地域と教育の未来をつなぐ挑戦――株式会社ゆめスタが描く高校生キャリア支援の新しい形

株式会社ゆめスタ 代表取締役 飯田 思遠氏

株式会社ゆめスタは、地元企業と高校生をつなぐ採用支援事業を展開しています。主力事業である高校生向け情報誌を通じて、地域の中小企業の魅力を発信。さらに、学校教育の現場に企業や社会との接点を生み出し、高校生が主体的に進路を選択できる環境づくりにも力を注いでいます。2025年9月に創業した同社は、企業の採用課題と教育現場が抱える課題の双方に向き合いながら、地域社会に新たな価値を生み出そうとしています。今回は代表の飯田氏に、事業への想いや今後の展望について伺いました。

高校生と地域企業をつなぐ「ゆめマガ」の取り組み

――現在の事業内容について教えてください。

当社では地元の中小企業に向けて、採用活動に関する支援を行っています。主力事業は高校生向け情報誌「ゆめマガ」の発行です。

大卒採用や中途採用であれば多くの求人媒体がありますが、高校生の就職活動は学校を通じて行われるため、企業側が直接情報発信できる機会は限られています。その結果、地域には魅力的な企業がたくさんあるにもかかわらず、大手企業に比べて認知されにくい現状があります。

そこで私たちは、雑誌を通じて地域企業の魅力を高校生へ届けています。対象エリアは愛知県西部や名古屋市周辺、そして三重県北部が中心です。企業の魅力や働く人の想いを伝えることで、高校生が進路を考えるきっかけをつくっています。

――高校生採用に特化している理由を教えてください。

現在の高校生の就職活動は、同時に1社しか応募できない「一人一社制」という独特のルールや、文字だらけの求人票だけで職場を判断しなければならないといった、非常に閉ざされた環境にあります。大学生のように複数の企業を比較検討する機会がないため、入社後のミマッチが起きやすく、3年以内の離職率が約4割という高い水準にあるのが現状です。

だからこそ現在は、高校生の新卒採用支援に特化しています。また、高校生の就職市場に特化した企業は存在していますが、大卒領域などと比較すると数は圧倒的に少ない状況です。その分、まだまだ取り組む価値のある分野だと感じています。

教育への疑問から始まった起業への道

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

中学生の頃から、「なぜこんな勉強をしなければならないのだろう」と教育に対して疑問を持っていました。

学歴社会は以前より変化しているとは感じていますが、それでもまだ根強く残っています。多くの保護者が大学進学を望む一方で、本当に4年間という時間とお金を投資することが最適なのかという疑問もありました。

私は、高校卒業後に働くという選択肢がもっと当たり前になってもいいと思っています。そのためには、高校生が自分自身で進路を考えられる環境を整える必要があります。この課題に向き合いたいと思ったことが、起業の原点です。

――これまでのキャリアについて教えてください。

実は、この会社が初めての仕事です。他社で働いた経験はありません。

現在も大学に在籍しており、学生として学びながら経営に取り組んでいます。若いうちから行動し、経験を積むことが将来の大きな財産になると考えています。

人生は複利だと思っています。どれだけ経験を積み、自分自身に価値をつけられるかが重要です。だからこそ、「今やらないでいつやるのか」という気持ちで挑戦を続けています。

学校と企業をつなぐコーディネーターの存在

――組織運営で大切にしていることは何でしょうか。

現在は役員4名とスタッフ4名で活動しています。

当社では企業担当、学校担当と役割を分けていません。全員を「コーディネーター」と呼んでいます。企業側の事情だけでなく、学校側の考え方や課題も理解していなければ、この活動は成り立たないからです。

企業への提案や営業活動だけでなく、学校との調整や連携も重要な仕事になります。双方の立場を理解しながら橋渡しをすることが、私たちの大切な役割です。

――現在取り組まれている新しい挑戦について教えてください。

高校生の求人票は長年大きく変わっていません。いまだに紙が中心で、内容も高校生にとって分かりやすいとは言えない部分があります。

その結果、休日や給与など限られた情報だけで進路を選び、入社後のミスマッチにつながるケースも少なくありません。

私は、生徒自身が主体的に進路を選ぶ力を身につけることが重要だと考えています。そのために、学校の授業の中で企業や社会と接する機会を増やしたいと思っています。

現在は実際に高校で、生徒が企業を取材し、インタビューを行い、自ら記事を制作する取り組みを進めています。企業の方に学校へ来ていただくこともあります。

最初は学校との信頼関係づくりに時間がかかりました。しかし、教育を変えたいと考えている先生方も確実に存在しています。そうした先生方と一緒に新しい取り組みを広げていきたいと思っています。

教育改革への挑戦と今後の展望

――今後の展望についてお聞かせください。

まずは高校生が主体的にキャリアを考えられる環境を広げていきたいです。そのために、学校と企業をつなぐ取り組みをさらに拡大していきます。

3年後には現在の5倍規模まで成長したいと考えています。ただし、単純な売上拡大だけを目指しているわけではありません。

私たちが目指しているのは、学校と地域企業をつなぐ文化をつくることです。企業が若者へ投資し、地域全体で子どもたちの成長を支える流れを生み出したいと思っています。

最終的には会社という枠を超え、一つの文化やムーブメントになってほしい。そのために、地域ごとにコーディネーターが存在し、学校と社会が自然につながる仕組みを広げていきたいと考えています。

現在の課題は大きく二つあります。一つは教育現場特有の文化的な課題です。変化を嫌う風土もあり、理解していただける方とそうでない方の差が大きくあります。信頼関係の構築には時間が必要です。

もう一つは人材面です。学校と企業の間をつなぐコーディネーターをもっと増やしていかなければなりません。今後は志を共有できる仲間やパートナーを増やしながら、活動を広げていきたいと思っています。

未来をつくるのは行動する人たち

――最後に、中小企業の経営者やこれから起業を目指す方へメッセージをお願いします。

採用に悩んでいる企業は非常に多いと思います。しかし、どれだけAIが発達しても、会社は結局人の集まりです。

これから会社の中核を担う人材を育てていくためには、若い世代との接点づくりが欠かせません。そのためには、自社の魅力を発信し続けることが必要だと思います。

私は経営者の方によく、「ご自身のお子さんは自社に入社したいと思いますか」とお聞きします。もし魅力が伝わっていなければ、選ばれることはありません。地域に愛される企業になるためにも、発信を止めないでほしいと思います。

また、起業を目指す若い世代には、「まず行動してほしい」と伝えたいです。どれだけ立派な計画を作っても、実際に人と会い、現場に出て学ばなければ分からないことばかりです。

そして、人と違うことを恐れないでください。これからの時代は、何か一つでも強みや個性を持つ人が活躍していくと思っています。周囲と同じであることよりも、自分らしい挑戦を続けることが大切です。

高校生にも伝えていることですが、今どれだけ行動し、経験を積めるかで未来は大きく変わります。

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