プロフェッショナルが一歩踏み出せる組織へ──人と仕組みで成長を続けるコトラの挑戦
株式会社コトラ 代表取締役 大西利佳子氏
プロフェッショナル人材が活躍し続ける組織を実現するために、企業はどのような人事支援を必要としているのでしょうか。本記事では、人材紹介にとどまらず、タレントマネジメントや組織づくりにも取り組む株式会社コトラ 代表取締役・大西利佳子氏に、事業の考え方や組織運営で大切にしている価値観、リーダー育成への思い、そして今後の展望について伺いました。
目次
プロフェッショナルが活躍し続けるための人事支援サービス
━━ 現在の事業内容について教えてください。
当社は、プロフェッショナルが活躍する組織を対象とした人事支援サービスを行っています。業務内容としては、いわゆるプロフェッショナル向けの人材紹介事業が中心ですが、それにとどまらず、入社後もその方が快適に、そして長く活躍していただけるような支援にも取り組んでいます。人材紹介という形で人と企業をつなぐだけでなく、その先にある「活躍」までを見据えた支援を行うことが、当社の特徴です。現在は、タレントマネジメントやAI活用による人事運用といった領域にも実際に事業として取り組んでいる状況です。
━━ 対象としている分野や強みについて教えてください。
当社はスペシャリストやリーダー層のご紹介に強みを持っており、特に金融スペシャリスト領域は祖業として高いシェアを持っていると認識しています。最近は金融にとどまらず、コンサルやIT、経営層人材、いわゆるハイスペックなプロフェッショナルが中心です。
人材紹介やリソース提供を行う企業は世の中に数多くありますが、当社では「人材」という言葉を単なる人数やスキルの集合として捉えるのではなく、その内容を正しく理解することを大切にしています。業務内容や業界特性を常に理解した上で、企業と人材の双方に向き合う姿勢を重視しています。
━━ 他社との違いや、ポジショニングについてどのようにお考えですか。
業界や業務内容を正しく理解した上で情報提供ができる点が、当社の強みだと考えています。一見すると誰でもできそうに見える仕事であっても、実際には領域ごとに理解の深さが求められます。
当社では、その業界に精通したメンバーが日々情報収集を行い、得られた情報を適切につないでいくことを重視しています。そうした積み重ねが、クライアント企業にとって価値ある提案につながっていると感じています。
人と組織の変化を間近で見てきた経験が、原点になった
━━ 経営の道に進まれたきっかけや背景を教えてください。
私はこの仕事に携わって24年になりますが、キャリアの最初は銀行に勤めていました。当時は、金融業界全体が変わらなければならない時代で、実際に組織として大きな変化を経験することになりました。
その中で、会社が変わることで組織の在り方が大きく変わり、人に与えるインパクトの大きさを強く実感しました。組織の変化は、制度や仕組みだけでなく、そこにいる人によって大きく左右される。その体験が、人材というテーマを深く考えるきっかけになったと思います。そうした背景から、人材を軸とした事業を立ち上げることになりました。
━━ 長いキャリアの中で、ターニングポイントだと感じる出来事はありますか。
振り返ってみると、何か一つの劇的な出来事があったというよりも、日々の積み重ねが今につながっていると感じています。特定の転機があったというより、毎日どのような姿勢で仕事に向き合ってきたか、その連続だったと思います。
━━ その中で、特に大切にしてきたことは何でしょうか。
私たちが大切にしてきたのは、業界の方々から信頼される存在であることです。人材ビジネスに携わる立場として、単なる外部の業者ではなく、業界の仲間としてどう認識してもらえるかを重視してきました。
そのために、日々情報を集め、業界にとって価値のある情報提供を継続してきました。そうした取り組みの積み重ねが、多くの方に情報へアクセスしていただくことにつながっており、現在に至るまで大切にしている姿勢の一つです。
仕組みを整え、人が力を発揮できる組織をつくる
━━ 現在の組織体制について教えてください。
当社の組織は、社員と業務委託のスタッフを含めて、全体で100人強、常勤社員は90人前後の規模で運営しています。コーポレートサイトとは別に運営している転職関連のWebサイトや動画サイトは、月間で多くの方にアクセスしていただいていますが、こうした情報発信も事業の一部として位置づけています。
