北海道の未来を“仲間”とつくる――UTARIIIが挑む地方創生と経済活性化
株式会社UTARIII 代表取締役CEO 安達 さやか氏
株式会社UTARIIIは、北海道の経済活性化と地方創生をテーマに、交流会事業やコミュニティ形成、DX支援などを展開する企業です。札幌と東京をつなぎながら、道内外の企業や経営者同士の新たな出会いや共創の機会を創出しています。本記事では、代表の安達さやか氏に、事業の特徴や創業の背景、組織づくり、今後の展望などについて詳しく伺いました。
“仲間”と共創する北海道発のプロジェクト
――現在の事業内容について教えてください。
当社では、北海道の経済活性化と地方創生を目的に、コミュニティ事業やDX支援、販路拡大支援などを展開しています。北海道と東京の企業・経営者をつなぎ、新たなビジネスマッチングや事業創出につながる場づくりを行っているのが特徴です。
主軸となっているのはコミュニティ事業で、交流会やオンラインサロンを通じて、経営者同士がリアルにつながれる機会を提供しています。また、TikTokショップを活用した北海道産品の販路拡大支援や、SNS活用・DX支援など、地域企業の成長を後押しする事業にも取り組んでいます。
――交流会事業の特徴について教えてください。
当社の交流会は、「新しいビジネスの接点が生まれる場づくり」を重視している点が特徴です。北海道では交流会そのものがまだ少なく、既存のものは固定メンバー制のケースが多い印象がありますが、当社はすべてスポット参加型のチケット制にしており、興味のあるテーマや都合に合わせて参加できるため、毎回新しい出会いが生まれています。
また、私自身も札幌だけでなく北海道全域、さらに東京でも人脈を広げ続けており、イベントごとに新しい方々をお呼びできるのも特徴です。交流会では参加者全員がご縁を持ち帰れるよう工夫しており、継続的なつながりや協業につながる場になっています。
――オンラインサロンではどのような取り組みをされていますか。
オンラインサロン「KOTAN Connect」は、北海道と東京の事業者をつなぎ、ビジネスマッチングや事業成長につなげることを目的とした場です。参加者同士がそれぞれの強みやリソースを共有し、「この領域なら支援できる」「こういう企業とつながりたい」といった具体的な情報交換を日常的に行っています。
単なるコミュニティ運営ではなく、実際の案件創出や協業につながることを重視しているのが特徴です。現在は約40社が参加していますが、年内200社体制を目指して拡大を進めています。北海道企業の成長機会を広げることで、地域経済全体の活性化にもつなげていきたいと考えています。
北海道への危機感から始まった挑戦
――御社を立ち上げた経緯を教えてください。
私は21歳で初めて起業し、その後も複数の事業に携わってきました。UTARIIIは、もともと3年前からコミュニティとして活動していましたが、事業として本格的に展開していくため、2025年に法人化しました。
大きなきっかけになったのは、東京でWebマーケティング会社を経営している役員・フジヤとの会話です。彼とは20代の頃からの付き合いで、同じ北海道出身の経営者でもあります。東京と北海道、それぞれで事業を続けるなかで、ビジネス機会や情報量、経営者同士の接点にはまだ地域差があると感じる場面が多くありました。
だからこそ、北海道でも新しいビジネスや挑戦が生まれる環境をつくりたいと考えるようになりました。地域企業同士、あるいは北海道と東京の企業がつながることで、新たな価値や経済循環を生み出せるのではないかと思い、現在の事業を立ち上げました。
――その想いが、現在の事業につながっていったのでしょうか。
そうですね。コロナ明けのタイミングで行きつけだった飲食店が何軒も閉店している状況を目の当たりにし、地域経済に対する危機感が強くなりました。そこで「すすきのを盛り上げる企画をやろう」というところから、飲食店を回遊するイベントを立ち上げたのが始まりです。
実際に開催してみると、参加者には経営者層が多く、「単発のイベントではなく、継続的にビジネスが生まれる仕組みにできるのではないか」という話になっていきました。そこから、地域経済の活性化には、経営者同士の接点や情報流通の場が必要だと感じるようになったんです。
その後、2025年1月に完全にビジネス軸へ切り替え、交流会事業として本格展開を始めました。活動を続けるなかで北海道企業が抱える販路やDX、人材ネットワークなどの課題も見えてきたため、交流だけに留まらず、より実践的に事業成長を支援できる形へ発展させようと考え、法人化を決めました。
“つながり”を広げる組織づくり
――組織づくりで大切にしていることは何でしょうか。
当社では、“仲間”という考え方を組織運営の軸にしています。社名である「UTARIII(うたり)」は、アイヌ語で“仲間”という意味です。企業同士がつながり、共創しながら北海道全体の経済成長につなげていきたいという想いを込めています。
プロジェクトを自社単独で事業を完結させるのではなく、道内外の企業や経営者と連携しながら、共創型で推進しているのが特徴です。特に東京企業とのネットワークを活用することで、北海道企業へ新しい情報やビジネス機会を還元できる体制を意識しています。
また、コミュニティ運営においては、単なる交流ではなく「事業につながる接点」を生み出すことを重視しています。毎月複数回イベントを開催し、セッションと交流会を組み合わせることで、参加者同士が自然にコミュニケーションを取れる設計にしており、実際に、イベントをきっかけに協業や案件化につながるケースも増えてきています。
――経営者同士の“つながり”を重視されている理由を教えてください。
地域経済を活性化するうえで、経営者同士のネットワークが非常に重要だと考えているからです。北海道では、経営者同士が継続的につながれる機会や、業種を超えて連携できる場がまだ十分ではないと感じています。
課題解決につながる事業を北海道へ
――現在、力を入れている取り組みはありますか。
現在特に力を入れているのが、TikTokショップを活用した北海道商品の発信支援です。北海道には魅力的な農産物や加工品が数多くありますが、まだ道外では知られていない商品も多くあります。規格外野菜など、本来価値があるのに埋もれてしまっているものも含めて、しっかり外へ届けていきたいと考えています。
また、東京の企業と連携することで、北海道企業単独では難しい販路拡大やマーケティング支援も可能になります。北海道と東京、それぞれの強みを掛け合わせることで、よりよいサービスを提供していきたいです。
――今後の展望について教えてください。
よく『北海道のビジネス時流は首都圏から数年遅れている』という声を耳にしますが、その格差をマイナスではなく、新たな可能性に変えていくのがUTARIIIの役目だと考えています。業界や年齢、地域の壁を越えた多様な共創により、北海道の経済を皆さんと一緒に盛り上げていきたいです 。