採用の本質に向き合い、日本とフィリピンをつなぐASRIUMの挑戦
ASRIUM 代表 大須賀 琢真氏
ASRIUMは、採用BPOと人材紹介を中心に、人と組織に関する支援を行っています。採用業務を代行するだけでなく、経営計画や事業計画をもとに、企業に必要な人材や採用方法を設計していることが特徴です。企業人事として採用の現場に立ちながら事業を運営する大須賀 氏に、事業への考え方や創業の背景、今後の展望について伺いました。
目次
採用業務を代行するだけでなく、企業成長につながる仕組みをつくる
――現在の事業内容について教えてください。
ASRIUMは、採用BPOと人材紹介を中心に、人と組織に関する支援を行っています。特に採用BPOでは、採用計画や採用戦略の設計から、求人作成、ダイレクトリクルーティング、応募者対応まで、採用活動を一気通貫で支援している点が特徴です。
単純に作業を代行するのではなく、採用活動を企業の成長につなげるための仕組みをつくることを大切にしています。
――どのような企業を支援していますか。
採用が難しい企業からのご相談が多く、介護・福祉分野や、大手携帯販売企業などの採用を支援しています。現在は、人を募集すれば採用できる時代ではありません。企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者からも選ばれる必要があります。
給与や条件に加えて、企業が何を目指しているのか、入社によってどのような経験を得られるのかを具体的に伝えることが重要です。
――ほかの採用支援企業との違いはどこにありますか。
実際に企業人事として採用活動を行っている人間が支援していることです。媒体運用やスカウト送信など、特定業務の代行に強い企業もありますが、当社は経営計画や事業計画から必要な人材を逆算します。
その上で、採用するべきかどうかという判断から入り、採用計画、選考基準、媒体選定、面接、内定まで全体を設計します。私自身が現在も企業人事として現場に立っているため、机上の理論ではなく、現在の採用市場で実際に成果が出る方法を提供できることが強みです。
企業に勤めながら実務を磨き、行動と継続で事業を育てる
――事業を始めたきっかけを教えてください。
昔から「何者かになりたい」という気持ちがありました。ただ、私は特別な才能を持った人間ではないと思っています。だからこそ、行動量と継続によって自分の可能性を広げようと考え、事業を始めました。
創業は2024年1月です。いきなり勤務先を辞めて起業したのではなく、企業に勤めて実務能力を磨きながら、小規模で事業を始めました。ご依頼いただいた仕事にはできる限り挑戦し、失敗と改善を重ねてきました。
――勤務と事業をどのように両立していますか。
勤務先では通常の時間帯で働いているため、事業の打ち合わせを夜に入れることがあります。また、水曜日が休みなので、その日は朝から夜まで予定を入れて動くことも多いです。
企業に勤めて実務能力を磨きながら、小さく事業を始める方法は、個人事業としての安定にもつながります。そのため、限られた時間のなかでも、ご依頼いただいた仕事にはできる限り挑戦してきました。
誠実さを軸に、企業と候補者の双方に向き合う
――経営する上で、もっとも大切にしていることは何ですか。
誠実であることです。人に対しても企業に対しても、誠実に向き合って対応できるかどうかは譲れません。これは私自身の信念であり、一緒に働きたい人物像でもあります。
また、私は「自分に関わってくれた人を幸せにする」という理念を持っています。まずは現在ご依頼いただいているお客様に向き合い、求められた成果に対して101%、102%で応えることを大切にしています。
――現在はどのような体制で事業を運営していますか。
個人事業として1人で運営していますが、採用BPOの案件では、必要に応じて業務委託の方々に協力してもらっています。
一緒に働く方にも、人や企業に対して誠実に向き合えることを求めています。中長期的な関係を築くためには、目の前の相手に正直に向き合い、信頼を積み重ねることが必要です。
――採用選考では、どのようなことを重視していますか。
応募者を書類だけで判断しすぎないことを大切にしています。経歴や年齢は書類からわかりますが、その人が環境のなかで力を発揮できるかどうかは、実際に会ってみなければわかりません。
支援先の企業には、ほかに迷う理由がないのであれば、まず会ってほしいと伝えています。企業が候補者を選ぶだけでなく、候補者からも選ばれるという前提に立つ必要があります。
目的地のないドライブが、思考を整理する時間になる
――忙しい日々のなかで、どのようにリフレッシュしていますか。
時間が空いた際には、夜にドライブへ行きます。目的地を決めずに、車を走らせることもあります。運転中も仕事について考えてしまうので、完全なリフレッシュになっているかはわかりません。
それでも、景色が変わっていくなかで、「こうすれば良い方向に進むのではないか」「ここにはリスクがあるかもしれない」と考えられます。
実際、自宅や勤務先で仕事をしているときよりも、ドライブしているときのほうが頭が整理される気がするのです。
仕事から完全に離れる時間ではありませんが、次に何を改善するのか、どのように進めるのかを考える大切な時間になっています。
日本とフィリピンをつなぎ、挑戦が循環する社会を目指す
――今後、どのような事業を目指していますか。
最終的に実現したいのは、日本とフィリピンの架け橋になることです。私にはフィリピンにルーツがあり、大学生のときに約2年間、現地のスラム街で暮らしました。
現在は、採用BPOと人材紹介に加えて、アパレル事業も行っています。アパレル事業の売り上げの一部は、NPO法人を通じて、幼稚園や大学生の支援に充てています。
――日本とフィリピンをどのようにつないでいきたいですか。
採用BPOと人材紹介は日本で展開し、アパレルを含む海外事業については、フィリピンなどに拠点を持ちたいと考えています。
将来的には、これら3つの事業をかけ合わせ、フィリピンに学べる場を提供したいです。そこで育った人を当社で雇用し、フィリピンから日本へ、日本から海外へ挑戦する人を支えたいと考えています。
――3年後の事業をどのように描いていますか。
現在の個人事業の年間売り上げを1とするなら、3年後には10を目指しています。そのために、まずは日本国内で採用BPOと人材紹介の支援実績を積み上げ、企業の採用課題に本質的に向き合える事業にしていきたいです。
私は、お金を渡すだけでは、貧困から抜け出すことは難しいと考えています。自分たちで読み書きができ、自分たちで仕事を探し、フィリピン国内や国外で働ける人を生み出したいです。
誰かが挑戦して生み出した成果が、次に挑戦する人や企業へ還元される。その循環を事業によってつくり、日本とフィリピンをつなぐ存在を目指していきたいです。