選ばれる意義をデザインし、クリエイターの価値を証明する。GIGが描くWeb制作の「次なるスタンダード」
株式会社GIG 代表取締役 岩上貴洋氏
Web制作業界において、100名を超える規模の組織を築き上げることは容易ではありません。多くの企業が制作して納品すること(点)に注力する中で、株式会社GIGは「いいものをつくり、価値をとどける」というミッションを掲げ、納品後の運用や成果(線)に徹底してコミットしています。
代表取締役の岩上貴洋氏は、20代で一度起業し、100名規模の会社を育て上げた経験を持つシリアルアントレプレナーです。2度目の起業となるGIGでは、自社開発のSaaS「LeadGrid(リードグリッド)」や、6万人を超えるクリエイターネットワーク「Workship(ワークシップ)」を武器に、業界の構造そのものを変えようとしています。プランナー出身の経営者として、Webを通じたコミュニケーションの可能性を信じ続ける岩上氏に、その哲学と展望を伺いました。
目次
独自のSaaSとプラットフォームで「選ばれる意義」をデザインする
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
私たちは「いいものをつくり、価値をとどける」というミッションのもと、Webサイト制作、映像制作、マーケティング支援、採用コンサルティングなど、クリエイティブとテクノロジーを掛け合わせた多角的な支援を行っています。「いいもの」とは何か。それは「選ばれる意義がデザインされているもの」だと定義しています。
強みは大きく3つあります。1つ目は、自社サイトが年間4,000件以上のお問い合わせをいただくなど、自分たち自身がマーケティングの実践者であること。2つ目は、自社開発のSaaS型CMS「LeadGrid」を基盤にすることで、高品質なサイトを低コストかつスピーディーに構築・運用できる点です。そして3つ目が、6万人以上のフリーランスが登録する「Workship」というネットワークを保有していること。これにより、プロジェクトごとに最適な専門家チームを柔軟に編成することが可能です。
——競合他社と比較して、どのようなポジショニングを意識されていますか?
多くのWeb制作会社は「つくって納品すること」をゴールにしがちですが、私たちは「納品した後にどう価値を届けるか」をサービスの本質と捉えています。例えば、SEOに強い設計や、リード獲得のための機能を標準化し、クライアントが自走できる環境を提供しています。制作して終わりではなく、その後の5年、6年という運用期間をどう支え続けるか。このプロセス設計そのものが、他社には真似できない私たちの独自性だと自負しています。
23歳での起業、そして「ゼロからの再挑戦」で確信したWebの力
――経営者になられた経緯を教えてください。
自営業の多い地域で育ったこともあり、幼い頃から「いつかは自分で商売をする」という意識がありました。大学時代にはIT系や投資会社のインターンを経験し、23歳で最初の会社を立ち上げました。その会社もWeb制作やマーケティングを主軸に10年ほど経営し、100名規模まで成長させたのですが、共同経営者との方向性の違いから、2017年に改めてGIGを創業しました。
——2度目の起業において、苦労や変化はありましたか?
前の会社での経験があったので、事業の立ち上げ自体に迷いはありませんでした。ただ、競合避止義務などの兼ね合いもあり、既存の顧客やスタッフを引き連れることなく、本当にゼロからの再スタートでした。それでも、Webサイトという「24時間365日、世界中に自らの世界観を発信し、信頼を繋ぐハブ」を正しく整えれば、必ず道は拓けるという確信がありました。Webは時代を越えて、人と人を、価値と価値を繋ぐ最高のツールだと今でも信じています。
クリエイターが報われる業界へ。利益率の可視化と基盤強化への挑戦
――100名規模の組織を運営する上で、今感じている課題は何でしょうか。
現在はバックオフィスの基盤強化が最優先課題です。年間数百件のプロジェクトが動く中で、どのチームの利益率が高いのか、どの要素がプロジェクトの延長リスクに繋がるのかといったデータを、より精緻に分析できる体制を作りたいと考えています。分析のためのデータ成形ができる人材を確保し、組織としての意思決定スピードをさらに高めていきたいですね。
——組織づくりにおいて、どのような思いを持たれていますか?
クリエイターの地位向上です。20年前からこの業界を見てきましたが、エンジニアやデザイナーの待遇は決して十分とは言えません。それは、個々のクリエイターのスキルの問題ではなく、業界のビジネスモデルに起因している部分が大きい。だからこそ、私たちはSaaSを活用した効率化や、運用支援による継続的な価値提供を通じて、働く人たちが正当に報われる仕組みを証明したい。GIGという組織を通じて、業界全体のスタンダードを底上げしたいと考えています。
3年で売上3倍弱へ。AI時代における「伝える力」の重要性
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
3年後には、現在の売上規模から2.5倍〜2.7倍への成長を目指しています。AIの進化により、Webサイトのあり方も変化していきますが、企業が「どう見せるか、どう伝えるか」という重要性はむしろ増していくでしょう。特に、一定の検討期間が必要なB2B領域において、信頼を構築するWebサイトの役割は非常に大きいです。
今後は、現在提供している「LeadGrid」や「Workship」をさらに進化させ、クライアントの課題に対してより多角的にアプローチできる体制を整えます。地域性を問わず、オンラインでプロジェクトを完結できる強みを活かし、地方企業のDX支援にもさらに力を入れていきたいですね。私たちの挑戦が、関わるすべてのクリエイターやフリーランスの方々のチャンスに繋がることが、究極のゴールです。
マラソンで培った精神。体を動かすことが思考の整理に
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
15年ほど前から、100キロ走るなど体を動かすことが習慣になっています。現在は足を怪我していることもあり、水泳に切り替えています。また、休日は家族とキャンプに出かけるなど、自然の中で過ごすことでリフレッシュしています。