「ほめる」仕組みで子どもの力を引き出す  ―ASKITALが実践する自己肯定感と自己効力感を育む児童発達支援・放課後等デイサービス

株式会社ASKITAL 代表取締役社長 吉田 真一郎氏

株式会社ASKITALは、児童発達支援・放課後等デイサービス「あすきたる」を通じて、子どもたちの自己肯定感と自己効力感を高める支援に取り組む施設です。日々の関わりのなかで「ほめる」を軸にした仕組みを整え、子ども自身が選び、判断し、成功体験を積み重ねられる環境づくりを進めています。本記事では、代表の吉田真一郎氏に、現在の取り組みや支援の考え方、今後の展望などについて伺いました。

自己肯定感と自己効力感を高めるための支援設計

――現在取り組まれている事業と、その根底にある考え方について教えてください。

当社が現在面として提供しているのは、児童発達支援と放課後等デイサービスです。

まず大きな軸として、子どもの自己肯定感と自己効力感を高めるシステムづくりを、世の中に広めていきたいという想いがあります。今はそれを、自社の事業所のなかで実践しながら、実際に効果のある形へと落とし込んでいる段階です。事業としては放課後等デイサービスが大枠ですが、そのなかでどう支援を組み立てるかを考えながら実践しています。

――具体的には、どのような支援をされているのでしょうか。

ベースとしているのは、「ほめる」ことです。子どもたちが安心して過ごせるよう、情緒を安定させることを大切にしています。「ほめて、学んで、未来へ」というテーマを掲げ、子ども自身が活動を選び、判断し、その結果をほめられることで次の行動につなげていく――その流れを支援の中心に置いています。

例えば、「譲り合いができた」「順番を守れた」「以前はできなかったことができた」といったような行動を職員が見逃さず、すぐに声をかけ、ホワイトボードに花丸を貼ります。帰宅前には「今日はこれだけできたね」と振り返り、成功体験を可視化する――こうした積み重ねが、自己肯定感を育てていくと実感しています。

――自己効力感についても、大切にされていると伺いました。

自己効力感については、「初めてのことに挑戦する力」だと捉えています。そこで当社では、個別領域として作業療法や言語領域の時間を組み、終わったあとの時間は、子ども自身が活動を選べるようにしています。運動やコミュニケーションなど、領域ごとに分けた棚を用意し、下から上へレベルが上がっていくよう環境を整えておき、そこで「何をするか」を自分で選ぶ、この“最初の一歩”をとても大事にしています。

――選ぶこと自体を、評価していくのですね。

そうです。多くの子どもたちは、学校などでハンディキャップを抱えている感覚があったり、もともとの自信が低かったりします。そこで「あすきたる」をサードスペースとして機能させることで、「ここには味方がいる」と感じてもらいたいのです。

「選べた」こと自体もほめますし、活動を最後までやり遂げたら「できたね」と伝え、花丸を自分で貼りに行ってもらいます。こうすることでゲーム性が生まれて、次もまた選んで、ほめられて……というスパイラルが回っていくんです。ワークシートは一人ひとりのレターケースに入れておき、自分の学びに向き合えるようにしています。

学習支援と、時代に応じた取り組み

――学習面での支援についても教えてください。

「あすきたる」では、学習支援にも力を入れています。通所しているのは就学前・小学校低学年から中学年の子どもが多いのですが、かけ算やひっ算、長さなど、認知力が必要なところでつまずくケースがよく見られます。具体的な手だてを通して一人ひとりのメニューを考えては個々に個別支援と専門的療育支援が同時に一日に行われます。そのままレクリエーションや集団活動で物づくり等・体幹運動を行います。

また、宿題は必ず大人がチェックし、ケアレスミスがないかまで確認しています。「宿題ができた」という体験も含めて、個別領域を終えたあとの流れにつなげています。

――ICTやプログラミング教育についてはいかがでしょうか。

時代に応じて、エビデンスがあって効果があるといわれているものは取り入れていく主義です。ただし、やりすぎないようにも意識しています。

具体的には、タイピング専用のPCを使った取り組みや、サンドボックスゲームの『Minecraft』を通した動画編集などです。自分で話して、それを聞いてカットし、ひとつの作品をつくります。オンライン前提ではなく、表現や達成までを体験できる形で取り入れています。

