在宅医療で地域を支える――ドリーム・トラストが描く高齢化社会への向き合い方 

ドリーム・トラスト株式会社 代表取締役 岩渕清市氏

ドリーム・トラスト株式会社は、医療・福祉分野を中心に事業を展開し、在宅医療や地域の高齢者支援に取り組んでいます。創業から28年目を迎え、宮城県全体から岩手県の一部へと対応エリアを広げながら、地域に根ざした医療・福祉サービスを提供してきました。本記事では、代表取締役の岩渕清市氏に、創業の経緯や経営で大切にしている価値観、今後の展望について伺いました。  

地域医療と福祉を支える事業づくり 

――現在取り組まれている事業と、創業の経緯について教えてください。

当社は創立して28年目になります。私一代で築いた会社で、ベンチャー企業としてスタートしました。事業としては、医療関係と福祉関係が中心で、医療は主に病院関係に関わっています。福祉の分野に加えて、動物向けの酸素療法にも取り組んでおり、動物も人間と同じように酸素療法によって延命処置を行うことがあります。

もともとは大学を出たあと、大学の講師をしていました。その後、同窓会で官僚をしている友人から「これから医療関係は民間に相当流れていく。新しい事業分野になる」と聞いたことが、起業のきっかけです。特に在宅医療がこれから主になること、医療機器関係も国が支給していたものが民間に移っていくことを聞き、事業として始めました。

――経営の軸になっている考え方を教えてください。

私の軸は、地域の福祉、地域の高齢者への対応を、まず自分自身で体験しながらやっていくことです。地域医療を自ら考え、協力してくれる人たちとともに、高齢化に対応していく。それが大きな柱です。

在宅医療では、病院から退院しても入院を繰り返す方が多くいます。そうした方を自宅で見て、自宅で治療を受けながら、散歩したり歩けるようにしたりする仕組みをつくることが大切だと考えています。

寄り添う姿勢が信頼を生む  

――スタッフとのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。

現在は46名で取り組んでいます。スタッフとの意思疎通のために大事にしているのは、ヘルパーさん一人ひとりの話を必ず聞くことです。その日の出来事を聞き、不安な点や、今後こうしてほしいという要望を受け止めます。

聞くだけではなく、「こういうふうに変えました」「来週からこのやり方でやってみましょう」と返していくことで、コミュニケーションが取れます。そうするとスタッフも安定し、お客様との信頼関係も築きやすくなります。結果として、長期的に安定したシステムができてくるのです。

――患者さんと接するうえで意識していることはありますか。

患者さんに寄り添うためには、まず病名を知ることが必要です。中には難病の方もいます。治らない病気を抱えている方に対しては、いかに楽しく生きられるか、楽しく遊べるか、楽しく仕事ができるかを考え、提案していくことが大切です。

私たちはドクターとも接します。ドクターからの指示を受け、在宅の患者さんの情報を、ドクター、私たち、患者さんの三者で共有しながら改善していきます。そうすることで、患者さんも安心し、安定した関係が続いていきます。

人を大切にすることが人手不足への答え  

――採用や一緒に働く人に対して、大切にしていることは何でしょうか。

人手不足を解消するためには、お互いの信頼関係が必要です。ヘルパーさんを大事にすることが大切だと思っています。ケアマネージャーさんや看護師さんも必要ですが、地域で手伝ってくれるヘルパーさんを大事にしなければなりません。

パートの方をいかに大事に扱い、その人自身にプラスになる考え方を持ってもらうか。本人がプラスになる思考を持つと、患者さんに対してもプラスになる説明ができます。患者さんが「あのヘルパーさんは楽しくて何でも話せる」と感じれば、それが病院や地域で口コミになり、自然と広がっていきます。

――一緒に働く方には、どのように役割を伝えていますか。

まず、その人が本当にやりたいことを聞きます。「何をやりたいのか」「なぜこの仕事をしているのか」を聞くと、親の介護をしていて空いた時間に働きたい方など、さまざまな事情があります。

そのうえで、こちらからテーマを与えます。「こういうことを一緒にやりませんか」「こういう形で患者さんと会ってみませんか」と伝えることで、本人の意識が変わっていきます。

在宅医療をさらに広げていく  

――今後、力を入れていきたい取り組みを教えてください。

今は宮城県全体と岩手県の一部に広がっています。少しずつ地域性が上がり、信頼が口コミで広がってきました。高齢者や病気の方は嘘をつきません。事実をそのまま伝えてくれるので、地域に素直に伝わっていきます。

今後はさらに広げていき、高齢化社会をみんなで楽しくやっていける地域社会にしていきたいです。みんなが喜んで過ごせる地域になれば、健康にもつながっていくと思います。金儲けを考えるよりも、楽しさを考えた方がいいのではないかと考えています。

――特に注力している医療分野はありますか。

今進めているのは、透析の患者さんへの在宅医療です。透析は病院で行うものですが、自宅で透析を受けられるように進めています。透析の患者さんは病院に行くと、長い時間ベッドに座ったままになり、何もできません。それはかわいそうだと思いました。

自宅で透析を受けられれば、テレビも見られますし、奥さんや家族とも会話ができます。食事をしながら過ごすこともでき、心が落ち着きます。本人だけでなく、家族も喜びます。ドクターに往診してもらえるよう調整し、在宅で受けられる体制をつくることで、安心できる医療の形が生まれると考えています。

何も考えず眠る時間と、これからの挑戦 

――お休みの日のリフレッシュ方法を教えてください。

一番リフレッシュしたいのは、何も考えないで寝ていることです。何も考えたくない、ただ寝ていたいと思います。

ただ、まだまだやりたいことはたくさんあります。地方からさらに展開していきたいです。在宅医療を広げ、家族が喜び、みんなが安心できる仕組みを医療の中に取り入れていきたい。地域によっては、往診してくれるドクターを見つけることが大きな課題になる場合もありますが、患者さんや家族とコミュニケーションを取りながら、必要な形を整えていきたいと考えています。

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