「その人だけの価値」を形にする――おなまえ王国が広げるオリジナル商品の可能性

株式会社おなまえ王国 代表取締役 秋山 眞樹氏

株式会社おなまえ王国は、名前を入れることで1つひとつの商品に固有の価値を生み出し、全国へ届ける企業です。大量生産ではなく、「その人にとって価値のあるもの」を提供する姿勢を貫き、現在は入園・入学準備にとどまらない新たな用途の開拓にも乗り出しています。本記事では、代表取締役の秋山眞樹氏に、事業の強みや組織づくり、これからの展望などについて伺いました。

「その人にとって価値があるもの」を届ける

――現在の事業内容や特徴について教えてください。

当社では、お名前シールをはじめ、名前を入れたオリジナル商品をECで全国のお客様に販売しています。最大の特徴は、大量生産ではなく、1人ひとりにとって価値のある商品を提供していることです。名前を入れることで、既製品であってもその人だけの特別な1品になります。

もともとは大型のオフセット印刷機を使い、チラシなどの商業印刷を手がけていました。しかし、ネット印刷が一般のお客様にも普及し、従来の印刷営業を続けることが難しくなったため、印刷業をたたみました。

そこで着目したのが、1人のお客様のために1つの商品を制作する「スーパー小ロット」という考え方です。大量に印刷して届ける事業から、その人にしか使えない商品を届ける事業へ転換したことが、現在につながっています。

――お名前シールを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

自分の子どもが幼稚園に入る際、お名前シールが必要になったことがきっかけです。実際に作って周囲の保護者へ渡すと、「これがあってよかった」「ありがとう」と、非常にも喜んでいただけたんです。印刷業では、指示通りに作り、納期通りに納めることが当たり前で、商品そのものについて直接感謝される機会は多くありませんでした。

そこで、お名前シールには人に喜んでもらえる価値があり、事業として成立する可能性があることを実感しました。販売では楽天やYahoo!、AmazonなどのECプラットフォームを活用し、全国のお客様へ届ける形を採用しています。

喜ばれる商品だからこそ、確認を惜しまない

――ものづくりで特に心がけていることを教えてください。

一番大切にしているのは、「お客様が手に取ったときに喜んでいただける商品を作ること」です。特にお名前シールは親御さんからお子様へ渡す商品ですので、お子様が喜ぶ姿を見て「買ってよかった」と感じていただければうれしいですね。

また、お名前シールは1つひとつお名前を入れて作るため、注文内容を正確に反映することも重要です。そこで、注文をそのまま自動で制作へ回すのではなく、一度伝票を紙に出力し、記載された名前にマーカーを引きながら1件ずつ確認するようにしています。繁忙期には1日1,000件を超える注文が入りますが、名前や備考欄、デザインの指定に食い違いがないかまで目を通しています。

――そこまで確認を徹底する理由は何でしょうか。

お名前シールに関しては、1つとして同じ商品ではないからです。ひらがな表記の場合、区切る場所を間違えるだけで別の名前になる場合もあります。同姓同名のお客様もおられるため、流れ作業として処理するのではなく、1件ずつ重要な仕事として向き合う必要があります。

上記を心がけ、できる限り丁寧に取り組みながら、納期についても他店より早く届けられるよう意識しています。

少人数だからこそ「気づける人」を大切にする

――現在の組織体制について教えてください。

現在は6名体制で、私と弟が役員、妻が社員として働いており、3名のパートスタッフにも支えてもらっています。もともと関係性が近いメンバーが集まっているため、社内では必要以上に気を遣わず、自然にコミュニケーションを取っています。

私自身も、人からどう見られるかをあまり気にするタイプではありません。普段から自然体で人と付き合うことを大切にしています。

――採用では、どのような点を重視していますか。

重視しているのは、長く働いてもらえることと、細かな違いに気づけることです。人柄では、できれば明るく、気の合う人と一緒に働きたいと考えています。

業務には経験を重ねることで身につく部分も多いため、採用では長く勤められそうかどうかも見ています。

商品の仕上げや発送準備では、1つひとつ異なる商品を扱うため、手先の器用さだけでなく、名前や内容の違いを見落とさない注意力が欠かせません。さらに、繁忙期には多くの注文に対応する必要があるので、丁寧さを保ちながら要領よく仕事を進める力も大切です。

また、クリエイティブな業務については社内だけで完結させず、今後は外部委託や在宅で力を借りることも考えています。

入園・入学の先へ、オリジナル商品の可能性を広げる

――今後、取り組んでいきたいことを教えてください。

今後は、入園・入学向けのお名前シールにとどまらず、スポーツや介護、趣味などへ商品の用途を広げていきたいです。お客様の生活の変化に合わせて商品を増やし、おなまえ王国をより長く利用してもらえる事業を目指しています。

新たに取り組んでいるのが、サッカーボールなどにも貼れるカッティングステッカーです。スポーツをする子どもたちは、合宿などでボールやバッグに名前を付ける機会があります。入園・入学時に利用していただいたお客様が、子どもの成長後も使える商品として展開していく考えです。また、需要が増えている介護施設などに対応したお名前シールも制作しています。

さらに、ゴルフボールやゴルフマーカー、バッグに付けるネームプレートなど、趣味の分野にも可能性を感じています。顔写真をイラストにして印刷するほか、文字や好きなイラストを入れることで、自分用だけでなく贈り物としても使える商品にできます。

事業を始めた頃から変わらないのは、「その人にとって価値のあるものを作る」という考え方です。この軸を大切にしながら、これまで培ってきたオリジナル商品の強みを新たな分野にも生かし、お客様とより長く関わっていける商品をこれからも生み出していきたいです。

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