人の意識が組織を変える――Nine Domainsでひらく経営と組織変革の本質

Nine Domains Institute株式会社 代表取締役 桑原 寛二氏

NineDomainsInstitute株式会社は、組織開発やコーチング、企業研修を通じて「人の意識が変われば組織が変わる」という思想を軸に活動する組織開発企業です。代表の桑原氏は、外資系企業7社で29年間にわたり営業、マーケティング、経営の現場に携わり、日本法人の経営も担ってきました。独立の背景には、ビジネスパーソンの表情に違和感を覚えた体験や、人生観を揺さぶる出来事があったと言います。本記事では、会社誕生の背景から、組織変革にかける想い、そしてこれからの展望までを伺いました。

外資系29年のキャリアから独立へ――Nine Domains誕生の背景

――事業を立ち上げるに至ったきっかけを教えてください。

外資系企業に29年間勤め、そのうち7社で営業、マーケティング、直営店運営、日本法人の経営まで経験してきました。

最後はベンチャー企業で日本法人のカントリーマネージャーを任されていましたが、急成長を前提とした投資家の期待に全社の業績が応えきれず、退任することになったんです。そのタイミングで、雇われ社長として次を探すか、以前から考えていた独立に踏み切るかを悩みました。

そんな中で出会ったのが、エニアグラムの思想をもとにした「Nine Domains」という考え方でした。個人の成長を扱うエニアグラムを、組織やチームに応用するという発想に強く惹かれ、日本での展開に関わることになったのが事業の始まりです。

――独立を決断した背景には、どのような出来事がありましたか?

2009年頃、東銀座で地下鉄を降りたとき、街に散っていくビジネスパーソンの表情がとても暗く見えたことがありました。男性も女性も、どこか疲れ切った顔をしていて、「このままだと世の中はどんどん暗くなる」と強く感じたんです。

さらに2011年の東日本大震災では、仕事で訪れていた古いビルで強烈な揺れを体験し、命の危険を感じました。その瞬間、外資系で自分のポジションや評価を守るために過ごしてきた時間が、急に恥ずかしく思えたんです。

もし生き延びられたら、世の中に貢献する仕事をしたい。その想いが、独立を決断する大きな後押しになりました。

研修ではなく変革へ――Nine Domainsアプローチの特徴

――他社と比べた際の、御社ならではの強みや特徴を教えてください。

当社の強みは、研修の実施そのものを目的にしていない点にあります。エニアグラムは直接扱ってはいませんが、その思想を土台にした「Nine Domains」というメソッドをもとに、組織やチームを診断し、今どのような状態にあるのかを客観的に捉えるところから関わっていきます。

私たちの関心は変革を起こすことで、研修の実施をゴールにはしておりません。考え方や行動に変化が生まれ、昨日より少しでも良いチームや組織になること。その結果にこだわっています。

また、会社自体はコンパクトですが、質の高い契約講師・パートナーと連携しており、規模や課題に応じて柔軟に対応できる体制を整えています。プログラムもほぼオーダーメイドで設計し、企業ごとの実情に合わせて組み立てている点も大きな特徴です。

「人の意識が変われば組織が変わる」――事業に込めた思想

――御社が目指している価値観とは何でしょうか?

私が一貫して大切にしているのは、「人の意識が変われば、行動が変わり、組織が変わる」という考え方です。これは理論ではなく、私自身が外資系企業での経験や研修を通じて、実感してきたことでもあります。

新しい考え方に触れ、自分の可能性に気づいたとき、人は自然と行動を変え始めます。その積み重ねが、チームや組織の雰囲気や成果に影響していく。だからこそ、表面的なスキルではなく、意識の変化に向き合うことを重視しています。

――ビジネスパーソンにどのような変化をもたらしたいと考えていますか?

効率や成果のみが重視される時代の中で、人としての関わりが薄くなっていると感じています。

管理職は板挟みになり、新入社員は理想と現実のギャップに戸惑う。そうした状況の中で、まずは「自分を理解すること」が出発点になると考えています。

自分の強み・弱み・大切な価値観などを理解できれば、他者との違いも受け止められるようになります。その一歩が、安心して意見を交わせる関係性や、健全なチームづくりにつながっていくと信じています。

組織課題の本質に向き合う――管理職と現場を支える支援

――これまでどのような企業課題と向き合ってきましたか?

