灯台のように、LOCALを照らす――NAVICUS九州・渡邉一平が描く「地方発」のSNSマーケティング

株式会社NAVICUS九州 代表取締役CEO 渡邉 一平氏

株式会社NAVICUS九州は、SNSを起点とした戦略コンサルティングで、長崎・九州の企業や自治体(LOCAL)のマーケティングを支援する会社です。2022年10月に長崎市で設立され、東京のSNSマーケティング会社・株式会社NAVICUSの代表・武内一矢氏をCMOに迎え、理念とノウハウを受け継いでいます。本記事では、代表取締役CEOの渡邉一平氏に、事業への想いや長崎へのUターン、地方創生への覚悟について伺いました。

SNSを起点に、LOCALの「らしさ」を世界へ

――現在の事業内容について教えてください。

NAVICUS九州は、長崎・九州を拠点にSNSマーケティングを専門とする会社です。東京で培ったSNSの知見を、九州の企業や自治体の実情に合わせて提供することを強みとし、戦略設計から運用・分析まで一気通貫で支援しています。SNSコンサルティングや運用支援、広告運用を通じ、運用の内製化まで伴走しています。

近年はLINE活用やSNS採用支援にも力を入れています。また、採用サービス「FREE JOB」と組み合わせることで、「人柄」や「働く実感」が伝わる採用支援を行っています。

――事業の強みはどこにありますか。

大きく2つあります。
1つは、「東京の最先端のノウハウ」と「九州の現場感覚」を両立していることです。東京のNAVICUSで培ったSNSの知見を、長崎・九州の企業や自治体の実情に合わせて翻訳し、届けられることが私たちの強みです。

もう1つは、施策単体ではなく「戦略から設計する」ことです。投稿数ではなく、生活者がブランドをどう感じ、選び、関わり続けるかを起点に運用を設計しています。SNSを「集客の資産」として育てるため伴走しています。

社名にも理念にも込めた、「導く」という意志

――社名「NAVICUS」に込めた想いを教えてください。

「NAVICUS」は東京のNAVICUSが掲げる社名です。私はその社名に込められた理念に強く共感し、九州でもこの名を受け継ぐことにしました。

名前には「靡(なび)かす」「NAVIGATION(導く)」「CUSTOMER(顧客)」という意味が込められています。関わる人をより良い方向へ導くという理念に、私は心を動かされたんです。

――「LIGHTHOUSE(灯台)」という行動指針には、どのような想いが込められているのでしょうか。

長崎は、全国でいちばん多くの灯台を持つ県なんです。多くの船を灯台で正しい航路へ導いてきた歴史があり、私たちもその灯台のように、お客様を導く光でありたい。そんな想いから、行動指針を「LIGHTHOUSE」と名付けました。

――ミッションに掲げる「PARTY FOR ALL」についても教えてください。

これは私自身の経験から生まれた言葉です。一人では限界があります。チームが本気になって初めて新しい風が生まれる。関わるすべての人をチームの一員と考え、多様な考え方を受け入れ、一人ひとりの本気を形にしたい。それが地方創生につながると信じています。

地域だけでなく、外の視点も取り入れ、新たな風を起こしたいという想いです。「九州でSNSやマーケティングをやろうと思ったら、まず「NAVICUS九州」。そう思っていただける会社になることが、私たちの目標です。

「外から」が難しいなら、「中の人」になる

――経営の道に進まれた経緯を教えてください。

長崎で生まれ育ち、進学を機に神戸・大阪へ移り、営業職を経て、ベンチャーコンサル会社の立ち上げや事業再生コンサルティングに携わりました。

そのなかでSNSを活用した企業支援にも取り組み、地域で事業をつくり、経営に携わるようになりました。関西の「お笑い文化」に触れられたことは、今でも財産だと思っています(笑)。 

――長崎へ戻られたきっかけを教えてください。

当時の社長の方針で長崎を視察しましたが、「長崎には事業になりうる魅力がない」という結論でした。その悔しさから長崎の歴史や文化に触れ、「外からが難しいなら、長崎の“中の人”になって事業をつくり、地域に貢献しよう」とUターンを決意しました。

地域の課題に向き合う事業に携わるなかで、「SNSを軸にしたWebマーケティング会社を長崎につくる」というプロジェクトに出会いました。

――そのときの心境について教えてください。

その話を聞いた瞬間、迷わず「はい、喜んで!」と返事したのを覚えています。決め手の1つが「NAVICUS」という社名でした。人を良い方向へ導くという理念に強く感銘を受け、「これは長崎でやるべき仕事だ」と腹の底から思えたんです。

