逆境を越えて選んだ経営——頼られる開発会社をつくる理由

株式会社Growth One 代表取締役CEO 武石尚大氏

株式会社Growth Oneは、受託開発を中心に、アプリやWebツール、システムの開発を手がける開発会社です。設立は2023年9月。3期目に入った現在は、大手企業を含むさまざまなクライアントの開発を支援しながら、AIを組み込んだシステム開発やAIツール開発の相談も増えています。本記事では代表の武石尚大氏にお話を伺い、自身の原体験や、組織づくりで大切にしている価値観、そしてAI時代の開発会社としての未来像までお聞きしました。

受託開発で価値を最大化

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

弊社は、いわゆる受託開発を中心に、システム開発事業を行っています。簡単に言うとSI(システムインテグレーション)に近い領域です。

創業期から受託開発に注力しており、その中でも比較的多いのは、アプリケーションの開発です。特にスマートフォン向けのネイティブアプリ開発において多くの実績があります。大手企業をはじめとする、様々なお客様のアプリやWebツール、システムの開発を担当してきました。

直近はやはりAI関連のご相談を多くいただいています。AIを組み込んだシステム開発や、AIツール開発といった案件も増えてきています。弊社としては、そういったご相談にも対応しながら、培ってきた受託開発の強みを活かして価値提供を続けている状況です。

――事業に取り組むにあたり、当初どのような思いがあったのでしょうか。

正直なところ、思いというよりは「自分が一番価値を発揮できる領域だった」、という背景が大きいです。

私は、17歳の頃からWebサイトなどの開発を続けており、今も変わらず現役でコードを書いています。この業界で長くやっているからこそ、信頼できる仲間や優秀なチームも集まってきていますし、巻き込んで一緒に仕事ができる。私が持っているものを全部費やすことができます。

また、「0→1」という完全なゼロから何かを生み出すことは得意領域ではなく、すでに良いものがある状態で、それを活かしながらさらに良くしていくことが得意ですし好きですね。そのため、お受けしている受託開発の相談は、すでに良いものがあるけれど、何かしらの要因がありシステム面が足りなく追加で開発が必要、という状況がほとんどです。そういった既存の価値を活かしてさらに良くするために開発を請け負う、というのは私にとって一番価値を発揮できる領域だなと思っています。

雇われない道の選択

――経営者になられた経緯を教えてください。

会社をつくった背景としては、「偶然」のことだったりします。

17歳の時にプログラミングスクールで出会ったメンバーと一緒に最初の起業を経験しました。当時はみんな本業の片手間でエンジニア職を担いつつ、会社に入ってくれているような状態でした。

背景として、当時私は17歳でしたので、銀行からの資金調達などの選択肢はほぼない状態でした。そんな中「自分で会社をつくってみよう」くらいの勢いで始めたのが正直なところです。他のメンバーには本業がありますが、私は高校を中退してリソースが一番空いていたのもあり、「最も時間を投資できる」という理由で代表になりました。

――キャリアの中でターニングポイントになった出来事はありますか。

たくさんありますが大きく4つです。ただし、最初の2つに関してはキャリアをスタートする前の話になります。

1つ目の大きな出来事は、私が10歳のときに病気になったことです。この時点で、将来的に一般的なステップで「組織に雇われる社会人」になるのは難しいかもしれない、と早々に感じていました。世間的には重い病気なので、普通に大学に行って就職する、というルートに乗ったとしても、そこで止まる可能性があるなと感じたんです。仮に新卒の面談に通ったとしても、病気という要因でその後負ける可能性がある。そもそも雇われる側が向いていない、と考えたのが、起業につながる要素の一つでした。

2つ目は、私が16歳の頃に母の会社が倒産したことです。投資家から出資を受けるような成長性がある会社だったのですが、倒産によってすべての資産を失い、一瞬にして無一文になる経験をしました。そのタイミングで高校も辞めました。普通に就職して社会人になる道を、自分で閉ざしたというか、状況的にも閉ざされた。そこは大きなターニングポイントでした。

そこから起業するのですが、起業後のターニングポイントとし、3つ目はコロナ禍が大きかったです。会社を作った直後とコロナ禍が重なり困っていたところ、当時の取引先から「一緒にやってほしい」との声をいただき、そちらの会社に入ることにしました。その会社は店舗ビジネスがメインでしたので、コロナ禍で厳しい状況になる中で、「ITの会社を立ち上げたい」とお声がけがあったんです。私も18歳前後で、右も左もわからない状況でしたが、そのタイミングでマーケティングなども含めて色々な角度で事業を見る事が出来、勉強になりました。