━━ 社員の方々が自分の考えで動けるように、どのような工夫をされていますか。
私たちは「人が変われば企業が変わる」「仕組みが変われば人が生きる」という考え方を大切にしています。これはクライアント企業に対してだけでなく、自社の組織運営においても同じです。
そのため、仕組みづくりは非常に重要だと考えており、システムを通じて業務が円滑に進むよう、環境を整えることを重視しています。仕組みが整うことで、人が本来持っている力を発揮しやすくなると考えています。
━━ 社内コミュニケーションで意識していることはありますか。
当社では中途採用のメンバーが多いため、社員同士が齟齬なく理解し合いながら仕事を進められることを大切にしています。その一環として、ビジネスに関する考え方や社内の方針、利益に関することについては、できるだけ文字化し、共有するようにしています。
曖昧なままにせず、言語化して見返すことで、認識のずれを防ぎ、共通理解を持ったうえで業務に取り組めるようにしてきました。そうした積み重ねが、組織としての一体感や働きやすさにつながっていると感じています。
成長の先にあるのは、挑戦を続けられる組織であること
━━ 3年後を見据えたとき、会社としてどのような姿を目指していますか。
中期的には、継続的な成長を目指しています。ただし、数字や規模だけを追いかけるのではなく、今の組織をもう一段階しっかりと組織化していくことが重要だと考えています。現在はグループとして一定の規模がありますが、次のフェーズに進むためには、データを整え、AI基盤を固める必要があります。
目標は持ちつつも、その数字に惑わされることなく、足元を丁寧に固めながら前に進んでいきたいというのが、3年後に向けた基本的な考え方です。
━━ その実現に向けて、現在の大きな課題は何でしょうか。
最も大きな課題は、リーダー層の育成だと考えています。当社では、リーダーを「状況をより良くするために、自ら一歩踏み出せる人」と定義しています。その一歩を踏み出すためには、業務への理解だけでなく、失敗しても立て直せる力や、変化に対応する柔軟さが欠かせません。
こうした力は、自分自身への信頼や自信と深く結びついており、その土台の上でレジリエンスやアジリティを高めていくことを、リーダー育成の軸として重視しています。
━━ 今後、会社としてどのような価値や影響を社会に届けていきたいとお考えですか。
仕事を通じて、日本人の労働におけるリーダーシップをより強化していきたいと考えています。特定の役職や立場に限らず、一人ひとりが状況をより良くしようと主体的に関わることで、組織は活気を持ち、より良いサービスにつながっていくと思います。
最終的に決まった「完成形」を目指すのではなく、終わりなく改善を続けられる組織であり続けること。それ自体が、これからの時代に求められる企業の姿だと考えています。
全力で向き合うからこそ、次の一歩が見えてくる
━━ お仕事から離れた時間は、どのようにリフレッシュされていますか。
休日は、子どもの部活動を見に行ったりすることがあります。また、映画を観に行ったり、ショッピングを楽しんだりすることもあります。仕事とは違う時間を過ごすことで、気持ちを切り替える大切な時間になっています。
━━ 仕事や会社を通して、今後どのような社会的な影響を生み出したいとお考えですか。
仕事を通じて、日本人の労働におけるリーダーシップをより強化していきたいと考えています。一つのプロジェクトや組織の中で、誰か任せではなく、それぞれが主体的に関わっていくことが、社会全体を前に進める力になると思っています。
━━ 最後に、中小企業の経営者の方や、これから起業を目指す方へメッセージをお願いします。
何事も、真剣にやらなければ面白くならないと思っています。生活のために仕事をする、安定を目的とした会社づくりを選ぶという価値観もあると思いますが、一方で、全力でやりきらなければ、その仕事が自分に向いているかどうかも分からないのではないでしょうか。
スポーツでも、全力で走らなかったことは叱られても、負けたこと自体が責められるわけではありません。仕事も同じで、全力で向き合った先にこそ、次の選択や次のチャンスが見えてくるものだと思います。だからこそ、一つひとつの仕事に真剣に取り組む企業であってほしいと願っています。