年商数十億規模の企業から上場企業まで、幅広く関わってきましたが、共通しているのは中間管理職の負荷です。極端な効率化が求められる一方で、他者と人として向き合う余白がなくなり、現場に歪みが生じています。

業界や規模に関係なく、日本全体で起きている課題だと感じています。

――階層ごとの課題について、どのように捉えていますか?

上の世代は守りに入り、下の世代は管理職になりたがらない。その問題の真因は、対話が不足していることが根本にあると見ています。

階層ごとに役割や悩みを整理し、互いを理解する場をつくることが重要です。また組織構造の見直しが必要な場合もあります。

事業承継・統合支援にも広がる関与領域

――事業承継や企業統合の場面では、どのような支援を行っていますか?

事業承継やM&Aの場面では、数字や契約が優先され、人の想いが後回しにされがちです。その結果、残された人たちが苦しむケースも少なくありません。

後継者育成のコーチングや、統合後の理念のすり合わせなど、人の心のあり方の部分に丁寧に向き合うことで、双方が納得できる形を目指しています。

アナログへの回帰が進む時代に求められる組織像

――業界や社会の流れをどのように見ていますか?

大きな流れとして感じているのは、デジタル化が一巡し、対人関係や感情といったアナログな領域に関心が戻ってきていることです。効率や数値が優先される時代を経て、組織の中でも「人とどう関わるか」が改めて問われるようになっています。

GoogleやAppleなどが研究してきたように、心理的安全性が高いチームほど生産性が高いという考え方は、以前から知られていましたが、実際にどう扱えばいいのか分からない企業が多かったと思います。

今になってようやく、その重要性が現場レベルで実感され始め、需要が広がってきていると感じています。

――今後、より重要になるテーマは何だと考えていますか?

今後は、自分と他者の感情をどう扱うか、自分自身をどう理解するかが、より重要なテーマになっていくと思います。自分を理解しなければ他者を理解することはできず、言いたいことを言える関係性も築けません。

また、人生100年時代の中で、定年後やキャリアの後半をどう生きるのかという問いも避けて通れなくなっています。役割を終えた後に何のために生きるのかを早めに考える機会は、これからさらに必要になるでしょう。

私たちは答えを与えるのではなく、その問いに向き合うための場を提供していきたいと考えています。

Nine Domainsの可能性を、次のステージへ

――尊敬する方はいらっしゃいますか?

エニアグラムの研究者であり理論を牽引してきたドン・リチャード・リソさんは尊敬する人の一人です。私が今の会社を立ち上げるきっかけになった人物でもあります。

外資系企業で長く働き、日本法人の経営も任されてきましたが、独立を考え始めていた時期にエニアグラムに触れました。その中心にいたのが、ニューヨークのエニアグラム・インスティテュートを率いていたドンさんとラス・ハドソンさんでした。

ドンさんが2007年に提唱した「ナインドメインズアプローチ」は、個人の成長を扱うエニアグラムを、組織やチームにも応用できるのではないかという発想から生まれたものです。この考え方に出会い、日本で広めていくことに関わったことが、会社設立につながりました。

また、ドンさんの「恐れる必要はない」「守る必要もない」「売り込む必要もない」という言葉にも強く影響を受けています。私自身、外資系で生き残るために自分を守り、アピールし続けてきた時代がありましたが、その姿勢を見直すきっかけにもなりました。

本質で生きることの大切さは、今も事業の根底にあります。

――今後、特に力を入れていきたい取り組みを教えてください。

今取り組んでいるのは、自分たちがやってきたことをどのように再定義し、どのように伝えていくかという整理です。

私は資格を持ってコーチングも行っていますが、「I am the Source」といった研修プログラムや、これまでの個人や組織への関わりを含めると、単なるコーチングや研修という枠には収まりきれません。むしろ、人生そのものをどのように生きるかを整えていくためのサポートに近いと感じています。

ただ、「コーチング」と言ってしまうと「知っている」「もう分かっている」と受け取られてしまうことも多い。だからこそ、既存の言葉に頼らず、全く新しい定義として表現する必要もあると考えています。

今後は、そのご提供する価値を分かりやすい言葉に落とし込み、Nine Domainsの考え方とあわせて発信していくことに力を入れていきたいですね。

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