最小単位の組織変革で、人が自分を取り戻す場をつくる――GENSHI WORKSの挑戦

株式会社GENSHI WORKS 代表取締役社長 大矢 耀介氏

組織開発や人材開発の領域で、現場起点の小さな変化を生み出す支援を行う株式会社GENSHI WORKS。代表の大矢耀介氏は、長期的で大規模な組織変革ではなく、「今この瞬間に、小さな変化を起こす」ことを重視しています。本記事では、大矢氏に、事業の特徴、起業の背景、今後の展望について伺いました。 

現場から変化を起こす「最小単位の組織変革」

――現在の事業内容について教えてください。

私が提供しているのは、「最小単位の組織変革」です。ジャンルとしては組織開発や人材開発の領域で、エンゲージメント向上や部門間の壁の解消といった課題に向き合っています。

従来の組織開発は、3年かけて数百万円、数千万円を投じるような、壮大な取り組みになりがちだと感じていました。ただ、3年もかければ組織の中身も変わっていきます。現実にフィットしていない部分があるのではないかと思ったんです。

だからこそ、大きな計画ではなく、今この瞬間に小さな変化を起こすことを大切にしています。トップダウンではなく、現場で小さな変化を生み、「自分たちでも変えられる」という感覚を広げていく。外部主導ではなく、当事者が答えを見つける支援をしています。 

――具体的にはどのようなサービスを提供されていますか。

一つは組織開発ワークショップです。現場の社員の皆さんに3時間参加してもらい、自分たちの職場が今どのような状況なのかを言語化していきます。「以前はもっといいチームだったのに、最近少し違う」といったモヤモヤを共有しながら、改善したいことを決め、その場で実行まで行います。 

たとえば、「相談しづらい」という課題に対して、情報共有チャットを作るといった小さな施策でも構いません。重要なのは、短時間でアウトプットまでやり切ることです。 

もう一つは、AX・AIトランスフォーメーションの支援です。AIを使って業務効率を変えていく取り組みですが、これも数年かけるのではなく、まず3時間で現場の皆さんに集まってもらい、実際に業務に使えるAIを一緒につくる。目の前の仕事を楽にするところから始めています。

30歳を機に起業。前職での経験を次の挑戦へ

――経営の道に進まれたきっかけを教えてください。

昔から漠然と「会社をつくりたい」という思いがあり、ある時、30歳のタイミングで起業しようと決めたんです。それが2、3年前のことです。

前職では三井不動産グループの会社にいて、不動産以外の新規事業をつくる仕事をしていました。その中で直近5年間は、組織開発コンサルティング事業の立ち上げやデリバリーを担当していました。

退職するにあたり、コンサルティングのような領域は会社として継続するのが難しい部分もありました。そこで、その領域を独立した私の会社で引き継ぐ形になりました。資本が入っているわけではなく、案件を引き継いだ形です。

――現在のお客様や組織体制について教えてください。

起業したばかりなので、現在は前職でお付き合いのあった企業が中心で、結果として比較的大企業が多くなっています。具体的には、プライム上場企業で、グループ全体では数万人規模の会社もあります。業種としては、IT系、SES、メーカー、製造業が多いです。

組織としては、社員は雇用しておらず、業務委託の方4名に手伝ってもらっています。組織開発コンサルティングや、AIトランスフォーメーションのサービス構築を支えてもらっています。

2040年に日本橋へ戻るために、売上100億円を目指す

――今後の展望について教えてください。

明確な目標の一つとして、2040年までに日本橋にテナントとして戻ることです。前職の関係もあり、三井不動産グループが日本橋の街づくりに力を入れていることも背景にあります。そこに戻るためには、2040年時点で少なくとも70億〜80億円、できれば100億円程度の売上が必要だと考えています。

事業面では、組織開発や人材開発の領域に対して、アンチテーゼをぶつけてみたいという思いがあります。「組織はなかなか変わらない」「人材育成は永遠のテーマだ」と言われながら、なかなか良くならない現実があります。

半年かけて分析し、翌年度から実行するような従来型の組織開発が本当に機能するのか。そこに問題意識があります。

私は、まず素早く小さな変化を生み出し、そこを起点に共感の場を広げていくアジャイルな取り組みに意味があるのではないかと考えています。

――現在向き合っている課題は何でしょうか。

一番大きいのは、安定的なキャッシュを生む仕組みをどうつくるかです。

私には、東京をジャングル化したい、人類がもっと自由な存在になってほしいという大きな構想があります。ただ、そこにいきなり挑戦してキャッシュを生むのは難しい。だからこそ、チャレンジするための足場をどうつくるかが重要です。具体的には、顧客獲得コストをどう下げるか、同時に顧客単価やLTVをどう高めるかが課題です。

マーケティング、プロモーション、ブランディングはまだ模索している段階です。また、少ない体制でやっているため、今後は他社との連携も含めて、提供領域を広げていく必要があると感じています。

人類が自分を取り戻す世界をつくりたい

――会社として究極的に目指したい姿を教えてください。

究極的には、人類が自分を取り戻している状態をつくりたいです。組織の中で働く人は、「自分にできることは限られている」と思っていることが多いのではないでしょうか。労働環境は経営者や上司、人事が変えるもので、自分には何もできない。だから飲み会で愚痴を言うだけになる。

そうではなく、自分の環境や自分が生きる世界は、少しずつでも自分で変えていけると信じられる状態を生み出したいです。それは、人間が自分を取り戻している一つの形だと思っています。

もう一つ、都市に対する違和感もあります。東京のような都市は、合理性や効率性でコントロールされすぎているように感じます。だからこそ、東京をジャングル化したいという構想があります。まだ事業として本格的に形にできているわけではありませんが、日々発見や感動、自然の脅威がある都市をつくってみたいという思いがあります。

自然と身体性に触れながら、自分の感覚を取り戻す

――休日のリフレッシュ方法を教えてください。

日常的には植物を育てたり、ジムに行って体を動かしたりしています。植物は「ビカクシダ」のようなものを育てていて、結構はまっています。

土日は毎週ではありませんが、キャンプに行ったり、フェリーに乗ったり、知人の古民家に遊びに行って裏山の竹を切ったりすることもあります。自然に触れながら体を動かすことが、リフレッシュになっています。

――読者に向けてメッセージをお願いします。

私の考えていることに、少しでも近い思いを持っていただける方がいれば、ぜひお話ししたいです。

組織開発でも、東京をジャングル化する構想でも、何か一緒にできる人や企業がいれば嬉しいです。現場の一人ひとりが、自分たちの環境を少しずつ変えていける。その感覚を取り戻すことが、人がより自由になる一歩だと思っています。

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