脳から健康を整え、ヘッドスパを世界へ――26年の経験から描く次の挑戦
株式会社SYMAコーポレーション 代表取締役社⻑ 一戸 明美 氏
26年前からヘッドスパ専門店を運営し、銀座の店舗では同じ場所で14年にわたり施術を続けている一戸氏。美容室経営から出発し、一時は国内外に5店舗、約30人のスタッフを抱える組織を築きました。現在は事業を整理し、一人でお客さまと向き合っています。独自に磨いてきた「脳ほぐし」の技術、経営で大切にしてきた考え、そしてヘッドスパを世界へ広げる構想について伺いました。
目次
「脳から健康」を掲げ、銀座で続けるヘッドスパ専門店
――現在の事業内容について教えてください。
ヘッドスパ専門店を始めて26年、銀座のサロンは同じ場所で14年になります。当時、上野で美容室を2店舗経営しており、マッサージが得意なスタッフの技術を生かすため、両店の間に専門店を開きました。
しかし、美容室のお客さまはほとんど来店しなかったのです。模索の末、美容室とヘッドスパでは求められる価値や利用目的が異なると気づきました。
当時の美容室は、おしゃれをするところ、ヘッドスパは、リラクゼーション
それぞれのカテゴリが違う事に気が着くまで1年かかりました。
――現在、どのような理念を持って施術を行っていますか。
「脳から健康にする」という考えを大切にしています。『働く』人が動くと書きます。
昔は体を使って働く時代でしたが、今はパソコンを使い、頭を使って働く時代です。そのため、体だけでなく脳をケアすることが重要だと考えています。私たちが開発してきた「脳ほぐし」は、ただ頭に触れるのではなく、体の中に酸素が入りやすい状態を目指す技法です。
一般的なリラクゼーションにとどまらず、整体に近い考え方で技術を磨いてきました。お客さま自身が施術後の変化を感じ、「楽になった」「良かった」と思ってくださることを大切にしています。
評価される仕事から、自分で感じる仕事へ
――美容室ではなく、ヘッドスパを残した理由は何ですか。
コロナ禍をきっかけに、事業を大きく整理しました。当時は美容室、ヘッドスパ専門店、発酵ジュースの店という三つの柱がありましたが、これから自分が続けたい仕事を考え、これから社会に貢献でき、必要とされる仕事は『ヘッドスパ』と考え他の事業は、手放しました。
美容室の仕事は、この瞬間でお客様が気に入ったとしても、仕上がりを周囲から評価される面があります。お客さまが誰かに「似合わない」と言われれば、お客様自身のモチベーションが下がってきます。
一方、ヘッドスパは、お客さま自身が心地良さや体の変化を感じるものです。私は、周囲からの評価ではなく、その人自身が感じる仕事を続けたいと思いました。ヘアスタイルは、絵画に例えるなら、美容師の仕事は、その人をより華やかに見せる額縁をつくることです。ヘッドスパは、それとは別の形で、本人の感動や体感につながる仕事だと考えています。
――経営者として、特に大切にしてきたことを教えてください。
何よりも、お客さまに喜んでいただくことです。美容室を経営していた頃も、スタッフには「お客さまが喜んでくださることに徹してください」と伝えていました。
独身の男性のお客さまが、体調が悪い時や気持ちが沈んだ時に店を訪れ、話をして元気になって帰られることもありました。技術だけを提供するのではなく、来ることで少し元気になり、お客様と共に成長し、少しでも居心地の良い場所をつくりたかったのです。
仕事は自分を成長させてくれる場所であり、家庭は自分を鍛えてくれる場所だと思っています。経営を続ける中で、どちらも私自身が必要なものだと感じてきました。
30人の組織から一人へ――手放すことで見えた役割
――これまで、どのような組織を運営してきましたか。
一時は店舗が5つあり、ベトナムにも店を展開していました。ベトナムのスタッフを含めると、全体で30人ほどいたと思います。長く勤めてくれたスタッフや幹部がいたからこそ、複数の店舗を運営できました。
私は、社員が成長するためには役割やポジションを与えることが大切だと考えていました。技術を高めた人には店長や幹部を任せ、人としての役割や部下を育てる楽しさや大変さでそれぞれが次の段階へ進めるように店を増やしてきました。
――現在、一人で運営しているのはなぜですか。
社員を雇うには覚悟が必要です。技術を教えるだけでなく、日々のフォローや組織のメンテナンスにも時間を使います。今の私は、そこに時間を費やすより、お客さまに喜んでいただき、健康になっていただくために時間を使いたいと考えました。
還暦を過ぎたこともあり、これからは自分が本当にやりたいことに集中しようと決めました。コロナ禍は、事業だけでなく、組織の持ち方を見直すきっかけにもなりました。
技術を教え、ヘッドスパを世界へ広げる
――今後、どのようなことに挑戦したいですか。
自分で新しい店舗を増やすのではなく、これまで培ってきたノウハウを人に教え、施術者を育てていきたいです。
以前はヘッドスパ協会の理事を務め、スタッフとともに美容師やエステティシャンへ技術を教えていた時期もありました。その経験を生かし、今度は日本だけでなく世界に目を向けたいと考えています。
ベトナムにはヘッドスパの店が多くありますが、実際に受けてみると、リラクゼーションの要素が中心だと感じました。一方、以前私の店で働いていたスタッフの施術は、技術が身についていると感じました。国籍にこだわらず、日本人にも外国人にも技術を伝えていきたいです。
――世界へ広げるために、どのような取り組みを考えていますか。
現在、来店されるお客さまの約1割が外国人です。遠方では、ニューヨーク在住で月に一度ほど通ってくださる方もいます。
まずは日本を訪れる外国人の方に施術を体験していただき、「日本で受けたヘッドスパが良かった」と口コミで伝えてもらうことが、世界へ広がるきっかけになると考えています。
また、企業の福利厚生としての導入にも可能性を感じています。実際に福利厚生を利用して来店される方がおり、銀座のホテルから導入について相談を受けたこともあります。パソコンを使う仕事が増える中、業種や性別を限定せず、脳のケアという考え方を広げたいです。
行き先を決めて休む、一人旅の時間
――仕事を離れた時は、どのようにリフレッシュしていますか。
決まった休日は設けていません。どこかへ行きたいと思った時に、そのための休みを取っています。旅行は一人で行くことが多く、海外や京都方面で神社や観光地を訪れたり、電車の中で次の行き先を調べたりします。
最近は飛騨高山へ行きました。昔ながらの街並みを楽しみ、飛騨牛のステーキを食べました。地元の方に大きなスーパーを教えていただき、飛騨牛を買って帰ったことも印象に残っています。一人旅は、自分のペースで気になった場所へ動けるところが魅力です。
――事業を通じて、社会をどのように変えていきたいですか。
目指しているのは世界平和です。大きな話に聞こえるかもしれませんが、脳が健康になり、自律神経の乱れが整えば、人はさまざまなことを許せるようになると考えています。
気持ちに余裕が生まれ、「いいよ」と言える人が増えれば、争いや事件も減っていくのではないでしょうか。
自分の体は自分でケアする時代です。ヘッドスパを通じて脳から健康になる人を増やし、その技術を世界中の施術者へ伝えていくことが、これからの私の挑戦です。
株式会社SYMAコーポレーション
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