「わかりやすく、みんなが幸せになれる道を」――フリージア行政書士事務所が19年貫く経営者支援
フリージア行政書士事務所 所長 松田 芳奈氏
2007年の開業以来、19年にわたって経営者を中心としたさまざまな相談に向き合ってきたフリージア行政書士事務所。契約書や許認可に関する業務にとどまらず、会計事務所で培った経験を生かした経営相談や、相続・遺言に関する相談にも対応しています。松田芳奈氏が大切にしているのは、「難しいことをわかりやすく伝えること」と「関わる人たちが幸せになれるか」という視点です。開業の背景や経営判断の軸、顧客との関係づくり、今後の展望について伺いました。
目次
経営者に寄り添う「相談しやすい行政書士」
――行政書士として独立されるまでの経緯を教えてください。
学生時代に行政書士の資格を取得しましたが、卒業してすぐに開業しても、お客様はつかないだろうと考えていました。行政書士事務所で修業することも考えましたが、将来同業者になるのであれば、行政書士と連携しやすい業種を経験した方がいいのではないかと思い、公認会計士の先生の事務所で働くことを選びました。
会計事務所では業務を学ぶだけでなく、さまざまな経営者と関わることができました。会計事務所での経験は18年ほどあり、現在も仕事を紹介し合うなど良い関係が続いています。
――独立を決意したきっかけは何だったのでしょうか。
子どもの出産が大きなきっかけです。出産と同時期に離婚に向けて動くことになり、「この子を大学卒業まできちんと育てる」と決意しました。
雇われている状態ではなく、自分自身に負荷をかけて覚悟を決めるという意味でも開業を選びました。今でも私の原動力は子どもですね。
――事務所ならではの強みを教えてください。
お客様からは「相談しやすい」「士業っぽくない」とよく言われます。仕事だけではなく、家庭や夫婦関係、お子さんの進路まで、本当にさまざまな相談をいただきます。
まず私に話していただき、その内容が社会保険労務士さんなのか、弁護士さんなのかを整理し、必要に応じて専門家へつないでいく。忙しい経営者にとっての「安心窓口」のような存在でありたいと思っています。
また、会計事務所で長く働いていたため、決算書を読むことができます。経営事項審査なども含め、数字を見ながら経営者と話ができることは、ほかの行政書士とは少し違う強みかもしれません。
「わかりやすさ」と、その先にいる人の幸せを大切に
――仕事をする上で大切にしている理念を教えてください。
19年間ずっと大切にしてきたのは、「難しいことをわかりやすく伝える」ことです。法律は専門用語が多く、一般の方には理解しづらいものです。専門家が難しい言葉だけで説明して、お客様が理解できないまま終わってしまっては意味がありません。
例え話なども使いながら、その方が本当に腹落ちするまで説明します。「そうなんですね」と言われても、それだけでは本当に理解していただけたとは思っていません。きちんと納得して、安心して帰っていただけるところまで伝えることが、専門家の役割だと思っています。
――経営判断をするときの軸はありますか。
お客様だけではなく、その先にいる人たちまで幸せになれるかどうかです。経営者だけが良ければいいのではなく、従業員や取引先、その先のお客様まで含めて考えています。
自分の信念を曲げないことも大切です。少しでも「これは違う」と胸騒ぎがする仕事であれば、報酬が高くても受けないことがあります。自分の利益だけを優先して、従業員や取引先を大切にしない方とは、長くお付き合いしたいとは思いません。
経営者の方には厳しいことを言うこともありますし、大喧嘩をしたこともあります。それでも後になれば「あのときは喧嘩したね」と笑い話にできる。真剣に向き合っているからこそ築ける関係だと思っています。
AI時代だからこそ、専門家による確認が重要に
――開業から19年の中で、業界の変化を感じますか。
最近特に感じるのは、AIの普及です。AIで作った契約書を内容を十分に理解しないまま使ったことで、後からトラブルになったという相談もあります。
AIやインターネット上のテンプレートは便利ですが、それぞれの取引や事情に合わせて内容を調整する必要があります。関係が良好なときには問題がなくても、揉めたときには契約書に書かれている内容が重要になります。
また、会社名や取引先名などをAIへ入力することについても、情報の扱いには注意が必要だとお伝えしています。便利だからこそ、正しく理解して使うことが大切です。
遺言書は「家族への最後のラブレター」
――相続や遺言については、どのような考えで支援されていますか。
法人のお客様とのお付き合いが中心ですが、経営者と長く関係を築いていく中で、相続や遺言の相談に発展することがあります。
私は「遺言書は家族への最後のラブレター」とお伝えしています。遺言書というと、自分の死を考えるようでネガティブに感じる方もいますが、なぜこの人に多く財産を残すのか、家族にどう生きてほしいのかといった、自分の思いを伝えるものでもあります。
税金をどれだけ抑えるかだけではなく、残された家族が「こういう思いだったんだ」と納得し、亡くなった方に「ありがとう」と思える形をつくることが大切です。必要であれば税理士さんとも相談しながら、ご本人の思いとご家族の納得の両方をできる限り叶えられる方法を考えています。
「太く長く」、人と人をつなぎながら歩み続ける
――今後取り組んでいきたいことを教えてください。
これからも、みんなが幸せになり、安心できるようにという理念を忘れず、慢心することなく続けていきたいです。「太く短く」ではなく、私は「太く長く」やっていきたいと思っています。
最近は、外国人の方に関する資格・申請業務にも関わっています。日本では職人さんが少なくなっている一方で、日本の文化や技術を学びたいという海外の方もいます。そうした方と受け入れる職人さんをつなぎ、日本のものづくりや技術が失われないようにするお手伝いができればと思っています。
国籍にかかわらず、日本の文化や技術が未来に残っていくのであれば意味があると思うんです。行政書士という枠だけにとらわれず、人と人をつなぎながら、自分にできることを続けていきたいですね。
――リフレッシュ方法について教えてください。
ゴールデンレトリバーとスタンダードプードルのミックスである「ゴールデンドゥードル」を飼っていて、一緒に散歩することが一番のリフレッシュです。1回1時間ほど、1日2回歩いています。
犬も喜びますし、私自身も散歩をしている間に頭が切り替わります。散歩が終わると、また仕事に向かえるんです。
そもそも仕事自体が好きなので、仕事をしていて疲れたと思うことはあまりありません。19年間続けてきて、「これは自分にとって天職だったんだな」と感じています。