そうして、2022年10月の立ち上げ時から常務取締役として参画し、2023年3月にCEOへ就任しました。資本のつながりではなく、この名前と理念に共鳴した者同士が手を組んだ関係です。

一人では届かない場所へ。多様な仲間と、フルリモートで

――組織づくりやチームの特徴について教えてください。

とにかくメンバーのバックグラウンドが多彩です。東京でSNSマーケティングを経験した人、長崎でWebメディアを運営するマーケター、長崎の老舗企業の元副社長、青年海外協力隊出身の元バンカー、元大手コンビニの商品開発担当など、多様な専門性を持つメンバーが集まっています。

また、会長兼CROには長崎県内の流通グループを成長へ導いた松本徳次郎氏、CMOには東京のSNSマーケティング会社・NAVICUS代表の武内一矢氏が参画しています。地に足のついた経営の知見とSNSノウハウも強みです。

――働き方について教えてください。

フルリモートを基本にしています。どこにいても長崎に貢献できる仕組みをつくることで、日本中、さらには海外からも長崎を応援できる環境を目指しています。スコットランドやオーストラリアから関わるメンバーもいます。

長崎での経験を他地域へ活かし、他地域の知見を長崎へ還元する。そうやってお互いに良い影響を与え合いながら成長していきたいんです。

――人材育成について考えていることを教えてください。

若くて優秀なマーケターと出会える機会がまだ多くありません。だからこそ、「NAVICUS九州に入ればSNSマーケティングが学べる」と言われるような会社を目指しています。良い人材を育てる「発射台」のような存在になれたら理想です。

数字で語れる成果と、これからの一手

――具体的な支援の成果を教えてください。

長崎県内の企業や自治体を支援しています。長崎県内の氷菓メーカーでは、5か月でInstagramのフォロワー約2,000人増、LINEのお友だちを164人から1,000人へ、インバウンド向け投稿ではリーチ40万を達成しました。波佐見焼の窯元では3か月で3,000フォロワーを達成し、長崎の老舗菓子メーカーでも4か月で約2,000人のフォロワー増加とキャンペーン反応の向上につながりました。

地方銀行を中心とした長崎県内14社の合同キャンペーンでは、合計露出11.5万、Instagramで1,441人、Xで1,053人のフォロワー増加を実現しました。「長崎を盛り上げたい」という声も多く、地域全体で成果を生み出しました。

採用支援では、食肉加工メーカーに対し、noteや公式Xの立ち上げから内製化支援、採用動画制作まで伴走し、内定承諾率を昨年比2倍にしました。SNS・マーケティングセミナーを通じ、自走できる体制づくりも支援しています。

――今後の展望について教えてください。

今後は2つの軸で取り組んでいきます。

1つは観光・インバウンド領域です。長崎の観光協会(DMO)と連携し、地域事業者の観光・インバウンド支援としてSNS運用の自走化まで伴走しています。海外向けSNSの知見も活かしています。

もう1つは、生成AIの活用です。AIセミナーを通じ、「明日から使えるAI活用」を現場へ届けています。地域事業者が生成AIを実務に取り入れられるよう支援し、LOCALに特化したサービスをさらに充実させていきます。

地方創生はタフだ。それでも、大好きな長崎と生きる

――休日の過ごし方やリフレッシュ方法を教えてください。

サッカーやバスケットボールを続けてきた経験から、チームだからこそ実現できるという考え方が今の会社づくりの原点です。最近はゴルフも楽しんでいます。

V・ファーレン長崎や長崎ヴェルカも応援しています。地域が一体となって盛り上がる姿を見るたびに、「地方には、まだまだ熱量がある」と勇気をもらいます。

プライベートでは、3人の子どもと過ごす時間が何よりのリフレッシュです。保護猫も5匹いて、毎日とても賑やかなんです(笑)。料理も好きで、さまざまなものが混ざり合って一つの「らしさ」を生み出す感覚は、仕事にも通じるものがあると感じています。

――最後に、仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。

長崎にUターンして10年ほど経った頃、「本当に地域を元気にするには何が必要なのか」「長崎に貢献したいという自分の原点は何だったのか」と改めて考えました。

地方はビジネスモデルをつくりにくく、「人」という資源も限られています。それでも、大好きな長崎とともに成長できる可能性を探り続けたい。SNSが持つ情報を広げ、人の想いをつなぐ力は、地方創生にも生かせると信じています。

だからこそ、長崎で働く喜びを感じてもらい、他地域とのつながりを通じて長崎の魅力を再発見し、地域に貢献し続ける会社でありたい。フルリモートのコミュニティを活かして、日本中から長崎を想う仲間とともに地域を元気にしていく。それが私の覚悟です。

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