声が人生を変える──吃音症を乗り越え生まれた「声×脳科学×ビジネス」の挑戦

合同会社えん人 代表 押田ゆうすけ 氏

声は人と人をつなぐ最も原始的なコミュニケーション手段です。その声の可能性に着目し、「声×脳科学×ビジネス」という独自のアプローチで自己ブランディング支援を行っているのが合同会社えん人です。代表の押田ゆうすけ氏は、かつて自身が声のコンプレックスと吃音症に悩んだ経験を持ちます。本記事では、その経験がどのように現在の事業へつながったのか、そして今後の展望について伺いました。

声の周波数を整える自己ブランディング支援と「えん人」の理念

――現在の事業内容について教えてください。

当社では、声の周波数や発声をベースにした自己ブランディング支援を行っています。声のスペックを整えながら、コミュニケーション力やプレゼン力の向上をサポートする取り組みです。

一般的なボイストレーニングでは、発声方法や表現の仕方を指導することが多いと思います。私はそれをフレンチ料理の料理人のようなものだと考えています。料理人は食材を調理して旨味を引き出しますよね。ただ、食材そのものの状態が良くなければ、本来の美味しさにはなりません。

私の役割は、その食材を最高の状態に整えることです。つまり、その人が持っている声のスペックを引き出すこと。声の周波数バランスを整えながら、その人らしい自己表現ができるようにサポートしています。

――会社として掲げている理念やビジョンを教えてください。

理念は「世界中の人たちに笑顔と幸せを届けること」です。そして「縁を結ぶ人たちの灯台となる」ことをビジョンとして掲げています。

社名の「えん人」には、人の縁を大切にしたいという思いを込めました。声はコミュニケーションの源泉です。声が整うことで人と人がつながり、そのつながりが円陣のように広がっていく。そうした循環を生み出していきたいと考えています。

声のコンプレックスと吃音症を乗り越えたキャリアと独立の背景

――これまでのキャリアや経営者になられたきっかけを教えてください。

もともと私は自分の声に強いコンプレックスを持っていました。今の声とは違い、昔はかすれた声だったんです。

きっかけは10歳の頃の声変わりでした。小学校5年生のときに声が変わり、親や先生から「その声はどうしたんだ」と言われるようになりました。それがきっかけで人前で声を出すことが怖くなり、11歳の頃には重度の吃音症になってしまったんです。

その後、声を変えるために試行錯誤を重ねる中で、人前で話すことへの自信が少しずつ戻ってきました。営業の仕事でも結果が出るようになり、声が変わることで人生が大きく変わることを実感しました。

――独立を決意した背景にはどのような出来事があったのでしょうか。

大きく二つあります。

一つは、サラリーマン時代の取引先の先生からの言葉です。当時、学校教材の営業で学校に出入りしていました。その中で先生方に声の使い方を無料で教えることがあったんです。すると授業中に寝る子どもが減ったり、学力が上がったりと変化が出ました。それを見ていた先生から「これは他にはないサービスだ。独立してやってみたらどうだ」と言われたんです。

もう一つは会社での出来事でした。祖父母が亡くなったとき、会社の社長から言われた言葉がきっかけで、自分の人生を見つめ直すようになりました。そのときに「自分の力で挑戦してみたい」と思い、独立を決断しました。

祖父の教えから生まれた価値観と人を信じる組織づくり

――組織運営の中で大切にしていることを教えてください。

私が大切にしている考え方があります。それは「皮剥いだら血と肉」という言葉です。
どれだけ社会的地位が高い人でも、皮を剥げば同じ血と肉の塊である人間です。ホームレスの方も、大企業の社長も、私にとっては同じように尊敬できる存在です。

この考え方は祖父の影響です。祖父は「人間、着ているものを脱げばみんな同じだ」とよく言っていました。だから私は、まず自分から相手を信じて敬意を持って接するようにしています。立場や肩書きではなく、その人自身を見ること。それが信頼関係の出発点だと思っています。