最後は、弊社の親会社である株式会社TWOSTONE&Sonsに参画したタイミングです。以前の会社は、売上が10億円くらいで、30〜40人ほどで回している規模感でした。そこからTWOSTONE&Sonsのグループ会社として弊社を立ち上げましたが、グループ間で稟議を通す大変さや、一般的な会社のワークフローの重要さを初めて実感しました。大手企業と取引する際に契約書の取り交わしに時間がかかる理由も、ようやく現場として腹落ちした部分があります。大変な部分を目の当たりにした一方で、上場企業ならではの信頼性や、大手企業との取引が生まれるという良さもある。そういったこれまでになかった経験をさせてもらっているのは大きいですね。

任せきる組織論

――組織運営で意識していることを教えてください。

メンバーに一度任せたら、任せきることが大事だと思っています。弊社のプロジェクトマネージャー達には、進行がどうなっているかの確認はしますが、細かいことに口を出す必要はないと感じています。もし何か問題があったとしても理解できるメンバーなので、マイナス評価のような形で言う必要もない。私からは、それに対してどう思うか、を伝えるくらいで、細部の指摘はあえてしません。信頼できるメンバーだからこそですが、基本的には、高い裁量権を渡して自律性を重んじるスタンスです。

――業務委託の方も含めて主体的に動いてもらうために、取り組んでいることはありますか。

まず、独自のインセンティブ制度を作っています。開発会社は生産部隊なので、営業とは違いインセンティブ制度を作りづらい面があります。そこで弊社は「頑張った分だけ対価が払われる」という、ごく一般的なルールとして制度を整えました。

あとは、組織の雰囲気作りです。弊社は正社員も業務委託も垣根なく、メンバー間の仲が良い雰囲気を心がけています。例えば、業務委託のメンバーも含めてメンバーの誕生日を一緒に祝ったりします。

これは私の完全な趣味なのですが、メンバーの子どもたちと仲が良く、誕生日などの節目にはお祝いを贈るなどして、メンバーの家族にも仕事を理解してもらえるような良好な関係を築いています。

私は現在24歳で、社員も業務委託もメンバーは全員年上です。経験値も豊富な方々ばかりなので、年齢に関係なく一人のプロフェッショナルとして敬意を払い、オープンなコミュニケーションを徹底しています。

――社員に求める姿勢はどのようなものですか。

きちんと考えて動ける人ですね。自分で考えて動いた結果の失敗ならチーム全員でカバーもできますし、対策も立てられます。しかし、考えずに動いた結果の失敗は、周囲もフォローが難しく、今後の対応策も見つけられません。だからこそ、まずは「自分で考えて動けること」が大事だと思っています。

文化的に馴染めないとか、コミュニケーションが稚拙とか、特に若い人ですと当然あると思います。むしろそれが一つの個性であり、そのキャラクターだからこそ獲得できる案件もありますし、その個性でクライアントと仲良くなる人もいます。人柄をわざわざ指摘するのは違うと思っていて、その人柄を持って「どう考えて動くか」がポイントになりますね。

変わる業界で残る力

――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。

今、色々な会社のアプリやシステムを作っていて、結果として「業務効率がこれぐらい削減できました」とか「ユーザー数が増えて売上が伸びました」といった声をいただくことがあります。そういうクライアントの直接的成果を、どんどん残していきたいです。社内のモチベーションも上がりますし、実績としても積み上がっていきます。実績が増えると、クライアントとの関係性も深まり、良い意味で「頼っていただける」状態になる。そうすると、より良い関係値になっていけると思っています。

一方で、AI化はどんどん進んでいます。そこに遅れないように、弊社も先行して捉えて、新しいアプローチをしていきたいと思っています。

――業界としては、今後どう変わっていくと見ていますか?

SIや開発事業は、AIによって開発単価やエンジニアの市場単価に変動が起きています。定型的なライトな開発であれば、自動化される未来もそう遠くはありません。

ただ、そうなったとしても、必要なポジションやあるいは新たなニーズの発生は当然あると思います。そこをしっかり見極めつつ、ぶれないことが大事だと考えています。

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