ロット1から広がるものづくりの可能性ープリントオンデマンドで挑むTOSYO株式会社の現在地と未来

TOSYO株式会社 取締役 川根秀幸氏

キャラクターグッズやIPコンテンツを中心に、ロット1からの生産を可能にするプリントオンデマンド事業を展開するTOSYO株式会社。同社では大量生産・大量廃棄が前提となりがちなグッズ業界において、受注生産という仕組みを通じ、無駄を出さないものづくりに挑戦し続けています。今回は、組織運営や事業の思想、そして今後の展望について話をうかがいました。

事業の現状と会社が目指す世界観

――現在、御社が取り組まれている主な事業内容と、その特徴について教えてください。

現在の主な事業は、大きく分けて三つあります。一つ目はライセンシー事業で、IPを保有する企業から権利をお借りし、キャラクターグッズを企画・販売しています。グッズの企画だけをするのではなく、ユーザーの手元に届くまでの販路設計、製造やお届けまですべて自社管理で行なっているのが特徴です。

二つ目はOEM・ODM事業で、企業やクリエイターが企画したグッズの生産や配送、注文処理を支援しています。

三つ目として、企業様のECやイベントなどにおける配送の梱包・軽作業や出荷の代行作業も行なっています。

これらの事業の根底にあるのは「ロット1でグッズを作る」という考え方です。大量生産による在庫ロスや廃棄を生まないために、注文が入った分だけを生産する仕組みを大切にしています。「取引はすべての人のために」という会社のミッションを大切に、企画や仕入といったビジネスチャレンジャーの持つ課題、嗜好品の廃棄など社会環境の問題などに適格な答えが出せるよう意識をし、事業を継続しています。

これまでのキャリアと意思決定への向き合い方

――これまでのご経歴と、現在の立場に至るまでの経緯を教えてください。

もともとは編集や印刷の仕事に携わっていました。技術的な開発物の価値を、編集によってユーザーにその付加価値をわかりやすく届けるという仕事でした。代表から声をかけられ、事業の立ち上げに関わるようになったのが現在の仕事の始まりです。当初は「ロット1からものをつくっていく」というビジョンはあっても、現場のオペレーションが整っていない部分が多くありました。そこで、サービスをどう組み立てるか、どうすれば顧客に早く届けられるかを考え続けてきました。

今思えば、代表が創ったサービスの根幹あり、その付加価値を確実で見える形にしていくことが、最初の私のミッションだったと思います。

事業が成長するにつれ、組織を大きくしなければ対応できない段階に入りました。その中で、スピードを出すためには決裁権の分散が必要だと考えるようになり、組織として判断できる仕組みづくりに取り組んできました。

今は、会社全体が組織として判断できるような機能をどんどん構築できていると思います。

組織運営と社員との関係性

――社内コミュニケーションにおいて、特に大切にされている点はなんでしょうか。

正社員は20名弱、パートを含めると40名前後で運営しています。組織づくりで意識しているのは、部長陣への決裁権の委任に加えて、判断結果を揃えることよりも、判断するときに立ち返る「枠組み」そのものを共有することです。

具体的には、どこで判断を止め、どこで決裁を仰ぐのかといった意思決定の切り替えポイントを明確にすることを重視しています。

また、やる気を正しく拾い上げることも大切にしています。数字での評価は必要ですが、それだけで人を動かすのは難しいと考えています。

また意見があればできる限り関連メンバーで議論してもらうことを薦めています。会社として予め用意してひとつの答えを出すことも大事なのですが、ベクトルが同じであれば私や代表では思いつかない手を指してもらうことが楽しみのひとつでもあり、会社の発展にもつながると思っています。もちろん、何か問題があれば稟議や相談が上げられる環境準備があってこそ、だと思います。

誰でも稟議を出せる環境を整え、正式な書面に至る前の相談や会話も重視しています。会議を減らすのではなく、適切なコミュニケーションの回転を保つことで、組織としてより良い判断ができる状態を目指しています。

――今後、採用する際に一緒に働きたいなと思うタイプはどのようなタイプでしょうか。

自分の能力や経験を、他の人ためにどう使うかを考えられるかを重視しています。

スキルを伸ばすこと自体が目的になるのではなく、そのスキルが誰の判断を早くし、誰の仕事を軽くし、どんな意思決定を前に進めるのかまで含めて考えられるかどうか。そこに向き合える人かどうかは、私にとって重要なポイントです。

もちろん、そういった姿勢が個人のスキルを伸ばすという結果にもつながるよう、一緒に考えていかなければいけないと思っています。

今後の展望と挑戦

――今後、事業として特に注力していきたい分野や取り組みについて教えてください。

今後はプリントオンデマンドの考え方をさらに広げていきたいと考えています。キャラクターコンテンツだけでなく、企業ブランドやロゴといったIPにも可能性を感じています。企業の認知向上や採用活動の文脈で、グッズが果たせる役割はまだ大きいと思っています。

こうした取り組みを進めるためにも、外部への発信、取材へのお応え、イベントへの参加や登壇も広報メンバーで積極的に実施しています。事業の考え方やプロセスを伝えながら、新たな分野への展開を模索していく方針です。

価値観とリフレッシュの考え方

――日々の業務の中で、どのようにリフレッシュやコンディション調整をされていますか。

休日は子どもと過ごすことが多く、出かけたりドライブをしたりする時間が、自分にとってのリフレッシュになっています。

ただ、完全に仕事のことを忘れるというよりは、仕事のギアをローに入れた状態を保つ感覚に近いですね。家族との会話や趣味の時間など、日常のいろいろな場面にヒントが落ちていることが多く、そうした気づきを取りこぼしてしまう方が、後から振り返るとショックが大きいと感じています。

相談事や考え事も、休日のうちに少しでも整理しておくと、ふだんから早く判断できますし、メンバーとの間で課題を待たせてしまうことが増えるのがむしろストレスなので。

一方で、「休む」と決めたときは、仕事のことは一切やらない。年に何回もないですが、思いっきりオンオフを切り分けるようにしています。

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