――コミュニケーションで意識していることはありますか。

まずは相手を信じることです。信じることから関係は始まると思っています。
人はそれぞれ背景も価値観も違います。だからこそ、相手を一人の人間として尊重する姿勢が大切だと考えています。

また、相手の話をきちんと聞くことも大事にしています。言葉の表面だけではなく、その人がどんな思いで話しているのかを受け取ることを意識しています。そうした積み重ねが信頼につながり、結果として良い関係性やチームづくりにもつながっていくと感じています。

オルタナティブスクール構想と声の力で広げる未来の挑戦

――今後取り組んでいきたい挑戦を教えてください。

将来的にはオルタナティブスクールを作りたいと考えています。

日本には多くの不登校の子どもたちがいると言われています。その中には突出した能力や価値観を持っているがゆえに学校になじめない子どもたちもいます。そうした子どもたちの可能性を伸ばす場所を作りたいと思っています。

学校という一つの枠組みに合わないからといって、その子の価値が低いわけではありません。むしろ、独自の視点や感性を持っているからこそ、新しい価値を生み出せる可能性があります。そうした子どもたちが自分の強みを理解し、自信を持って社会に踏み出せるような環境をつくりたいと考えています。

そして世界に影響を与えるような人材を育てる場をつくることが、将来の目標の一つです。自分の声で自分の考えを発信し、人とつながりながら未来を切り拓いていく。そんな力を持った人材が育つ場所をつくりたいと思っています。

――AIが発展する時代において声の価値はどう変わると思いますか。

AIが進化するほど、人間の声の価値はむしろ高まると考えています。

人間の声には不完全さがあります。その不完全さがあるからこそ、感情が伝わります。例えば結婚式で花嫁が涙で言葉を詰まらせながら読む手紙。その瞬間に心が動くのは、人間の声だからこそだと思います。

これからの時代は、情報そのものよりも「誰が、どんな思いで伝えるのか」がより重要になると感じています。AIが多くの情報を生み出す時代だからこそ、人の声に宿る温度や感情が価値になる。だからこそ、自分の声で語る力や人に思いを届ける力は、これからますます大切になっていくと考えています。

キャンプや料理、人との交流で整えるリフレッシュの時間

――お仕事以外でのリフレッシュ方法を教えてください。

家族とキャンプに行ったり、車中泊をしながら淡路島を一周したりしています。

料理も好きで、時間をかけてスープを仕込んだり、煮込み料理を作ったりすることもあります。手間をかけて料理を作る時間も好きですね。

また、立ち飲み屋でいろいろな人と話す時間も好きですね。隣にいる方と会話を楽しみながら、人とのつながりを感じる時間がリフレッシュになっています。知らない人同士でも会話が生まれるのは、声があるからこそだと思います。

――仕事を通して感じている声の魅力はどんなところでしょうか。

声の力で人と人がつながる瞬間を生み出せることです。声には、その人の感情や人柄が自然と表れます。だからこそ、声を通して相手との距離が縮まる瞬間が生まれるのだと思います。

実際に声を整えることで、人前で話すことに自信がついたり、コミュニケーションが変わったりする方も多くいらっしゃいます。そうした変化を見ることができるのは、この仕事の大きなやりがいです。

声は誰もが持っているものですが、その可能性に気づいていない人も多いと感じています。だからこそ、声を通して人の可能性を広げていくことに価値があると思っています。

これからも声の可能性を通して人と人との縁を広げながら、コミュニケーションの価値を社会に届けていきます。

Contact usお問い合わせ

    お問い合わせ内容
    氏名
    会社名

    ※会社・組織に属さない方は「個人」とお書きくだい

    役職

    ※会社・組織に属さない方は「一般」をお選びください

    メールアドレス
    電話番号
    どこでお知りになりましたか?
    お問い合わせ内容

    プライバシーポリシーに同意して内容を送信してください。