AI時代に問い直す「発信」の価値――KijiLifeが挑むメディア再定義の最前線
合同会社KijiLife 代表 小川 翔太氏
2022年11月に創業した合同会社KijiLifeは、Webコンテンツ制作を軸に、SEO記事や取材記事、SNS運用など幅広い領域で事業を展開している企業です。テキスト中心の発信が当たり前だった時代から、生成AIやSNSの普及によって情報発信の在り方が大きく変化する中、同社はその価値そのものを問い直そうとしています。本記事では、代表の小川翔太氏に、事業の特徴や創業の背景、経営における価値観、そして今後の挑戦について伺いました。
発信のプロフェッショナルとしての事業展開
――現在の事業内容について教えてください。
Webのコンテンツ制作を中心に事業を行っています。2022年11月からスタートし、現在は5期目に入っている段階です。コンテンツ制作といっても領域は広く、SEO記事の制作に加えて、取材記事の制作も行っています。
取材対象は企業やサービスの導入事例、イベントなど多岐にわたり、それらを記事や動画としてアウトプットし、WebやSNSで発信しています。さらにSNSの運用代行も手がけており、コンテンツ制作から発信まで一貫して対応しています。
――他社にはない特徴や強みはどのような点にありますか。
特徴としては、単なる記事制作にとどまらず、取材・制作・発信までを包括的に担っている点です。現場での取材を通じて得た一次情報をもとにコンテンツを作り、それを適切な形で届けるところまで責任を持っています。
また、記事だけでなく動画やSNSなど、媒体ごとに最適な形で情報を届ける柔軟性も強みです。
フリーランスから法人化へ――事業立ち上げの背景
――起業に至った経緯を教えてください。
もともとはフリーランスとしてメディア関連の仕事を始めたのがきっかけです。それ以前はシステムエンジニアとして働いた経験や、人材系コンサルティング会社で営業をしていた時期もありました。そうした会社員としてのキャリアを経て、「自分の力で稼ぐ」という選択を取り、興味のあったメディアの分野に挑戦しました。
フリーランス時代には、Webメディアの立ち上げから取材、記事制作、スポンサー獲得まで幅広く経験しました。その中で得た知見をもとに、個人ではなく組織として取り組むことでより大きな価値を提供できると考え、法人化に至りました。
――会社の理念やビジョンについて教えてください。
創業当初は「記事を書いて生きていく人を増やしたい」という思いがありました。しかし、生成AIの登場によって状況は大きく変わりました。テキストの価値が相対的に下がり、誰もが簡単に発信できる時代になったことで、単純にライターを増やすことが本当に価値なのか疑問を持つようになりました。
現在は、「発信することの意味」を再定義することを目指しています。テキストだけでなく、動画やSNSも含めた情報発信全体の価値を見直し、日本のジャーナリズムやメディアの在り方そのものを変えていきたいと考えています。
経営という手段
――経営者になった背景について教えてください。
経営者になりたいと思っていたわけではありません。世の中に必要だと感じるサービスがあり、それを実現する手段として会社を立ち上げたというのが実情です。経営という役割は後からついてきたものであり、目的ではありません。
――経営判断の軸となる価値観は何でしょうか。
常に「お客様を勝たせること」を最優先に考えています。日々の意思決定も、すべてそこに紐づいています。自分たちのやっていることが本当に顧客のためになっているのか、その結果として顧客が成功しているのかを問い続けることが軸です。
派手な戦略よりも、仕組みを整え、その中で発生するエラーを一つずつ修正していくような地道な改善が中心です。自社のブランディングや見せ方よりも、顧客への価値提供を優先しています。
現場主義の組織運営と人材観
――社内コミュニケーションで大切にしていることは何ですか。
当社には正社員はおらず、業務委託メンバーで構成されています。ただし、実態としてはフルコミットに近い形で関わっているメンバーも多く、密度の高い関係性があります。
特に取材現場では、ディレクター、ライター、インタビュアー、カメラマンなどがチームとなり、1日中行動を共にすることもあります。そのため自然とコミュニケーション量が多くなります。
一方で、長時間一緒にいることで摩擦が生まれることもあるため、必要以上に踏み込みすぎない距離感を意識しています。業務上の関係性や金銭の流れを踏まえ、過度な圧力やハラスメントにつながらないよう注意しつつ、あくまで仕事を通じた成長と成果にフォーカスしています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
採用は固定的な基準で判断するというよりも、実際の現場での適性を見て判断しています。レスポンスの速さといった基本的な部分に加え、現場での立ち振る舞い、第一印象、体力や精神的なタフさなどが重要です。
長時間の取材や過酷な現場でも、周囲に配慮しながら仕事をやり切れるかどうかは大きなポイントです。適性が合わない場合は、SEO記事制作などリモート中心の業務にアサインするなど、個々の特性に応じた調整も行っています。
メディアの再構築へ――今後の挑戦
――今後取り組みたい挑戦について教えてください。
既存のテレビや新聞といったメディアの在り方を根本から見直したいと考えています。また、現在のSNSの使われ方についても、本当に最適なのかを問い直したいと思っています。
単に既存の仕組みを否定するのではなく、新しいメディアの形を提示し、それを実現する存在になりたいと考えています。そのためのコンテンツ制作や発信を続けていく方針です。
――その挑戦における課題は何でしょうか。
課題は非常に多く、むしろ「壁だらけ」と言える状況です。まずはその壁の大きさや構造を正しく把握することが必要だと考えています。
また、長年積み上げられてきたメディアの仕組みを個人や一企業で変えることの難しさもあります。そのため、過去に同様の挑戦をしてきた人たちとつながり、知見を共有しながら進めていくことが重要だと考えています。
価値観を広げた存在と仕事観
――影響を受けた人物や出来事について教えてください。
特定の尊敬する人物がいるわけではありませんが、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリのように、小説家でありながらパイロットとしても活動していた人物の存在には影響を受けました。一つの分野に縛られず、複数の領域で活動する姿勢は、自分自身の可能性を広げるきっかけになりました。
――リフレッシュ方法について教えてください。
特別なリフレッシュ方法はありません。仕事のストレスは仕事で解消するしかないと考えています。逆に言えば、そこまで強いストレスを感じているわけでもなく、常に仕事と向き合い続けている状態が自然になっています。