エンターテインメントで「思い出」をつくる――エル・ディー・アンド・ケイが描く、人を軸にした経営

株式会社エル・ディー・アンド・ケイ 代表取締役 大谷 秀政氏

音楽事務所を軸に、ライブハウスや飲食店を幅広く手掛ける株式会社エル・ディー・アンド・ケイ。代表の大谷氏が大切にしているのは、「人がやりたいことを実現できる環境」をつくることです。社員やアルバイトの挑戦を後押ししながら、多くの人の思い出を生み出してきました。今回は、現在の事業や経営理念、組織づくり、今後の展望について伺いました。

思い出を生み出すことが、会社の存在意義

――現在取り組まれている事業の特徴や強みを教えてください。

当社は音楽事務所を主軸としながら、飲食店やライブハウスも運営しています。

アーティストを抱えている以上、「どうすれば活動を続けられるか」を常に考えてきました。そのために飲食店やライブハウスを展開し、音楽事業を支える仕組みをつくっています。

近年はライブハウス事業が会社の大きな柱です。比較的ニッチな業態で競合が少なく、現在は全国でもトップクラスの店舗数になりました。業績面でも安定していて、会社を支える重要な存在ですね。

――会社の理念やビジョンには、どのような思いが込められていますか。

一番大切にしているのは、「みんなの思い出づくりをする」ということです。エンターテインメントや飲食を通じて、お客様の人生に残る時間を提供したいと思っています。

ライブハウスには、それぞれ特別な気持ちを持ってお客様が来られます。お店も同じで、宇田川カフェでは「15年前にここでプロポーズしました」「学生時代によく通っていました」といった話を聞くことがあります。そういうエピソードを聞くのが好きなんです。

その場所が誰かの人生の一部になる。それこそが私たちの仕事の価値だと思っています。

「快適に生きる」を軸に選んだ経営という道

――経営者になろうと思われたきっかけを教えてください。

大学卒業と同時に、22歳で起業しました。会社員として働いた経験はほとんどありません。

私の場合、「勤め人が向いていなかった」というのが正直な理由です。朝早く起きるのが苦手で、満員電車にも乗りたくない。苦手な人と働き続けることも難しいと思っていました。

会社を経営すれば、社員も取引先も、自分が信頼できる相手と仕事ができます。旅行も好きなので、行きたいときに行ける生活を送りたいという思いもありました。

たくさん働いてお金だけを持っていても、豊かな人生とは限りません。できるだけストレスを減らし、自分らしく快適に生きることを大切にしてきました。

――経営判断の軸になっている価値観を教えてください。

スタッフにも、できるだけ豊かな人生を送ってほしいと思っています。仕事も人生の一部なので、毎日を充実させることが大切なんじゃないでしょうか。

当社では、やりたいことがある人が手を挙げ、その人が中心となって新しい事業を始めることがあります。社内ベンチャーのような形ですね。

新しくお店を出せそうな物件があっても、やりたい人がいなければ出店しません。無理に任せるのではなく、やりたい人に取り組んでもらう。そのほうが力を発揮できますし、会社も伸びると思っています。

一人ひとりがやりたいことに挑戦できる環境を整えることが、経営者の役割だと考えています。

挑戦する人が育ち、会社も伸びていく組織づくり

――社内のコミュニケーションで大切にしていることを教えてください。

22歳で起業した経験があるので、「若いからできない」とは考えていません。アルバイトであっても、何かやりたいことはないか、常に気に掛けています。

年齢や立場に関係なく、やりたいことがある人を見つけて仕事を任せる。それが会社の成長につながると思っています。

若いスタッフやアルバイトが相談に来て、「こういうことをやってみたい」と話してくれることも多いんです。そうした思いを、できるだけ実現することが社長の仕事ですね。

実際にアルバイトから社員になった人も多く、一度退職してから戻ってくる人もいます。宇田川カフェには、25年前から働き続けている創業メンバーもいます。

――採用や育成で大切にしていることはありますか。

やる気があれば、多くのことは教えながら身につけられます。経験や技術よりも、「やってみたい」という気持ちを大切にしています。

役職も、私が一方的に指名することはほとんどありません。仕事をして成果が出れば売上が伸び、人が増え、自然と部下ができる。その結果として役職や給料も上がっていく仕組みです。

会社のリスクは私が引き受ける立場なので、社員が失敗しても怒りません。失敗は経験になりますし、次に生かせばいい。安心して挑戦できる環境をつくりたいと思っています。

ライブハウスを軸に、新たな挑戦を積み重ねる

――今後取り組みたい挑戦について教えてください。

今後も、やりたいことを持つ人が増えれば、新しい事業も増えていくと思います。その中でも、特に力を入れているのがライブハウス事業です。

参入する企業が少ないニッチな業態なので、伸ばしていけば大きな強みになります。今年も地方を含め、複数のライブハウスを新たに展開する予定です。

会社には事業を支えてくれる仲間がいて、私が新しいものをつくった後、運営を任せられる体制もできています。その基盤があるからこそ、次の挑戦に取り組めるんです。

やりたいことを持つ人が現れ、会社が形にしていく。この流れによって、自然と会社も成長してきました。

――これまでの経験から得た学びを教えてください。

若い頃はデザインの仕事もしていましたが、取引先の都合で仕事を失い、苦しい時期を経験しました。そこで、「誰かに仕事を握られる経営はしない」と決めました。

それ以来、スポンサーや特定のクライアントに依存せず、自分たちがお客様へ直接価値を届ける仕事を中心にしてきました。

海外事業で思うような結果が出ないなど、失敗もあります。ただ、自分たちで責任を持てる仕事を選ぶことが、精神的な自由にもつながると感じています。

挑戦する人に勇気をもらい、頭を空っぽにする

――影響を受けた人物や、リフレッシュ方法について教えてください。

誰かに教わりながら経営してきたわけではありません。音楽業界もライブハウスも未経験から始め、その都度、自分で調べながら形にしてきました。

特定の尊敬する人物がいるというより、「思い切ってやってしまう人」に勇気をもらいます。「こんなことまでやるんだ」と驚く人を見ると、自分も挑戦していいんだと思えるんです。

疲れたときは、南国のリゾートへ行ったり、サーフィンをしたりします。経営者として考え続ける毎日だからこそ、頭を空っぽにする時間は欠かせません。

これからも「みんなの思い出づくり」を大切にしながら、一人ひとりの「やりたい」を形にできる会社であり続けたいと思っています。

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