私の方から伺います」「こちらで動きます」という姿勢を徹底しています。
たとえば納税証明書一通を取るにしても、「必要書類を揃えて持ってきてください」という事務所もありますが、当事務所では委任状さえいただければ、取得できるものはすべてこちらで手配します。社長やご家族は本業で忙しいですから、「そこまでやってくれるのか」と驚かれることも多いですね。
私自身、ヘルニアで2度の手術を受け、サラリーマンに戻れない状況の中で資格取得を決めました。「誰かの役に立ちたい」という思いから始まった仕事だからこそ、事務所の持つ知識やノウハウを社会に還元し、サービス精神を持ってお客様に向き合うことを一番大切にしています。
組織の危機を糧に、誠実なチームを育てる
――20年近く事務所を運営される中で、経営者として印象に残っている出来事はありますか。
3年ほど前、当時6人いたスタッフのうち大半が同時期に退職したことがありました。待遇というよりも、私とのコミュニケーション不足や方針の共有が不十分だったことへの不満が積み重なっていたのだと思います。事務所が大きくなる中で、細かな業務を「任せたから」と丸投げしてしまったこともあり、経営者としての反省点が多くありました。
しかし、その出来事を機に新しいメンバーと出会い、今は少数精鋭ながら責任感の強いチームが育っています。人数は減りましたが、雰囲気も仕事への向き合い方も大きく変わり、「あのピンチがあったからこそ今がある」と感じています。これからも、一人ひとりと丁寧に向き合いながら、誠実な組織づくりを続けていきたいです。
外国人材との架け橋として、国内外で挑戦を広げる
――今後の事業展開や、力を入れていきたい取り組みについて教えてください。
これまでの建設業や一般貨物などの許認可業務は、法改正も多く、引き続き専門性を深めていきます。そのうえで、今特に注力しているのが外国人材と日本企業をつなぐ入管業務です。
ベトナムの大学と協定を結び、ガソリンスタンドでのインターンシップと特定技能1号を組み合わせたスキームづくりを進めています。学生が日本で最新の技術とサービスを学び、卒業後に正社員として戻ってこられる道をつくる取り組みで、業界からも注目されています。
また、スリランカには介護人材向けのスクールを立ち上げ、日本の介護施設で働ける人材育成にも取り組んでいます。まだスタートしたばかりですが、人手不足に悩む福祉事業者に対しては、外国人材との関わり方や定着率向上に関するコンサルティングも展開していきたいです。
3年後には売上を現在の1.5〜1.8倍にすることを目標に、毎年着実な成長を重ねていきたいと考えています。将来的には、一宮に加えて大阪、ベトナム、スリランカにも拠点を構えていくことをめざしています。
柴犬と歩きながら、「ピンチをチャンスに」
――休日の過ごし方や、日々大切にしていることを教えてください。
子どもの頃から犬が大好きで、飼っている柴犬と毎日散歩することが大きな癒しになっています。
これから起業される方には、「目の前のお客様をとことん大切にすること」をお伝えしたいです。ゼロから始めた事務所も、一件一件に誠実に向き合うことでご紹介がつながり、気づけば20年が経ちました。
ピンチは必ず訪れるものですが、「チャンスに変える」と決めて一歩を踏み出せば道は開ける――そんな思いで、これからも前進していきたいです。

