生の声から感動のチカラをひもとく「感動セッション」

感動プランニング 代表 木村 克彦氏

ソニー株式会社に38年間勤務した経験をもとに、「感動セッション」を始めた木村氏。年齢や肩書、専門領域を問わず、参加者が実際に経験したことと、そこから生まれた本音を生の声で語り合う場をつくっています。誰かが答えを教えるのではなく、対話を通じて互いに触発され、心が動いた理由を掘り下げていくことが特徴です。一人ひとりが日々をよりワクワクしながら生きられる社会を見据える木村氏に、取り組みの内容や一般的なコーチングとの違い、セッションを始めたきっかけについて伺いました。

実体験と思いを交わし、感動の本質を探る

――取り組みについて教えてください。

私の事業方針は、自分の経験を最大限に活かし、自分にしかできないことをやり尽くすことです。「心が動くとき、世界の未来が動き出す」という考えを軸に、感動セッションを行っています。

感動セッションでは、一人ひとりの心に焦点を当てます。参加者が実際に経験したことや、本当に思っていることには大きな力があり、これを直接語り合うことは、互いに触発される場になる。対話から新たなエネルギーや夢、希望を生み出し、社会に元気や生きる力を広げたいと考えています。

――一般的なコーチングとは、どのような点が異なりますか。

感動セッションは、何かを教える場とは真逆だと考えています。私が答えを示したり、参加者を一定の方向へ導いたりするものではありません。

参加者は、自分が経験した事実と、そこから感じたことを語りますが、それをどう受け取り、どう活かすかは、聞く人に委ねられています。私も自分の経験をもとに、別の切り口から問いを投げかけ、一緒に考えます。

対話によって考えが整理され、より深い本質に気づくことは少なくありません。そして、周囲から異なる意見が加わること、さらには、異なるテーマでセッションを広げていくことで、さらに理解や気づきが広がっていくことが、感動セッションの魅力です。

ソニーでの38年間から生まれたライフワーク

――感動セッションを始めたきっかけを教えてください。

私はソニーに勤務していた際、同社が「世界を感動で満たす」を掲げ、素晴らしいビジョンだと感じました。

一方で、商品やサービスだけで社会を感動で満たせるのだろうかと疑問に思ったのも事実です。感動は、一人ひとりの心の動きと、そのかけ合わせによって、そこから始まるものではないかと思ったのです。

そこで、ソニー在職中から、社内のさまざまな人に話をしてもらう取り組みを始めました。経営トップの本音や、商品や技術を生み出した人の思い、人事やダイバーシティに関わる考えなどを取り上げていったのです。

立場や領域を越えて生の声を集めると、聞いた人が「自分はこう考える」と反応します。そこから考えが膨らんでいくことに、大きな可能性を感じました。

――ソニーでの経験は、現在の活動にどのようにつながっていますか。

ソニーでは、長くトップのスタッフを務めました。当時の私は、意思決定をする社長を支える立場でした。ここで、巨大な会社や事業全体に触れる貴重な経験をしました。

現在は、自分自身が直接、さまざまな人とつながり、感動や心の動きを掘り下げています。社内や社外という枠も設けていません。

私は60歳を過ぎて、自分がやるべきことはこれだと行き着きました。私なりの方法で、誰にも真似できないライフワークとして取り組んでいます。

肩書や立場を越え、主体的に語り合う場

――感動セッションの運営で大切にしていることは何ですか。

もっとも大切にしているのは、参加者の主体性です。組織から指示されて参加するものではありません。自分で関心を持ち、自分の意思で1歩踏み込むことが、気づきにつながります。

感動するポイントは人によって異なり、経験や知見を重ねるなかで変化します。だからこそ、特定のジャンルに限定せず、あらゆる感動を1つの場に集めています。

――参加者とは、どのような関係を築いていますか。

私は、場のなかで上下関係や肩書を重視していません。経営者でも、学生でも、当事者でも、それぞれが自分の経験と本音を持ち寄ります。

そこに正解や不正解はありません。異なる経験や考えを突き合わせながら、本当に大切なことへ一緒に近づいていきます。私自身も教えてもらうことがあり、対話を重ねながら一緒に本質へたどり着く関係を大切にしています。

――運営にはAIも活用していますか。

私は、動画の編集や分析、セッションの切り口を考える際にAIを活用しています。構成について壁打ちを行い、異なる視点を得ることも多いです。

AIから返ってくる提案のなかから良いものを選び、活動に取り入れるようにしています。とはいえ、何を考え、どの視点から掘り下げるのかという内容をつくることには時間がかかりますし、そのプロセスが重要だと思います。

1年前には想像できなかった挑戦を形にする

――今後、感動セッションをどのように発展させたいですか。

私は、人数や売り上げのような定量目標を先に置いているわけではありません。1年後には、「これは1年前には絶対に思いつかなかった」と言えるものを実現していたいです。今の自分が描ける範囲に収まるのではなく、日々の出会いや実践から、想像を超える取り組みを生み出したいと考えていますし、今の状態も一年前には想像していませんでした。

現在も、さまざまな立場の人にアプローチしています。普段は見えにくい本音や歩みを、生の対話で掘り下げたいという思いで活動しているところです。

――感動セッションを通じて、どのような社会を目指していますか。

私たちが感動した理由をたどると、その背景には社会や歴史、人とのつながりがあります。そして、一人ひとりの感動は、奥底ですべてつながっていると考えています。

それぞれの感動をひもとくことで、もっとワクワクできる世界をつくっていけるはずです。私は、自分がワクワクすることと、社会にとって良いことが自然に重なる状態を目指しています。

思いついたことを行動に移し、積み重ねる

――日々の活動を続ける原動力は何ですか。

私は、起きたらすぐに何かを始め、寝ている間も考えているほど、やりたいことがあります。気が付いたら時間が過ぎていますが、大変だから休みたいという感覚ではありません。

今は、良い内容を1つずつ積み重ねる段階だと考えています。手間がかかっても、確実にできることを続けることが大切です。

組織に属し、勤務していた頃は、企業の目標や役割、指示という枠組みのなかで責任を果たしてきました。現在は、自由にやってよいと言われたとき、人間は何をするのかを考え、自分自身で実践しています。

――活動を続ける上で、大切にしている考えを教えてください。

私は、正解を考え続けるよりも、自分が「こうだ」と思ったことを行動に移すことが大切だと考えています。実際、行動した後に、結果は自然と見えてくるものです。

感動セッションのアーカイブは、世界中の人に少しずつ見てもらっています。すぐに大きな結果が出なくても、積み重ねたものが、いつか誰かの心に届くと思っています。

枠組みにとらわれず、自分がやるべきだと思うことを実践し続けます。これからも、一人ひとりの心が動く瞬間を丁寧にひもときながら、ライフワークを続けていきます。

全開催セッションや分析などは、ホームページで公開していますし、ライブへのご参加もいつでも可能です。また、セッションで話をしてみたいという方も、いつでも歓迎ですので、コンタクトいただければと思います。

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