映像と音楽で“世界観”を届ける――学生起業からの挑戦
マイセンド株式会社 代表取締役CEO 小川 拓人氏
マイセンド株式会社は、映像制作を軸に、映像に付随する音楽制作やライブ配信まで手がける会社です。依頼の中心は法人で、PR動画やYouTube動画など、オンライン上での発信を目的とした映像制作を多く担っています。本記事では、代表の小川拓人氏に、事業の特徴や学生起業の背景、これからの展望などについて伺いました。
映像・音楽・SNS運用――発信の“出口”まで支える
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
映像制作を中心に、映像に付随する音楽制作、ライブ配信などの事業を行っています。最近は映像のアウトプット先としてSNSが必要だという流れもあるため、近年はSNS運用にも取り組んでいます。基本的にお客様は法人で、ほぼBtoBでの運営スタイルです。
――業界内での強みはどのような点にありますか。
ぱっと見て目を引く映像を意識して制作している点です。
当社では、最終的には人間が持つ感性が価値になると考えています。ですので、色合いなども含めて世界観を自分たちで作るんです。映像のバックミュージック(BGM)を自分たちで作ることがあります。そのうえで、「なぜ作るのか?」から「どう作るのか」までを担当者の方と話し合いながら詰めていきます。
映像や音楽は「壁」を越える――大学1年で起業
――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。
小学校時代に海外に住んでおり、そこで「映像や音楽は言語の壁を越える」と強く感じました。海外で面白いCMを見て「いつか自分も映像や音楽を作ってみたい」と思ったのが、映像に興味を持ったきっかけです。
中学校時代には、病気の関係で不登校になって入院も経験しました。そんな生活の中で、自分の生きる道として映像を学び、YouTubeなどで制作を続けるなかで、映像制作のスキルなどを身につけました。そして大学に入ってから「これを仕事として形にしてみよう」と思うようになり、大学1年で起業しました。
現在は教育学部の4年生です。会社では映像軸で動きつつ、大学では教育を軸を学んでおり、自分の中に2つの軸がある状態です。
教育学部に進んだのは、教員だった両親の影響があります。加えて、不登校で入院していた時期に見た院内学級の実情もきっかけになっています。院内学級では子どもたちの経験が制限されてしまう現場を見て、「体験が制限されない教育ってあるのか?」と感じたんです。いつか、そのような経験が制限されてしまう子供達のための教育を考えてみたいと思い、教育を学ぶことにしました。
――ご両親には、起業についてどのように伝えましたか。
「やりたいことをやってみるね」くらいのノリでした。当時はまさかここまで仕事をいただけるようになるとは思っていませんでしたし、両親も「いいんじゃない〜」といった軽い感じでした。
ただ、高校時代に音楽ドローンの飛行申請なども取って、学校の企画で飛ばすなど、私が映像制作に必要なスキルを持っていることは両親も知っていたので、「やるなら会社としてやってみれば」という雰囲気でした。
中学校時代の闘病生活の経験を経て、親が私に求める基準が「元気に生きていてくれればいい」となっていたのも大きいでしょう。だからこそ、いろいろ口出しせず、応援してくれているのだと感じています。
映像の精度を磨き、教育の知を社会へつなぐ
――現在の組織体制について教えてください。
正社員はおらず、経営陣が取締役2名と代表の私の3名です。プロジェクトで人数が必要になったら、外注で信頼できるアルバイト、フリーランスにお願いしています。
経営陣のうち、1名は私が起業するきっかけにもなった山梨で起業家教育などにも力を入れている社長です。経営に関する相談やファイナンス面でメンターとして入っていただいています。もう1名は、インフルエンサーとして活動している人物です。リアルタイムのトレンドを取り入れられる点が強みとなっています。
――今後の展望や挑戦したいことを教えてください。
一つは、映像の精度をもっと高めていきたいです。そして映像は受け手に届かなければ意味がないので、SNSマーケティングにも手をつけていきたいと思っています。すでに少し取り組んでいて、TikTokで100万再生を超える動画も何本か出ています。インフルエンサーが在籍している点を活かして、トレンドを取り入れながらも、バズることだけに特化しなくても見てもらえる動画を作っていきたいです。
もう一つは、教育、特に障害児教育の領域にも関わりたいと思っています。大学で研究していくのか、新しく会社を立ち上げるのか、形はまだ模索中ですが、子どもたちがいろいろと経験できる教育環境や社会にしていきたいと考えています。
現在大学では、障害のある子どもたち向けに『Minecraft』でサーバーを作り、安全に遊べるオンライン上での協働活動などに関する研究を行っています。これは、不登校時代に、インターネットが居場所だった子供たちが集まるMinecraftサーバーを立ち上げ、運営していたことが元になっています。大学での学びを生かし、教育に関わるビジネスもこれから考えていきたいです。学生起業でビジネスに落とし込む経験を得られたので、研究成果を社会実装する架け橋になれたらと思っています。