作りたいを形にする――石田金型製作所が目指す、ものづくりの伴走支援

株式会社石田金型製作所 代表取締役社長 石田 幸次朗氏

株式会社石田金型製作所は、金型の設計・製作・修理を中心に、射出成形による試作・量産まで手がけるものづくり企業です。近年は、企画・設計から成形、量産をパートナー企業と連携して支援する「ものづくりの伴走支援」に力を入れています。お客様の作りたいを形にし、日本の製造業を支える同社のものづくりへの思いや、これからの展望について、代表取締役社長の石田幸次朗氏に伺いました。 

金型から始まる、ものづくりの伴走支援

――現在の事業内容について教えてください。

当社は金型の設計・製作をメインとした、ものづくり企業です。お客様の作りたいを実現するための、トータル的なものづくりの伴走支援を主な事業として展開しています。

金型の設計・製作・修理をはじめ、射出成形による試作・量産、ものづくりの企画・設計から販売までのサポートも行っています。パートナー企業とも連携しながら、一社だけで完結するのではなく、必要な技術や機能を持つ企業と一緒に、お客様のものづくりを形にしていくことを大切にしています。

――御社ならではの強みを教えてください。

対応できる金型のサイズが幅広いことが特徴です。5ミリ以下の米粒ほどの製品に使われる金型から、1メートルほどのものまで対応しています。また、同業他社と比べて深物を得意としており、プランターや植木鉢、ゴミ箱のような深さが約300ミリある製品の金型も、長年培ってきた技術を生かして設計・製作しています。

雑貨、自動車、家電、建材、食品など、さまざまな業界のお客様とお付き合いしていることも強みです。業界ごとに異なる知見が社内に蓄積されるほか、受注時期の波を分散することにもつながっています。

設計から仕上げまで、技術をつなぐ一貫体制

――修理や改造まで対応できるのは、どのような理由からでしょうか。

金型業界では、設計、加工、仕上げなどを完全に分業している企業も多くあります。一方、当社では金型を一から十まで作れる、金型全体を熟知した職人を育てています。

そのため、他社が製作した金型で図面が残っていない場合でも、これまでの経験や知識を生かして対応できます。特に大規模な修理や改善、改造では、設計と現場の両方を理解していることが重要です。社内で生産技術的な知見を共有しながら、幅広い相談に応えています。

――現在力を入れている「ものづくりの伴走支援」とは、どのようなサービスですか。

「こんなものを作りたいけれど、どこに相談すればいいのか分からない」というお客様に対して、企画・製品設計といった上流工程から、図面設計、金型製作、試作・量産、成形、パッケージングまで、ものづくりを一気通貫で支援しています。

当社だけですべてを完結させるのではなく、金型、部品加工、成形など、それぞれの強みを持つ日本の製造業の企業と連携し、一つのチームとしてお客様の作りたいを形にしていくことが特徴です。

企画段階から「実際に金型で作れるのか」「量産までどうつなげるのか」まで考え、機能やデザイン、コスト、納期なども含めて提案します。日本の製造業との共創を通じて、上流から下流までシームレスに支援することが、当社の強みです。

創業の原点から受け継ぐ、信頼を大切にしたものづくり 

――創業のきっかけについて教えてください。

現在の金型事業を始めたのは、先代である義父です。義父は大阪の金型会社で約3年間働いた後「これなら自分でもできる」と考え、独立して金型事業を始めました。もともとは義祖父が現在の場所で事業を始めており、そこから現在の石田金型製作所へとつながっています。

私自身はもともとサラリーマンでしたが、ものづくりが好きで、将来は独立して起業したいと考えていました。そんな中、義父の娘さんと結婚したことをきっかけに、やりたいと思っていたものづくりと会社の仕事がたまたまマッチし、入社することになりました。

入社当時は金型について何も分かりませんでしたが、仕事を通じて金型が日本の産業を支える重要な存在だと知りました。そこから、ものづくりを通じて日本の製造業を支えていきたいという思いを持つようになりました。

――協力会社やお客様との関係で大切にしていることは何でしょうか。

一番大切にしているのは、お互いにとってメリットのある関係をつくることです。協力会社とは、単に仕事を外注するのではなく、それぞれの強みを生かして一緒にものづくりを進める共創を大切にしています。仕事の内容や予算もできるだけオープンにし、お互いが適正な利益を確保できる関係を目指しています。

以前、利益率を考えずに仕事を受けてしまい、頑張って仕事をしても十分な利益が残らなかった経験があります。それ以来、最低限確保すべき利益を明確にし、価格だけで競争するのではなく、仕事の内容や品質、製造方法まで含めて事前に説明するようになりました。

お客様とも、そうした誠実なやり取りを重ねることで、長く信頼していただける関係を築いていきたいと考えています。

「当たり前を当たり前に」次世代を担う人材を育てる

――今後、特に力を入れていきたいことを教えてください。

直近では社員教育が一番のテーマです。技術教育だけではなく、ビジネスマナーや品質用語、会社の決算、法律など、社会人としての基礎的な部分も含めて底上げしていきたいと考えています。現在はeラーニングも導入しています。

――社内ではどのような姿勢を大切にしていますか。

簡単に言えば「当たり前のことを当たり前にやろう」ということです。報告・連絡・相談をきちんと行い、上司から確認される前に自分から伝えられるように伝えています。また、5Sも徹底していきたいと考えています。

自己研鑽や向上心を持って仕事に取り組むことも大切です。会社から求めるだけではなく、その努力に対して妥当な評価や報酬を支払えるように、仕組みも一つずつ整えていきたいです。

「作りたい」を実現する体制を、これからつくる

――現在、課題に感じていることはありますか。

現在の課題は、ものづくりの上流からお客様を支援できる体制をつくることです。今は私自身がお客様との打ち合わせや製品の企画・設計段階での相談を担当し、社員が実際の図面作成や設計を行っています。ただ、お客様と一緒にコストも考えながら「どうすれば形にできるか」まで考えられる営業の人材は、まだ十分ではありません。

社内で育てられるのが一番いいのですが、まずは外部の方の力も借りながら、安定して支援できる仕組みや利益が出せるのかどうか見ていきたいと思っております。将来的には社内で対応できる体制を整え「ものづくりコンサル」をしっかり提供できるサービスにしていくことが課題です。

これからも、お客様の作りたいに寄り添い、企画・設計から金型、成形、量産まで、ものづくりを一貫して支えていきたいと考えています。日本の製造業の力をつなぎ、協力会社と共創しながら、お客様の想いを形にしていきます。 

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