オープンソースの力で社会を便利に。国内唯一の専業企業が描く未来 ― 株式会社デージーネット・恒川裕康代表インタビュー
株式会社デージーネット 代表取締役 恒川 裕康氏
創業から26年。無料で使えるオープンソースソフトウェア(OSS)に専門特化し、国内では希少な存在となった株式会社デージーネット。2025年にはTOKYO PRO Marketへの上場も果たし、安定成長を続ける同社の中心にいるのが、代表の恒川裕康氏だ。「よりよい技術で、インターネット社会の安心と便利に貢献します」という理念を掲げ、OSSの普及と発展に尽力してきた恒川氏に、創業の背景、組織づくりへのこだわり、さらには未来への挑戦について伺った。
目次
オープンソースで社会のインフラを支える ― 1999年から続く一貫した姿勢
――創業当時の思いや、現在の事業の特徴を教えてください。
1999年の創業当時は、今のようにインターネットが当たり前ではありませんでした。私自身は前職でプロバイダー構築やメール・Webシステムなどに携わっており、無料のソフトウェアを活用すれば企業も低コストでインターネット環境を整備できると感じていました。ところが当時は有償製品を使う企業がまだ多く、OSSは十分に普及していませんでした。
そこで「無料で使える優れた技術をもっと広げたい」という思いでデージーネットを立ち上げました。
以降25年以上、扱うOSSの種類を拡大し、クラスター構築やWeb会議、グループウェアなど、多様なシステムをOSSで実現してきました。現在ではOSS専業で事業を行う企業は国内で当社のみだと思います。これまで積み上げてきた知見と継続的な調査活動が、当社ならではの強みです。
経営者としての価値観 ― 「良い技術」と「安心」を届けたい
――経営者として大切にしている価値観や、ターニングポイントになった出来事はありますか?
経営の判断軸は、経営理念にもある「より良い技術でインターネット社会の安心と便利に貢献する」ということです。売上だけを追うのではなく、お客様が安全に長く使えるものを提供することを最も重視しています。
ターニングポイントとしては、創業後に本格的に経営を学ぼうと決心したことがあります。中小企業診断士の勉強やドラッカーのマネジメントを学んだことは大きな財産になっています。また、コーチング資格を取得して組織に導入し、社員が自ら目標を立て、自分で成長を実感できる環境づくりを進めてきました。
特に印象的だったのは、会社がまだ5名ほどの時に初めて新卒採用を決断したことです。当時は中途採用が難しく、技術者を育てる文化をつくらなければと感じていました。これが今の組織の礎になっています。
社員が自走する組織をつくる ― 計画と振り返り、成功の共有
――組織づくりで心がけていることや、社員との関係性について教えてください。
「自分の仕事は自分で計画する」文化を大切にしています。入社直後から、タスクを自分で分解し、工数を見積もり、計画を立てて進める。うまくいったかどうかは必ず振り返り、毎月全員で共有する「リフレクション」の会も行っています。
マーケティングや営業の専門部隊をつくったのは10年前ほどですが、今後さらに体制を強化していきたいと考えています。より多くの人にOSSの価値を届けるためには、営業の役割がますます重要になると感じています。
生成AI時代にOSSで新たな価値をつくる
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
生成AIの登場により、ソフトウェアの開発そのものが大きく変わろうとしています。無料で使えるAIモデルも増えていますので、これをビジネスにどう組み込めるのか、OSSとどう掛け合わせるのが最適なのかを追求していきたいと考えています。
また、自治体・大学・大企業ではOSSの採用が進んできましたが、医療や製造業など、セキュリティの観点からクラウドが使いづらい業界にはまだまだ可能性があります。そうした分野にOSSの価値を広げることが今後のテーマです。
個人的には、現在58歳ですが、65歳までにもう一段上の市場へステップアップすることを目標にしています。そのためには売上を倍以上に伸ばし、組織をさらに強くする必要があります。
ヨガと自然に向き合う時間
――仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。
毎朝ヨガをするのが習慣で、休日はエアリアルヨガ(ハンモックを使ったヨガ)にも通っています。体が整うことで仕事のパフォーマンスも上がりますし、心のリセットにもなります。
また、自然が好きで、山登りや神社仏閣のパワースポット巡りによく出かけます。旅行も好きなので、時間を見つけては自然のある場所に出向いています。