地域に愛される100年企業を目指して。人を育て、業界を支える東陽電気工事の挑戦

東陽電気工事株式会社 代表取締役 石川 格子 氏

福島県内を中心に、電気工事、通信工事、消防設備工事を手がける東陽電気工事株式会社。創業90年以上の歴史を持つ同社は、公共工事と民間工事を半々で担いながら、近年は通信工事の比重も高めている。社員約10名の体制で、協力会社とも連携しつつ事業を展開する一方、人材育成に力を注ぎ、業界全体の課題解決にも取り組んできた。英語講師から家業を継ぎ、経営者となった石川氏に、会社の現在地とこれからを聞いた。

地域に根ざし、技術を磨く会社でありたい

――まず、御社の事業内容について教えてください。

当社は福島県内を中心として、主に電気工事業全般、それから通信工事、消防設備工事の3業種で仕事をしています。公共工事と民間工事の割合はおおむね5:5です。

前期までの売上でいうと大半は電気工事ですが、近年は通信工事が増えてきている印象があります。社員は約10名ほどで、協力業者にも力を借りながら仕事を進めています。売上はおおよそ2億円から3億円で推移しています。

――会社としての強みはどこにあるとお考えですか。

創業から90年以上続いているという歴史の長さは大きな強みだと思っています。加えて、今は育成に力を入れている点が、同業の中でも違いになっていると感じています。

若い人でも研修を受けることで早期に技術を身につけ、個人の力を発揮できるようにする。そのための環境づくりに力を入れてきました。

――理念やビジョンについてもお聞かせください。

今掲げているビジョンは「地域に愛される100年企業」です。企業理念としては、「社員が輝きあかりを灯す会社として地域になくてはならない技術集団を目指す」という考え方があります。

今は人的資本経営と言われる時代ですので、まず社員が輝くこと、そのことで地域にしっかり貢献できる人材を育てることを重視しています。

英語講師から家業へ。知らなかったからこそ踏み出せた

――経営者になられたきっかけを教えてください。

大学卒業後は地元に戻り、受験に向けた塾で高校英語を4年間教えていました。もともと家業を継ぐつもりはなく、実家の電気工事の仕事についても詳しく知る機会はありませんでした。

父も家で仕事の話をすることはあまりありませんでしたし、私は三姉妹の末っ子でしたので、自分が継ぐというイメージは持っていなかったんです。

ただ、父親が会社を畳むか、誰かに任せるかという話になった時に、承継についての話を聞く機会がありました。中小企業ですから借金もあり、従業員が急に社長を引き継ぐのも難しいという状況でした。

そうした中で、畳んでしまうなら自分がやってみたい、という軽いノリで始まったのがきっかけです。20代半ばから後半に差しかかっていた時期で、社長という肩書きにも惹かれましたし、自分のやりたいこともお金があればいろいろできるのではないか、という感覚もありました。

――経営者として学び続けてこられた背景には、どのような思いがありましたか。

業界に入った当時、地方の電気工事会社の経営者は年配の方が多く、同じ土俵で会話をさせてもらうことが難しいと感じていました。年齢差は埋められませんし、経験年数もすぐには追いつけません。

だったら経営の経験を疑似的にでも学んで、経営の力を身につけることで、少しでも同じ土俵で話せるようになりたいと考えました。業界の資格だけでなく、経営の勉強にも取り組んだのはそのためです。

毎日話すこと、話しやすい環境をつくること

――社員の皆さんとのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。

毎日話すことです。人数が増えれば増えるほど難しくなることだと思いますが、当社は10名程度なので、顔を合わせて会話をすることができます。

朝礼でもそうですし、私が外出していて帰りにいないことも少なくありません。その場合でも日報や報告をみんなが見られるような仕組みにしています。

また、10年ほど前からDXにも取り組み始めていて、出先でもみんながみんなの分の日報や報告を見られるようにしました。顔を合わせられない日も、今日一日みんながどうだったかが分かるようになっています。

――職人の世界ならではの難しさに対して、どのような工夫をされていますか。

職人の世界は上下関係があり、そこがコミュニケーションの難しさにもつながります。そこで、入社時の研修の段階で、現場で直接上司にあたる人が講師として2〜3か月しっかり教える仕組みをつくっています。

その期間で信頼関係を築いてから現場に出るので、若い人が何を指示されているのか分からないまま怒られるような状態になりにくいのです。

上司側も、その若手がどういう性格で、どんな特技や弱みがあるのかを理解できます。コミュニケーションそのものも大切ですが、コミュニケーションしやすい環境をつくることを意識しています。

人材育成を自社のためだけで終わらせない

――今後、取り組んでいきたい新しい挑戦について教えてください。

今は研修施設を活用して人材育成の早期習熟を目指していますが、電気工事という仕事に興味を持つ時期は、高校生や社会人になってからでは遅いのではないかと感じています。

子どもたちの将来の夢や職種の決定に、小学校時代の体験が影響しているという話もありました。私自身も、中学生でも遅くて、小学生や幼稚園生の頃の体験が大事なのではないかと思っています。

そこで、2〜3年前から少しずつ、子どもたちに向けた体験事業に取り組み始めました。実際に配線して、照明器具をつけて、スイッチやコンセントをつけて、点灯試験まで行うという一連の流れを体験してもらっています。

その時点では強い印象として残らないかもしれませんが、進路や職業を考える場面になった時に、ふと思い出してもらえる立ち位置にはなれるのではないかと思っています。そうした体験事業を大事にしています。

離職を嘆くだけでなく、業界に入る人を増やしたい

――現在、会社として向き合っている課題は何でしょうか。

日本全体、とくに都心から始まっている流れだと思いますが、転職ありきの就職という考え方が地方にも広がってきています。建設業や職人の世界は手に職と言われますが、手に職になるまでには会社側が報酬面でも資格取得の面でも金銭的な負担をしています。

その中で2年、3年で辞める人が一定数いる。最初は離職率を低くするためにどうするかを考えていましたが、最近はそれだけではないと思うようになりました。

――どのように考え方が変わってきたのでしょうか。

離職そのものをただ悪いことと捉えるのではなく、辞める時にどう向き合うか、辞めた人の後にどう人材を確保するか、という視点が必要だと考えています。ただ、その前にまず業界を選んでもらわなければ始まりません。

ですから今は、この業界に興味を持って入ってくる人材を増やすことが大きなテーマです。AIに代われない職種だと言われる一方で、DX化は避けて通れません。中小企業にとっては費用負担も大きいですが、そうしたことにも積極的に取り組みながら、これからの時代に見合った会社にしていきたいと考えています。

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