宇宙産業で日本を再び世界一へ──ロケット開発に挑む理由とは

AstroX株式会社 代表取締役CEO 小田翔武氏

AstroX株式会社は、南相馬市に本社や工場のある、ロケット開発に挑むスタートアップです。気球からロケットを空中発射するRockoonという独自の方式によるロケット開発を進めながら、日本の宇宙産業の成長を目指しています。本記事では、小田翔武氏に創業の背景や経営観、今後の展望について伺いました。

宇宙産業の勃興を目指すロケット開発への挑戦

――現在の事業内容と特徴について教えてください。

当社は「宇宙開発で”Japan as No. 1”を取り戻す」というビジョンを掲げ、ロケット開発を行っているスタートアップです。

もともとIT系の会社を複数経営していましたが、ITの世界ではインフラやプラットフォームが海外、特にアメリカの企業に押さえられており、日本発で優れたものをつくっても構造的に勝ちにくいと感じていました。

一方で宇宙産業は市場として大きく伸びており、日本は技術的なポテンシャルと地理的なポテンシャルが非常に高い分野でもあります。ただし、日本はロケットというインフラを十分に持っていないため、大きな産業としてスケールしきれていない課題がありました。

その課題を解決するためには、まずロケットをつくる必要があると考えました。それが実現できれば、日本にとって自動車産業に次ぐような一大産業を生み出せる可能性がある。その思いからこの会社を立ち上げました。

“やりたいことをやる”から始まった経営者の道

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

これまで一度も就職したことがなく、自然と経営の道に進んできました。もともと「起業しよう」と強く意識していたわけではなく、やりたいことを追求していく中で、それが事業として大きくなり、法人化していったという流れです。

――経営判断の軸となる価値観は何でしょうか。

すべての判断の軸は、「宇宙開発で”Japan as No. 1”を取り戻す」というビジョンにあります。目の前の利益や短期的な成功だけではなく、その意思決定が本当にこのビジョンの達成につながるのかを常に考えています。このビジョンから外れることは基本的にありません。

――これまでの人生でターニングポイントとなった出来事はありますか。

経営に限らず人生という観点では、約10年前に大きな交通事故に遭い、命の危険を感じた経験があります。そのときに、人はいつ死ぬかわからないということを強く実感しました。
もともと挑戦することは好きでしたが、その経験を通じて「やりたいことをやって生きる」という意識がより一層強くなりました。

バリューとリスペクトが支える組織づくり

――社内コミュニケーションで大切にしていることは何ですか。

社内外を問わず「リスペクトを持って接すること」を徹底しています。自分自身もメンバーに対してリスペクトを持って接することを意識していますし、互いに尊重し合う関係を築くことが重要だと考えています。

――採用や育成において重視しているポイントは何でしょうか。

採用ではバリューやカルチャーにマッチするかを最も重視しています。もちろん能力やプロフェッショナリズムも重要ですが、それ以上にチーム全体の力を高められるか、人として互いにリスペクトし合えるかという点を見ています。

世界初への挑戦と宇宙産業の拡大に向けて

――今後の展望について教えてください。

現在取り組んでいるRockoonの開発そのものが最大の挑戦です。宇宙空間への到達や衛星の軌道投入を実現し、その先にあるビジョンの達成を目指しています。

――現在直面している課題とその取り組みについて教えてください。

技術面や事業面などさまざまな課題がありますが、大きな課題の一つは人材です。宇宙産業に関わる人材はまだまだ少なく、「宇宙業界で働ける」という認識自体が広がっていません。

ただ最近では、異業種から宇宙業界へ転職する人も増えています。もともと宇宙分野の経験がなくても関われる領域は多くありますので、そうした認識を広げ、関わる人を増やしていきたいと考えています。

――業界の今後についてどのように見ていますか。

宇宙産業は今後確実に拡大していく分野です。政府の支援もあり、産業としての盛り上がりはさらに加速していくでしょう。

その中で、関係人口や産業の存在感をさらに高めていくことが重要であり、当社としてもそのための取り組みを積極的に行っていきたいと考えています。

戦わずして勝つ――価値観と日常の在り方

――影響を受けた考え方や出来事について教えてください。

特定のロールモデルはいませんが、読書から多くの影響を受けています。年間で数百冊読む中で、特に印象に残っているのはリチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』です。

また、自分のスタンスとして「無駄に戦わない」という考えがあります。戦うのであれば、確実に勝てる状態をつくってから戦う。この考え方は孫子の兵法などから影響を受けていると思います。

――リフレッシュ方法について教えてください。

基本的にあまり休みは取らず、仕事をしていること自体が自然な状態です。気分転換としては読書が中心で、特に負荷がかかっているときほど多くの本を読み、思考を整理するようにしています。

――仕事以外で情熱を持って取り組んでいることはありますか。

仕事と人生を分けて考えておらず、今の事業そのものが最もやりたいことです。その上で、表現という意味では音楽も好きで、ピアノやバイオリン、ギターなどを演奏することがあります。経営も一種の表現であり、自分の理想の世界を形にする行為だと捉えています。

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