動物を守る活動から、社会の仕組みを変える挑戦へ――霧島動物愛護センターが目指す未来

霧島動物愛護センター 代表 大﨑 貴之氏

霧島動物愛護センターは、現在、自己資本によるボランティアとして動物の保護活動に取り組んでいます。施設内外で多くの猫を見守りながら、日々の給餌や清掃、動物虐待の実態を伝えるための記録などを続けてきました。一方で、目の前の命を救うだけでは問題の根本的な解決にはならないという強い思いも抱いています。本記事では、代表の大﨑貴之氏に、現在の活動や動物愛護に対する考え、今後実現したい社会について伺いました。

目の前の命を守りながら、根本的な解決を目指す

――現在取り組まれている活動について教えてください。

現状は、完全なボランティアとして活動しています。運営は全額自己資本で、現在は施設内に約100匹、屋外に約100匹の猫がいます。屋外の猫については、毎日2時間半ほどかけて20カ所以上を回り、餌や水を届けています。

現時点では猫を中心に活動していますが、今後は殺処分の対象となる犬についても取り組んでいきたいと考えています。今できることとして、一匹一匹の命を守る活動を続けています。

――活動を通じて、どのような問題を感じていますか。

個々の動物愛護団体がどれだけ努力しても、動物虐待や殺処分を生み出す根本的な仕組みが変わらなければ、同じ問題は繰り返されてしまうと感じています。

実際に、猫の餌へ砂をかけられたり、水を入れた皿を壊されたり、大きなブロックを投げ込まれたりすることがあります。殺鼠剤と思われるものが餌に混ぜられていたこともありました。こうした状況を自分自身が目の前で見てきたからこそ、表面的な保護活動だけでなく、問題の根本を変える必要があると考えるようになりました。

動物虐待を許さない社会の仕組みづくり

――霧島動物愛護センターが目指していることを教えてください。

最終的に目指しているのは、動物に関する法律や社会の仕組みを抜本的に変えることです。動物虐待に対する処罰が軽いままでは、社会全体の意識も変わりにくいと考えています。

罰則を大幅に重くすることで、本人だけでなく、周囲の人も虐待を止めるようになるのではないでしょうか。飲酒運転に対する社会の目が厳しくなったように、動物虐待についても「決して許されない行為だ」という認識を社会に広げる必要があります。

処罰の内容についてはさまざまな意見があると思いますが、私は殺人と同じほど重大な行為として扱うべきだと考えています。それほど強い制度でなければ、虐待の抑止にはつながらないというのが私の考えです。

――ペット業界については、どのような課題を感じていますか。

ペットショップや繁殖事業者の仕組みについても、規制を見直す必要があると感じています。衝動的に動物を購入し、思っていたように飼えないことを理由に手放すケースを減らすためにも、購入する側が十分に考える仕組みが必要です。

また、売れ残った犬や猫が低額で引き取られ、その後の行き先が見えにくくなるという話もあります。生涯にわたって適切に飼育されているかを確認できる制度や、国による追跡の仕組みを整えることが重要だと考えています。

動物の価格が上がったとしても、安易な購入や遺棄が減り、保護施設から動物を迎える人が増えるのであれば、それも一つのあり方ではないでしょうか。ペットショップを含めた動物関係の法律を根本から変えることが、私の大きな目標です。

共感する仲間と、活動を持続できる仕組みを

――現在、一緒に活動されている方はいらっしゃいますか。

現在は、私のほかに一人、一緒に活動している方がいます。ただ、私自身ももうすぐ51歳になりますので、いつまで今と同じ形で続けられるかは分かりません。

今後は、動物を守る活動の目的や、法律を変えたいという考えに共感してくださる方と一緒に、持続できる仕組みをつくっていく必要があります。単に作業を手伝っていただくだけではなく、その先にある目的を理解し、活動を引き継いでいける方と出会いたいと考えています。

――今、特に力を入れていることは何でしょうか。

動物虐待の実態を伝えるための証拠や記録を集めることです。人から聞いた話だけではなく、自分が実際に見たことや、写真、映像などを残すことで、問題の深刻さを伝えられると考えています。

法律を改正するためには、多くの方の理解や賛同が必要です。そして、賛同を得るためには、現場で何が起きているのかを示す証拠が欠かせません。つらい実態と向き合う調査ではありますが、根本的な法改正につなげるために必要な活動だと思っています。

毎日続けることが、命への責任

――活動をする上で、譲れない信念を教えてください。

動物虐待をなくすために、根本的な法改正を目指すという考えです。さまざまな意見があったとしても、処罰を十分に重くしなければ被害はなくならないという信念は、ぶらさずに持ち続けたいと思っています。

目の前の動物を助ける活動も大切です。ただ、その活動を続けるだけでは、被害を受ける動物が次々と生まれてしまいます。今できる保護活動を続けながら、その先にある仕組みそのものの改革を目指していきます。

――お休みの日や、リフレッシュの方法はありますか。

動物が相手ですので、基本的に休みはありません。食事や水を数日後に与えるということはできませんし、トイレも毎日清潔にしておく必要があります。施設については「いつでも見に来てください」と伝えています。生き物を預かっている以上、見学の日だけきれいにするのではなく、毎日同じ状態を保たなければならないからです。

例えるなら、24時間休みなく子どもを見守る親のような感覚です。出張などで離れる場合には代わりの方にお願いしていますが、日常的には休みがない生活です。

その中で、海外を訪れて見聞を広めることは好きです。これまでさまざまな国を訪れてきました。海外の動物保護のあり方に触れることもあり、日本でも、外で暮らす猫を見かけたらすぐに公的機関が保護するような社会になればよいと感じています。

目の前の命を守ることと、動物を取り巻く社会の仕組みを変えること。その両方に向き合いながら、動物虐待や殺処分のない社会を実現するために、これからも活動を続けていきたいと思います。

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