地方から全国、そして世界へ――挑戦する人の可能性を広げるモデル事務所の挑戦
Le Ton Du Temps合同会社 代表社員 宇野京氏
鹿児島を拠点に、モデルのキャスティングや育成、自社企画の運営を手掛けるLe Ton Du Temps合同会社。地方に住んでいることで夢や挑戦の機会が制限されてしまう現状に向き合い、「挑戦するすべての人に物理的な格差のないチャンスを」という理念のもと事業を展開しています。今回は代表社員の宇野京氏に、事業への想いや経営の考え方、今後の展望について伺いました。
地方にいても夢を諦めなくていい環境をつくる
――現在の事業内容や特徴について教えてください。
当社はモデル事務所として、キャスティングを中心に事業を展開しています。モデルの育成やスクール運営、自社企画にも取り組んでおり、モデル活動に必要な環境を総合的に提供しています。
特徴の一つは、鹿児島を拠点としながら全国、さらに海外も視野に入れて活動していることです。地方で必要とされる人材を提供しながら、鹿児島に住んでいても全国規模の仕事に挑戦できる環境づくりを進めています。
――企業理念にはどのような想いが込められているのでしょうか。
地方に住んでいると、芸能やモデルの仕事に触れる機会そのものが少なくなります。レッスンに通うためには経済的な余裕や時間的な余裕も必要で、途中で夢を諦めてしまう人も少なくありません。
私自身、鹿児島にいながらモデル活動を続けてきました。また東京で受けていた育成レッスンを鹿児島でも提供できる環境があります。モデルの仕事は現場に入れば求められることは同じです。鹿児島で経験を積めば、どこの現場でも活躍できる力を身につけられると考えています。
実際に鹿児島から東京のファッションショーへ送り出した実績もあります。物理的な距離によってチャンスに差が生まれない環境づくりこそが、事業の原点です。
一人ひとりの可能性を広げることが経営の軸
――会社を立ち上げたきっかけを教えてください。
スタートのきっかけは、地方にいても挑戦できる環境をつくりたいという想いでした。
また、私自身の子どもたちも進学を機に県外へ出ましたが、鹿児島には家庭の事情などで県外へ出られない人もいます。そうした人たちが地元にいながらワクワクできる機会に出会えれば、人生の選択肢はもっと広がるはずです。
そうした環境づくりが、若者の人材流出という課題に対しても少しでも貢献できればと考えています。
――経営判断の軸となっている考え方はありますか。
最も大切にしているのは、一人ひとりの可能性を広げることです。
当社にとって人材そのものが大切な財産です。その人が持つポテンシャルや、本人も気づいていない才能を見つけ出し、新しい挑戦へつなげることを意識しています。
モデル活動だけでなく、演技に興味がある人には俳優分野への挑戦を提案し、実際に映画やショートドラマへの出演にもつなげています。一人ひとりと向き合いながら、「こんな可能性もあるのでは」と提示し、その実現をサポートすることが私たちの役割だと考えています。
多様な個性が活躍できる環境づくり
――所属メンバーとのコミュニケーションで大切にしていることは何でしょうか。
現在約40名が在籍していますが、皆さん個人事業主として契約しています。そのため、一人ひとりの状況を把握することを大切にしています。
仕事の話だけでなく、プライベートな面も含めてできるだけ対面で話をするようにしています。人数が増えたことで以前ほど細やかな対応が難しくなった部分もありますが、現在はマネージャーにも加わってもらい、連絡や現状把握を丁寧に行える体制を整えています。
――どのような人と一緒に働きたいと考えていますか。
マネージャーには、お母さんのように世話好きな方が向いていると思っています。
所属するモデルやタレントにとって、マネージャーは大きな支えになる存在です。その上で、報告・連絡・相談をきちんと行い、時間を守れることなど、社会人としての基本を大切にできる人と一緒に働きたいと考えています。
また当社では、多様性を大切にしています。引きこもり経験のある方や、一般的な職場に馴染みにくかった方が所属しているケースもあります。
モデル活動をきっかけに自分の才能を発見し、ファッション分野で起業した方や、カメラマンとして活躍し始めた方もいます。
モデルの価値を広げ、新たな挑戦へ
――今後取り組みたい挑戦について教えてください。
設立から3年目を迎え、キャスティングだけでなく育成部門やスクール運営、年齢層ごとの事務所運営など事業の幅を広げてきました。
現在は東京の映画制作会社と提携し、俳優を目指す人向けの演技スクールも展開しています。そこから映画やドラマのキャスティングにつながるケースも増えています。
今後は、撮影や演出のノウハウを一般の方にも提供していきたいと考えています。プロによる撮影やポージング指導によって、自分でも気づいていなかった魅力を発見できることがあります。
モデルだけでなく、一般の方が「なりたい自分」に近づくための撮影プロジェクトも進めており、新たな自分と出会える機会を提供したいと考えています。
また、昨年から開催している「カゴモデ(鹿児島モデルオーディション)」も発展を続けています。順位を競うのではなく、それぞれが表現したいことを披露し、共感した事務所が声をかける形式のオーディションです。現在は県外からの参加希望も増えており、さらに規模を広げていく構想があります。
――現在向き合っている課題はありますか。
課題は、所属モデルの人数に対して案件の数や種類がまだ十分ではないことです。
近年はフリーランスやインフルエンサーも増えていますが、専属モデルならではの価値があります。その価値をより多くの企業や関係者に知っていただき、活躍の場をさらに広げていきたいと考えています。
好奇心が成長を生み出す
――仕事をする上で大切にしている価値観を教えてください。
仕事を選ぶ際には、その先にどのような未来があるか、そして自分自身がワクワクできるかを大切にしています。
ホームページにも掲載している「The true Intelligence is not knowledge but curiosity」という言葉があります。真の知性は知識ではなく好奇心にあるという考え方です。
好奇心があれば学び続けることができますし、新しいことにも挑戦できます。私自身も、所属するモデルやタレントも、ワクワクしながら成長できる環境をつくっていきたいと思っています。
――休日のリフレッシュ方法を教えてください。
現在はなかなか休みが取れませんが、自立した3人の息子たちに会うことが楽しみの一つです。俳優として活動している次男の舞台を観に行くことも大きな楽しみになっています。
また、料理をすることも好きです。時間がある時には季節の食材を使った新しい料理に挑戦し、自分で作った料理を楽しむことがリフレッシュにつながっています。
最後に、地方でビジネスを展開する価値についても模索を続けています。豊かな自然や食文化、暮らしやすい環境を持つ地方に住みながら、全国や世界とつながる働き方ができる時代になりました。住む場所によって可能性が制限されることのない社会を目指し、これからも挑戦を続けていきます。
Le Ton Du Temps合同会社
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