決断力が市場を動かす――ゴルフアンドの業界特化×インバウンド戦略
株式会社ゴルフアンド 代表取締役 舟橋 純氏
株式会社ゴルフアンドは、「日本のゴルフの魅力を、世界へ」を掲げ、インバウンドゴルフ市場に特化したマーケティング支援や営業代行を手がける企業です。訪日外国人ゴルファーへの対応を軸に、ゴルフ場の価値創造と業界全体の発展を目指しています。本記事では舟橋氏に、創業の背景や経営判断の軸、組織づくり、そしてゴルフ業界の未来像について伺いました。
目次
インバウンド市場を軸に、ゴルフ業界の可能性を広げる事業モデル
――現在の事業内容と、強みについて教えてください。
主な事業はゴルフ業界に特化したマーケティングと営業代行です。
現在の主軸は、東アジアから日本にゴルフをしに来られるお客様に向けたインバウンド支援になります。現地でのマーケティングを通じて日本のゴルフ場を知っていただき、実際の来場につなげています。
私は日本にいますが、メンバーは韓国・中国・台湾に在籍しており、それぞれの国でSNSや検索プラットフォームを活用したデジタルマーケティングを行っています。ゴルフに特化したメディアや予約プラットフォームを組み合わせ、お客様ごとに最適な形で設計するのが特徴です。
この領域は、ゴルフ場が個別に取り組むにはリソースが足りないケースが多く、業界特化で支援する会社も多くありません。その隙間を埋める存在として、価値を発揮できていると感じています。
また、男子ゴルフツアーのスポンサー営業も行っています。ゴルフ業界以外の企業に対して、ゴルフを活用したスポーツマーケティングや新しい大会企画の提案にも取り組んでいます。
――なぜインバウンド領域に着目されたのでしょうか?
ゴルフは趣味で始めましたが、はまってしまい、「ゴルフをビジネスにできないか」と考えたのが出発点です。
一方で、日本国内は競技人口の高齢化が進んでおり、このままではゴルフ業界が先細りしてしまうのではないかという危機感もありました。
インバウンド市場は右肩上がりで、日本を訪れる外国人は増えています。その流れをゴルフ業界に波及させ、新しい切り口で価値を提供できれば面白いと考え、自分や周囲のアセットを活かせる領域を模索する中で、今の形にたどり着きました。
「やりたい」を形にする意思決定――起業に至るまでの軌跡
――創業当初の思いと、事業に込めた狙いを教えてください。
純粋にゴルフが好きだったことが原点です。その中で、自分の経験やネットワークを活かしながら付加価値を出せるビジネスを考えました。
業界全体を見渡すと、変化が求められている状況です。新しい取り組みを仕掛けなければ成長は難しい。その一端を担えればと考え、サービスを立ち上げました。
――経営の道を選んだきっかけは何だったのでしょうか?
もともとは会社員として働いていましたが、新規事業の立ち上げなど「1を10にする」フェーズに関わることが多く、そこに面白さを感じていました。大きな組織の中で整備されたオペレーションを回すよりも、新しく作る側に魅力を感じていたのです。
起業はリスクと捉えられがちですが、私自身はあまりネガティブに考えていませんでした。修正を重ねれば良い方向に持っていけるという感覚があり、自分でゼロから整えていく挑戦を選びました。
――これまでのキャリアでターニングポイントとなった出来事はありますか?
現在の会社で3社目になります。1社目を辞めた理由は「海外で仕事がしたい」、2社目は「会社経営をしたい」という思いからでした。その時々で本当にやりたいことを選び、意思決定してきた経験そのものが大きな転機です。
「やりたい」と思ったことは1年以内に形にする、と自分の中で決めています。大体5年周期で新しい挑戦をしてきました。独立してちょうど1年ほどなので、また数年後に新しい節目が訪れるかもしれません。
フットワークの軽さが導く経営判断と組織づくり
――経営判断の軸にしている考え方を教えてください。
新しいことを取り入れるかどうか迷った場合、基本的には「やる」方向で考えます。試してみなければ分からないというスタンスです。ポジティブにアクセルを踏むことが、私自身の経営スタイルです。
――社員が主体的に動ける組織づくりで意識していることは何ですか?
現在は、前職時代から信頼関係のあるメンバーと働いています。お互いのパフォーマンスや性格を理解しているため、大きなマネジメントコストはかかっていません。
今後、新たなメンバーを迎える場合は、期待値のすり合わせや言語化がより重要になると考えています。採用においては、人を見る目の難しさも痛感してきました。仕組みやオペレーションを改善しながら最適化していくしかないと思っています。
――今後、一緒に働きたいと感じる人物像について教えてください。
最終的には「一緒に働きたい」と思えるかどうかが大きいです。話していて性格的にマッチする、良い人だと感じられることを重視しています。
また、これまで何かに打ち込んできた経験がある方は、新しい環境でも成果を出せる可能性が高いと考えています。何が好きで、どんなことに注力してきたのかは必ず聞くようにしています。
パッケージ化と二極化――ゴルフ業界の未来にどう向き合うか
――今後取り組みたい新しい挑戦や展開を教えてください。
現在はクライアントごとにカスタマイズした支援が中心ですが、今後は汎用的なパッケージサービスとして展開したいと考えています。業界全体に広く使ってもらえる形にすることで、より大きなインパクトを生み出せるはずです。
まずは既存の取り組みを汎用化し、その上で派生する課題に応じて新たなチームやサービスを立ち上げていく道筋を描いています。
――現在向き合っている課題と、その解決策についてお聞かせください。
パッケージ化はまだプロトタイプ段階です。本当に広く普及する設計になっているか、今まさに検証しているところになります。
加えて、マーケティングや営業の観点も重要です。リード獲得から商談化までの流れを整えなければなりません。直近1~2か月でサービス設計を詰め切るつもりです。
外部の企業とも協力しながら、アップデートを進めています。
――ゴルフ業界は今後どのように変化するとお考えですか?
業界は今後、二極化すると見ています。一方は古き良き文化を継承する高付加価値型、もう一方はよりカジュアルで参入障壁の低いモデルです。
後者には新しいプレイヤーやインバウンド需要が流れ込むと考えています。インバウンド市場の拡大を追い風に、ゴルフ業界がその恩恵を受けられる仕組みを作りたいと思っています。
さらに、男子ツアーが盛り上がることも重要です。プロが注目されれば業界全体が活性化します。大会が持続し、多くの人にリーチできる環境づくりにも関わっていきたいと考えています。
ゴルフと向き合う時間が、思考を磨く
――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。
やはりゴルフに行きますし、YouTubeで動画を見ながら研究もしています。自分のプレーを撮影し、上手い人の動きと比較することもあります。
情報は多くありますが、取り入れても一足飛びで上達するわけではありません。それでも、試行錯誤を重ねる過程そのものが楽しい時間になっています。