属人化しないためのマニュアル化

――現在の「あすきたる」の運営体制を教えてください。

言語聴覚士や作業療法士、児童指導員がおり、代表である私自身も児童指導員として現場に入っています。アルバイトのスタッフも含め1日あたり8名ほどで対応にあたっている状況です。

――職員の方々への意識共有や育成は、どのようにされていますか。

支援が属人化しないことを強く意識しており、そのために、職員がソーシャルスキルの視点を持ちながら関わるための考え方を、業務マニュアルとしてまとめています。そのなかで職員間の共通理解として大事にしているのは、子どもに一方的に話すのではなく、見守りながら関係性をつくる姿勢です。

マニュアルは社内で共有し、誰が入社しても、これを見れば一定の水準で支援ができる形を目指して整えてきました。特に、教育の素人であっても「なるほど」と納得して動けるようにする部分には注力しました。

現場で感じた「支援の在り方」

――この事業を始めようと思われたきっかけを教えてください。

教員として現場を振り返ったときに、特殊な技術が必要だと強く感じたのが、発達障害のある子どもたちへのアプローチでした。今は「学級崩壊」という言葉が出る背景も、昔の“やんちゃ”とは違い、発達障害の特性を含んだ関わりの難しさが影響している場面があるとみています。

そこで教師が「何をしているの!」と叱るだけだと、言葉だけが強く残ってしまう子もいます。だからこそ、ワンクッション置いた言い方や、感情を言語化するような、技術的な関わりが必要になると感じたんです。

また、こうした状況がわからないまま保護者も困っているケースもあったため、地域へ返していくべきだと考えたことがこの事業の出発点でした。

――この事業を行うなかで、苦労されていることはありますか。

子どもとの最初の1か月は、「試されている」と捉えています。子どもは「この大人はどこまで注意してくるのか」を見るために試してくることが多いんです。

例えば、出会って間もない頃には、子どもから厳しいことを言われることも少なくありません。そういうとき、私は「そんなことを言われると嫌な気分がする」と感情を言語化して伝え、その場をすっと去るようにしています。そして次に会ったときには、そのことは引きずらずに、明るく関わるんです。そうして1~2か月ほど関係を積み上げたうえで、「駄目なことは駄目」と毅然と注意するフェーズに入るようにしています。

上記は、一見、子どもの自主性に任せているように見えても、実際は大人がリードしている関わり方です。私は、このように「リーダーシップを取るのはあくまで大人である」といった自覚に基づいた関わりが重要だと必要だと考えています。ですので「あすきたる」では、職員も含めて大人たちが「今、自分は何をしているのか」を常に明確に持つことを徹底しています。

支援の仕組みを広げ、悩む家庭を支える

――今後の展望について教えてください。

法人として事業を行う以上、経営者として経営の視点を持ち、スタッフをリードすることが大事だと考えています。そのうえで、「あすきたる」としてのやり方を社会にも広めていきたいです。誰がやっても属人化せずに実行できるマニュアルやシステムをより広げることで、発達障害のある子どもの子育てや教育に悩む大人を救える機会を増やしたいという想いがあります。

家庭でも言語化して伝えることを繰り返すことができれば、子どもは正しい方向に進みやすいようです。正しい行動をしたときに、きちんと具体的に、適切なタイミングで言語化して伝える、そしてそれを重ねることで成功体験が積み上がり、表情が生き生きと、堂々としていく、といった保護者の声もいただいています。

また、発達障害のイメージが日本では十分にブランディングされていないという課題意識も持っています。海外では、発達障害がある方が実業家などとして活躍する例がよく知られている一方で、日本では「応援してあげなければ」という文脈に寄りやすいのが実情です。そうした見方も含めて、変えていけると考えています。そこからさらに子どもたちの力を将来的な自立につなげ、「家からでも稼ぐことができる」ようなところまで見据えて育てていきたい――そうした想いを持って、支援の仕組みを広げる挑戦を続けていきたいです。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。