誰かの役に立つ技術を、現場で形にする。UPCYCLE Technologiesが挑む資源循環の実装
UPCYCLE Technologies株式会社 代表 小木將綱氏
UPCYCLE Technologies株式会社は、有機性廃棄物を資源として再活用する資源循環事業に取り組むベンチャー企業です。コーヒーカスからバイオプラスチックを生み出す技術や、食品残渣をバイオ炭へ転換する研究開発など、環境課題と真正面から向き合う事業を展開しています。
今回は代表の小木將綱氏に、事業に込めた思いやこれまでの歩み、組織づくり、そして今後の展望について話を伺いました。
目次
資源循環を実装で前に進める
――まずは、御社の事業内容について教えてください。
資源循環事業に取り組んでいます。もともとは2017年頃、ベトナムでコーヒーカスからバイオプラスチックを作る事業を始めたのがきっかけでした。
現在は、有機性廃棄物や食品残渣からバイオ炭を作る事業にも進出しています。ゴミとして捨てられているものを、プラスチックやバイオ炭として再利用することで、資源として循環させることを目的としています。
まだ始めたばかりのベンチャー企業で、事業としては発展途上です。研究開発や実証実験を重ねながら、少しずつ形にしている段階だと考えています。
「役に立つ仕事」を積み重ねてきた経営の歩み
――小木さんご自身のキャリアと、起業に至った経緯を教えてください。
最初に経営の道を選んだのは、IT事業で独立したことがきっかけです。通信機器メーカーに勤めていた頃、お客様からインターネットやWebサイトに関する要望が増えていましたが、社内で事業化することができず、自分で形にしようと考えました。
仕事を通じて、お客様から「ありがとう」と言ってもらえる瞬間があり、その経験が強く印象に残っています。誰かの役に立つ仕事を続けたいという思いが、その後の事業選択にもつながっています。資源循環事業も、世の中にとって意味のある取り組みだと感じたことが、始める理由でした。
研究で終わらせないための技術と仕組み
――資源循環事業における御社の強みを教えてください。
バイオ炭を作る工程では、これまで高温で長時間処理する方法が一般的でした。そのため、大型の設備が必要になり、設置できる場所も限られてしまいます。さらに、臭いや煙の問題もありどこでも導入できる技術ではありませんでした。
そこで、低温で炭化できる技術を実用化し、廃棄物が発生する現場に直接装置を設置できる仕組みを研究しています。食品工場など日々大量の有機性廃棄物が出る場所で、その場で処理できることを想定しています。
廃棄物は時間が経つと腐敗やカビが発生しますが、炭化することで長期保存が可能になります。また、水分が抜けることで体積や重量も減り、回収や運搬の手間を大きく減らすことができます。結果として、輸送コストや焼却処理に伴う二酸化炭素排出の削減につながると考えています。
環境によさそうな取り組みを掲げるだけではなく、実際に企業が導入し、運用できる形に落とし込むことを重視しています。研究で終わらせず、現場で使われる技術として社会に定着させることがこの事業の軸です。
小さな組織だからこそできる、任せるという選択
――組織づくりや社員との向き合い方について教えてください。
新しく入ってくる人には、将来社長を目指したいかどうかを必ず聞くようにしています。小さな組織だからこそ、早い段階でリーダーを経験できる機会をつくりたいと考えています。
「やってみたい」と手を挙げた人には、できるだけ任せるようにしています。会社の規模が小さい分、業務の幅も広く、責任も伴いますが、その分、自分で考えて動く経験ができます。
グループ全体では「愉楽と感謝」という理念を掲げています。仕事を楽しみながら取り組み、良い結果を出すことで、お客様にも喜んでもらえる。その環境や仲間に対して感謝を忘れないことが、結果として良い仕事につながると考えています。
技術を社会に届けるために、今挑戦していること
――今後の展望についてお聞かせください。
まずは、今取り組んでいる技術を事業としてきちんと形にすることに集中します。研究開発や実証実験に時間も費用もかかりますが、世界に対してインパクトを与えられる可能性があると感じています。
この事業は、自分自身への挑戦でもあります。これまで培ってきた経験や資金を研究に投じ、どこまで社会に貢献できるのかを試している段階です。
日本国内だけでなく、世界中で同じ課題を抱えている場所は多くあります。この技術を通じて、廃棄物問題やエネルギーの課題に向き合い、実際に役立つ形で広げていきたいと考えています。
仕事と向き合う時間が、いちばんの原動力
――プライベートやリフレッシュ方法について教えてください。
新しい事業に挑戦している時間そのものが、自分にとって一番楽しい時間です。どうなるかわからない状況の中で、誰かの役に立つと信じて取り組む過程にやりがいを感じています。
業務として淡々とこなす仕事よりも、まだ形になっていないものを育てていく段階が一番面白いと感じます。その感覚が、結果的に仕事を続ける原動力になっています。