「断らない」覚悟が道を拓く──試行錯誤から築いた外壁改修のプロフェッショナル

「断らない」覚悟が道を拓く──試行錯誤から築いた外壁改修のプロフェッショナル

有限会社豊徳技建 代表 佐野 能徳 氏

マンション改修や公共施設の修繕工事を中心に、外壁補修や防水工事を手がける有限会社豊徳技建。現場ごとの判断力と技術力を武器に、着実に事業を拡大してきました。本記事では、創業の背景や経営における価値観、組織づくり、そして今後の展望について伺いました。

外壁改修を軸に広がる事業と「相手本位」の理念

――現在の事業内容について教えてください。

マンション改修や大規模修繕、公共事業を中心にやっています。学校の長寿命化工事にも関わっていて、内部や外部の改修の一部を担当することもあります。

マンション改修でいうと、メインは外壁の補修です。塗装前のコンクリートの不具合を直したり、タイルが落ちないようにしたり、浮いている部分に注入をかけたりと、やることは現場ごとに変わります。

学校も基本は外装改修で、ひび割れや爆裂の補修が中心になります。鉄筋が錆びてコンクリートが膨らむこともあるので、そういった部分を直していく仕事です。防水工事も大事な柱の一つです。

現場は毎回条件が違うので、同じやり方が通用しないことも多いです。その都度どう対応するかを考えながら進めていく、そんな仕事ですね。

――経営理念について教えてください。

自分たちの利益だけを追うのではなく、まずは取引先にとってプラスになる仕事をすることを大事にしています。自分たちの技術や知識を使って、先にお客様に利益を出してもらう。その結果として会社が成り立つ、そんな考え方です。

自分たちの都合だけで動いてしまうと、結局長く続く関係にはならないと思っています。目先の利益を取りにいくよりも、信頼される仕事を積み重ねていくことの方が大事だと感じています。

だからこそ、一つひとつの仕事にしっかり向き合う。その積み重ねが結果につながっていくと考えています。

事故と転機から始まった事業──流れに乗った決断

――創業の経緯について教えてください。

仮設足場工事の会社からスタートしました。共同経営者と立ち上げ、足場工事を中心に請け負っていましたが、年間を通して仕事に波があり、空く時期を埋めるために新しい事業を考えたのが始まりです。

そこで紹介されたのが、防水や外壁補修の仕事でした。研修を受けながら覚えていこうとしていたんですが、その途中で事故に遭って入院することになりました。しかも、その間に教わっていた会社がなくなってしまったんです。

そのあと、もともと取引のあった会社から直接声をかけてもらって、「やってみないか」と言われたのが、今の仕事の始まりです。経験としてはほんの数ヶ月しかなかったんですが、とりあえずやってみようと現場に立ちました。

最初は手探りでしたが、自分で考えながら試行錯誤を重ねて、少しずつ形にしていった、そんなスタートでした。

――経営者として独立した理由を教えてください。

流れに乗った部分もありますが、従業員として働く中で、自分のやりたいことを自由にできないもどかしさはありました。やるなら自分で決めたい、という気持ちが強くなっていったんです。

最終的には、分社化して独立する形を選びました。自分で判断して、その結果も自分で引き受ける。そのほうが納得して仕事に向き合えると思ったからです。

――転機となった出来事はありますか。

教わっていた会社がなくなったタイミングです。そのときに声がかからなければ、足場工事のまま続けていたと思います。あの出来事が今につながっています。

予想していなかった出来事でしたが、その状況があったからこそ、新しい道に踏み出す決断ができたと捉えています。

「断らない」姿勢が育てた組織と現場力

――経営判断で大切にしていることは何ですか。

基本は「断らない」ことです。人手や状況的にどうしても無理な場合を除いて、依頼された仕事は受けるようにしています。やったことがない内容でも、まずはやってみる。試行錯誤すれば何とかなるという経験を積んできたので、その考え方は今も変わりません。

実際にやってみることで見えてくることも多く、経験の幅が広がることで次の仕事にもつながっていると感じています。結果として、対応できる領域も少しずつ増えてきました。

――組織運営で意識している点を教えてください。

現場ごとの判断は職長に任せています。現場では状況が常に変わるため、その場で判断できることが重要です。任せたうえで、後から内容を共有してもらい、より良い方法を一緒に考えていく形を取っています。

一方的に指示を出すのではなく、現場の判断を尊重することで、各自が責任を持って動ける環境づくりを意識しています。そうした積み重ねが、組織全体の力にもつながると考えています。

――どのような人材と働きたいですか。

自分で考えられる人です。言われたことだけをやるのではなく、現場の状況に応じて工夫できることが大切です。指示が必ずしも正しいとは限らないため、自分なりに考え、道具や材料の使い方も含めて柔軟に対応できる人と一緒に仕事をしたいと考えています。

現場ごとに最適なやり方は異なるため、自ら考え行動できる力が重要になります。そうした姿勢を持つ人とともに、より良い仕事を積み重ねていきたいです。

技術革新と営業力で広げる事業の可能性

――今後の展望について教えてください。

建設業界では新しい技術が次々と出てきています。剥落防止や防水の分野でも、より高品質でコストを抑えた工法が増えているため、そうした分野にも取り組んでいきたいと考えています。

特にマンション改修については、さらに広げていきたい領域です。需要が高まっている分野でもあるため、技術の習得と対応力を高めながら、安定して受注できる体制を整えていきたいと考えています。

――現在取り組んでいることはありますか。

営業力を強化するために、BNIというグループに参加しています。異業種の経営者同士で支え合う仕組みで、そこから仕事の広がりをつくっていくことを目指しています。つながりを活かしながら、受けられる仕事の幅を増やしていきたいと考えています。

これまでとは異なるルートからの仕事の獲得にもつながっており、新たな可能性を感じているところです。

――業界の今後についてどう見ていますか。

新しい技術はどんどん出てきていて、施工もより効率的で品質の高いものが求められてきていると感じています。その流れにしっかり対応しながら、自社の技術力や営業力も上げていきたいと考えています。

変化にどれだけ柔軟に対応できるかが、これからの成長に大きく関わってくると思っています。

挑戦を続ける価値観と、心を整える時間

――リフレッシュ方法について教えてください。

釣りが趣味で、ルアーフィッシングをよくやっています。海が近い環境なので、時間を忘れて集中できるのが良いところです。仕事とは違う時間に没頭することで、気持ちを切り替えることができていますね。

――大切にしている価値観を教えてください。

松下幸之助さんの考え方には影響を受けています。どんな状況でも挑戦を続ける姿勢は大事にしていて、それが「まずやってみる」という今のスタンスにもつながっています。経験がなくても挑戦することで道が開けると考えています。

現場での判断力や挑戦する姿勢を積み重ねながら、事業を広げてきた同社。これからも「断らない」という覚悟と技術力を武器に、取引先に価値を提供し続けることで、自社の成長へとつなげていきたいです。

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