人が活躍し続けられる組織づくりを目指して――採用の先にある本質的な課題解決とは

AxiaHR 代表 冨士 雄平氏

採用ができない、人材が定着しない、制度を整えても現場で機能しない――。多くの経営者が抱える「人」に関する課題に対し、採用だけではなく、教育・評価・労務までを一体で捉えた組織づくりを支援しているのがAxiaHRです。代表の冨士雄平氏は、病院勤務や社労士事務所、人事コンサル会社での経験を通じて、「人が安心して働き続けられる組織」の重要性を実感しました。本記事では、事業立ち上げの背景や理念、組織づくりに対する考え方、今後の展望について伺いました。

病院での経験が原点となった組織づくりへの挑戦

――事業立ち上げに至った経緯を教えてください。

事業の原点は、医療資格を取得して病院で働いていた経験にあります。現場では、患者のために懸命に働く看護師が、人間関係や組織の問題によって退職してしまう姿を何度も目にしました。その経験から、「頑張りたい人が安心して働き続けられる組織はどうすれば実現できるのか」と考えるようになり、独学で労働法を学び、社会保険労務士資格の取得を目指して人事労務の道へ進みました。

社労士事務所では約25社を担当しましたが、経営者から最も多く寄せられた相談は労務トラブルではなく、「採用できない」「良い人材が来ない」「採用してもすぐ辞めてしまう」といった人材に関する悩みでした。その後、人事コンサル会社で採用支援に携わる中で、採用だけを改善しても本質的な解決にはならないという考えに至ります。

企業を見ていくと、本当の課題は採用そのものではなく、教育や評価、理念浸透、マネジメントなどが分断されていることにあるケースが多くありました。そのため現在は、採用だけ、評価制度だけを支援するのではなく、経営者が目指す組織を起点に、それらを一つの仕組みとして設計し、現場で運用できるところまで伴走しています。

――現在取り組まれている事業の特徴や強みについて教えてください。

個人事業としてAxiaHRを運営し、美容・医療・ヘルスケア業界を中心に、企業の『人』に関する課題解決を支援しています。具体的には、「スタッフが定着しない」「採用しても育たない」「評価制度を作ったものの現場で機能していない」といった課題に対して、採用・教育・評価・労務までを一体で捉え、現場で実践できる仕組みづくりをサポートしています。

現在は教育系ベンチャー企業をはじめ、さまざまな業界の企業を支援しています。業界ごとに特徴や課題は異なりますが、突き詰めていくと本質的な課題は「人」にあると感じています。

そのため私は、採用だけ、評価制度だけ、労務だけといった部分最適ではなく、人が活躍し続けられる組織をつくるために、企業の人に関する課題を総合的に支援しています。

実際に、精神科クリニックの組織改善に携わった際には、特定のスタッフに人間関係上の影響力が集中し、新人が定着しないという課題がありました。

まず、院長を含むスタッフ一人ひとりとの1on1を実施し、第三者の立場から率直な意見を聞くことから始めました。その結果、評価制度が形骸化して特定の人に依存していることや、スタッフが自身の成長やキャリアをイメージしづらいことなどが見えてきました。

こうした課題を踏まえ、多面評価を導入し、部署内だけでなく他部署からの評価も取り入れるとともに、月1回の1on1を継続しました。さらに、評価結果を給与や教育にもつなげることで、特定の人に権限が集中する状態を改善し、スタッフ一人ひとりが自身のキャリアや成長について考えられる環境づくりを進めました。

その後、スタッフから「辞めたいと思うことが少なくなった」「仕事が楽しくなった」という声を聞けたことは、今でも特に印象に残っています。

人は変えられなくても、環境は変えられる

――AxiaHRの理念やビジョンについて教えてください。

私が最も大切にしている考え方は、「人は変えられなくても、環境は変えられる」ということです。

病院で働いていた頃、一生懸命働いている人ほど、人間関係や組織の課題によって職場を離れてしまう姿を何度も見てきました。その経験から、人そのものに問題があるのではなく、その人が力を発揮できる環境が整っていないことが本当の課題なのではないかと考えるようになりました。

そのため、制度を作ることを目的にはしていません。大切なのは、経営者の想いを仕組みに落とし込み、それが現場で自然に実践される状態をつくることだと考えています。

また、AIの普及によって多くの業務が効率化される時代になっています。しかしその一方で、人と人との信頼関係や組織文化の価値は、これまで以上に重要になっていくと考えています。

だからこそ私は、組織づくりを通じて、人が安心して挑戦し、成長し続けられる会社を一社でも多く増やしていきたいと考えています。

――経営者として大切にしている判断基準を教えてください。

経営判断で最も重視しているのは、「この選択は人が安心して挑戦できる環境につながるか」という基準です。

売上や事業規模だけを追うのではなく、働く人の人生にも良い影響を与えられるかを考えています。例えば採用支援の相談を受けた場合でも、本当の課題が教育や定着にあるのであれば、そのことを率直に伝えます。目先の仕事よりも本質的な課題を解決することが、長期的な信頼につながると考えているためです。

AI時代であっても、最終的に選ばれる理由は「この人に相談したい」と思ってもらえる信頼関係にあると考えています。

人が安心して挑戦できる組織を広げるために

――今後の展望について教えてください。

今後は、組織づくりの価値をより多くの経営者に知っていただくことに力を入れていきたいと考えています。

採用できない、人が辞めるという悩みは多くの企業が抱えていますが、その原因は採用そのものではなく、教育や評価、マネジメントなど組織全体にあるケースが少なくありません。

一方で、こうした組織の課題は目に見えにくく、「組織づくりに投資する」という考え方自体が、まだ十分に浸透していないと感じています。

だからこそ、今後はウェビナーやSNSでの情報発信、経営者との情報交換などを通じて、「人の課題は組織で解決できる」ということを伝え続けていきたいと思っています。

また、実際の企業支援を通じて、採用・定着・教育・評価・労務をそれぞれ別々に考えるのではなく、一つの組織としてつなげていく支援の形をさらに磨いていきたいと考えています。

――将来的に実現したいことを教えてください。

将来的には、「人のことならまず冨士に相談しよう」と自然に名前を挙げていただけるような存在になりたいと考えています。

ただ、私自身が大きな組織をつくることだけを目指しているわけではありません。

一社でも多く、人が辞めるから採用するのではなく、人が安心して働き、挑戦し、活躍し続けられる組織を増やしていきたい。

その結果として、そこで働く人だけでなく、その家族や、お客様にも良い影響が広がっていく。そんな循環を組織づくりを通じて生み出していくことが、私が最終的に実現したいことです。

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

仕事から意識的に離れる時間をつくることを大切にしています。週に3〜4回ジムへ通い、サウナにも足を運びます。頭をリセットすることで新しいアイデアが浮かぶことも多く、仕事と向き合うための大切な時間になっています。

これからも、人が安心して挑戦し続けられる組織づくりを通じて、多くの企業の成長を支えていきたいと考えています。

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