スピードを追求するM&A経営――独立から海外市場まで広がる戦略的挑戦

株式会社アイビーキャピタル 代表取締役  中野 佑祐氏

株式会社アイビーキャピタルは、譲渡企業と譲受企業をつなぐM&A仲介事業を展開しています。着手金ゼロ・成功報酬制を採用し、少数精鋭だからこそ実現できる「スピード感」を武器に、多様な業界の成約を支援してきました。近年はベトナムをはじめ海外案件にも取り組み、事業領域を広げています。本記事では、代表の中野氏に、事業の特徴や独立の背景、今後の展望について伺いました。

少数精鋭で実現するスピーディーなM&A支援

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

M&A仲介事業を中心に、売り手と買い手をマッチングし、成約時に報酬をいただくモデルで運営しています。小規模案件の比率が高く、紹介ベースでの依頼が大半を占めています。

着手金をいただかず、基本合意まで無料で支援している点も特徴のひとつです。

――どのような企業や業種の案件を多く扱っていますか?

売上3,000万円規模の小さな企業から、10億円程度の企業まで幅広く対応しています。

IT受託開発、AI関連、eスポーツ、美容クリニックなど業種は多岐にわたります。創業期にクリニック案件を成約した影響で、医療関連の相談が増えました。

――競合が増える中で、御社ならではの強みはどこにありますか?

最大の強みは“スピード”です。大手では契約や資料レビューなどに時間がかかり、数週間遅れるケースも珍しくありません。

当社は、私自身が一気通貫で対応するため、意思決定が早く、成約までの流れを止めないことに注力しています。M&Aはタイミングが命なので、小回りの利く体制が大きな価値になると考えています。

スピードを追求して独立へ――経営者としての原点

――起業に至った経緯を教えてください。

会社員としてM&A仲介の現場にいた頃、組織的な手続きの遅さに強いストレスを感じていました。お客様に最善の提案をするにはスピードが不可欠ですが、内部承認で1〜2週間遅れることもあり、機会損失が頻発していたのです。

「自分一人で完結できればもっと早く進められる」という思いが強まり、独立を決意しました。

――創業初期はどのように案件を獲得していったのでしょうか?

創業直後、5年ぶりに連絡をくれた大学時代の友人から突然相談があり、そこから紹介が立て続けに生まれました。

売りたい企業が3〜4社一気に増え、一人で回るには十分すぎる状況に。営業を続けるまでもなく、紹介のみで案件が循環する体制が自然にできあがりました。

国内から海外へ――広がるM&Aマッチングの可能性

――今後の事業展開についてどのように考えていますか?

今後の事業展開としては、海外でのM&A仲介により力を入れていきたいと考えています。

国内市場は競合が増え続け、差別化が難しくなっていることもあり、海外、とくに東南アジアには大きな可能性を感じています。実際にベトナム企業の案件が成立したことで手応えを得ましたし、現在滞在しているフィリピンでも経営者層との接点が多く、スピード感のある商談が進む環境があります。

専門性が必要な財務や法務の部分は、必要に応じて弁護士や公認会計士など外部の専門家と連携し、当社は営業とマッチングに集中する方針です。人員を増やして規模を追うよりも、リスクを抑えつつ海外の需要を見極め、地に足の着いた形で事業を広げていきたいと考えています。

売上はあくまで目安ですが、3年後には現在の約3倍を目指せる可能性があると見ています。

――海外にいながら日本企業の支援を行う上で課題はありますか?

オンラインでの商談が一般化したことで、大きな支障はありません。海外にいること自体がアイスブレイクになり、むしろ会話がスムーズになる場面もあります。重要な局面には帰国しますが、基本的には遠隔でも問題なく進められています。

日常の中で得るリフレッシュと視点

――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

この半年ほどは海外生活そのものがリフレッシュになっています。毎日まったく違う文化の人たちと会話することで、新しい価値観に触れられますし、刺激を受ける日々です。

――最後に、経営者やこれから挑戦したい方へメッセージをお願いします。

挑戦したいと思いながらも、一歩を踏み出せず悩む方は多いですが、私は考えすぎないことが大切だと思っています。

失敗したとしても、やり直しはいくらでもできますし、意外とうまくいくこともあります。リスクばかりを気にして動けなくなるより、まず行動してみることが何より重要です。

年齢を重ねるほど選択肢は狭まっていきます。起業でも転職でも、やりたいと思ったタイミングが最適な時期ではないでしょうか。

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