AIとデジタルサイネージで社会をつなぐ――変化を楽しみながら挑戦を続けるファン・ファクトリーの歩み

株式会社ファン・ファクトリー 代表 大平 富美子氏

株式会社ファン・ファクトリーは、デジタルサイネージ事業とイベント総合プロデュースを中心に展開する企業です。創業当初はイベント事業からスタートし、時代の変化に合わせて事業を進化させながら、現在はデジタルサイネージとAIエージェントの連携にも力を入れています。常に社会のニーズを捉えながら柔軟に変化を続けてきた背景には、「人が笑っていられる社会をつくりたい」という大平氏の強い想いがありました。本記事では、これまでの歩みや経営への考え方、今後の挑戦について伺いました。

イベント事業からデジタルサイネージへ――時代に合わせて進化してきた事業展開

――現在の事業内容について教えてください。

現在の主力事業は、デジタルサイネージの配信事業です。創業当初はイベントの総合プロデュースからスタートしており、今もイベント事業は続けています。この2つが会社の大きな柱になっています。

もともとは、企業のリクルーティングイベントを多く手掛けていました。当時はITバブルの時代で、就職説明会も非常に華やかになっていた頃です。映像や音響、照明を使って演出を行い、プロモーションのような形で展開していました。その取り組みが話題となり、さまざまな大企業の採用イベントを担当させていただくようになったんです。

ところが、リーマンショックで採用市場が急激に縮小しました。その少し前から映像配信事業にも取り組み始めていたので、そこへ大きく舵を切った形です。ちょうどインターネット環境が整い始めた時期でもあり、配信事業へ移行するタイミングとしては非常に大きな転機でした。

――他社にはない強みはどのような部分でしょうか。

16年ほど前に、スウェーデンのデジタルサイネージCMS「Dise(ダイス)」と出会いました。当時はデジタルサイネージ自体がまだ新しく、システム開発には莫大なコストがかかっていたんです。その中で、このCMSを輸入し、日本で展開していく決断をしました。

現在では、そのCMSが世界でも高いシェアを持つまでに成長しています。グローバル展開も進み、セキュリティ面でも高い水準を持つ確かな技術です。

そして今、私たちの大きな強みになっているのが、デジタルサイネージとAIエージェントの連携です。AIが登場したことで、サイネージの世界も大きく変わり始めています。24時間対応、多言語対応など、人では難しい部分をAIが補完できる時代になりました。私たちは長年培ってきた配信や設置運用のノウハウを持っていますので、そこにAIを掛け合わせることで、新しい価値を提供できると考えています。

「人が笑っていられる社会」を目指して

――会社の理念やビジョンに込められた想いを教えてください。

会社を立ち上げた当時は、まさか35年以上続くとは思っていませんでした。結婚を機に「会社を作ってみたら」と言われて始めたような会社なんです。

「ファン・ファクトリー」という社名には、どんな時代でも人が笑顔でいられる社会をつくりたい、そんな想いを込めています。イベント事業をしていた頃から、人が楽しめる空間やコミュニケーションの場を生み出したいと考えていました。

ただ、私は「これしかやらない」という考え方ではなく、その時代に求められているものに柔軟に合わせていくことを大切にしています。社会が変われば、人の価値観も変わります。だから自分たちも変わり続けなければならない。小さい会社だからこそ、その柔軟さが強みになったと思っています。

――経営判断の軸になっている考え方はありますか。

やはり、人が幸せだと思えることを追いかけることですね。ただ利益だけを追求するのではなく、「人が楽しい」「笑っていられる」ということを大事にしてきました。

私は昔から、人と同じ方向に進むより、自分が本当に良いと思う方向を選びたいタイプなんです。流行に合わせるだけではなく、自分たちなりの価値を持ち続けたい。そのためにも、常にクリエイティブでありたいと思っています。

それから、ご縁は本当に大切にしています。社員との出会いもそうですし、「Dise(ダイス)」との出会いがなければ今の会社はありませんでした。どんな人と出会い、どんなタイミングで決断するか。その積み重ねで今があると思っています。

言葉を交わすことを大切にする組織づくり

――社内コミュニケーションで大切にしていることを教えてください。

やっぱり、顔を見て言葉を交わすことです。メールやチャットだけでは伝わらないものがあります。長く一緒に働いていると、表情や声色だけでも相手の状態が分かるんです。

小さい会社だからこそ、日々の声掛けや会話を大事にしたいと思っています。テレワークが増えた今だからこそ、直接コミュニケーションを取る大切さを改めて感じていますね。

――どのような人と一緒に働きたいと思いますか。

前向きで、夢や情熱を持っている人ですね。自分の可能性を信じて、生きるエネルギーを持っている人と働きたいです。

今の時代、若い世代は将来に不安を感じやすい環境だと思います。でも、そんな中でも純粋に挑戦したいというエネルギーを持った人はいます。特にスタートアップの方たちには刺激を受けますし、その情熱は見習いたいと感じています。

AI時代の変化を楽しみながら、新たな世界へ挑戦する

――今後の展望について教えてください。

挑戦したいことは本当にたくさんあります。これまで長くお付き合いしてくださったお客様には感謝しかありません。ただ、今後はAIという新しい世界にもっと踏み込んでいきたいと思っています。

AIによって、これまでとは違う業界やクライアントとの出会いも増えていくでしょう。求められるものも変わりますし、そこから新しい可能性も生まれてくると思っています。

変化がない世界は、価格競争ばかりになってしまいます。でも大きな変化が起きると、新しい市場や新しい価値が生まれる。今は大変な時期でもありますが、それ以上に未来への楽しみを感じています。

――経営の中で譲れないことはありますか。

まずは自分を信じること。そして欲に走らないことです。学ぶことをやめず、人を大切にすることもずっと大事にしてきました。

結局、仕事は人間関係なんですよね。同じ商品を扱っていても、「あなたと仕事がしたい」と言ってもらえる人でありたい。そのためには、まず自分が人を好きになることだと思っています。

人に喜んでもらえること、人と良い関係を築くこと。その積み重ねが結果的に仕事につながっていく。そんな経営をこれからも続けていきたいですね。

自然に触れる時間が、次のエネルギーになる

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

自然に触れることが一番の癒やしです。私は滋賀県出身で、田んぼや畑、琵琶湖のある環境で育ちました。だから今でも自然の中に入ると、すごく落ち着くんです。

美味しい空気を吸ったり、自然の中で育った野菜を食べたり、星空を眺めたり。そういう時間が心を整えてくれます。露天風呂も好きですね。

今はデジタルやインターネットに囲まれた仕事をしていますが、いつかは自然の中で、人を癒やせるようなことをしたいという夢もあります。

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